第8章、不良たちのゲーム

浩太は宅配便なら仕方ないかと思いドアチェーンもかけずに鍵を開け、すこし重めのドアノブを回した。


ガチャ


声の主はドアの隙間に素早く足を挟み込み、


「浩太君みーつけた」


そういうと勢い良くドアをこじ開け、浩太の腕をぎゅとわしずかみしてそのまま力強く無理やりに外に引きずり出したのだ。


騙された。


まんまと騙された。


あの不良達だった。


「へへー、俺の勝ちー、ハンバーガーとコーラ、ゲット」


すると他の不良がイライラした口調で、


「くっそ、てめー浩太のせいで損したじゃないか。

鉄拳パーンチ」


「うんぐ」


浩太は声にならない声をだした。


「取り合えず、土手沿いに行こうぜ」


不良たちは嫌がる浩太の腕を無理やり引っ張って人目に付きにくい、川沿いの橋の下までつれていった。


不良達は嫌がる浩太を囲んで、


「さあ、どんなゲームをしようかな」


すると、リーダー格の不良が面白い事を思いついたようで、


「そうだ、俺にいい考えがある。

浩太そこに立て」


不良達は浩太をコンクリートの柱に立たせ、相談を始めた。


「どんなゲームにするんだよ」


一人の不良がリーダー格の不良に訪ねると、


「俺にいい考えがある。

的当ゲームだ。

ここにテニスボールの球がある。

このボールを浩太めがけてなげるんだ。

首から上は三点、手と足は二点、胴体は一点

、一番点数の高かった奴が、皆から百円ずつもらうっていうのはどうだ。

野球のボールなら硬くてやばいけど、テニスボールならこの程度の硬さなので大丈夫だろう。

さあ、始めようぜい」


相談が終わると、順番に浩太めがけて思いっきりボールを投げはじめた。


「いたい、やめてくれ」


浩太は声にならない悲鳴をあげた。


「避けるなよ、ボールが当たらねえじゃねえか。

今度避けたらぶっとばすぞ」


いくらテニスボールとはいえど、強く投げられて当たればそれなりに痛いのだ。


「なかなか当たらねーな。

あっ、浩太の野郎、また避けやがったな。

避けるなって言ったろう。

今度避けたら一回につきキック一回だからな」


次々とボールがとんでくる。

あまりの恐さと痛みで気が変になりそうだった。


しばらくボールを投げ付けられたが、ある不良少年の投げたボールがそれてかなり遠くへ飛んで行った。


「あーあ!全然違う所に投げやがって。

おい、浩太、おめえ自分でボール取ってこい。

早くしねえと蹴り入れるぞ」


浩太はリーダー格の不良に言われるままにボールを取りに行ったら、そのボールは思ったより離れた所まで飛んでいた。

振り返ってみると、その場所は彼らからかなり離れた場所だった。


その時浩太は思った。


このまま走って逃げよう。

この距離なら追いつかれずに家まで逃げ帰れるれるだろう。


そうかんがえると、ボールを握りしめ彼らと違う方向に思いっきり投げると、一目散に走り出した。


「浩太の野郎何処にボール投げてんだよ、あっ、あいつ逃げたぞ」


走ることが元々得意でない浩太は途中で足がもつれて、転んでしまった。


そしてあっという間に不良たちに追いつかれ、また元の場所へ、連れ戻された。


「浩太の野郎逃げやがって、今度逃げたらただじゃおかねえぞ。

とりあえずお仕置きだ」


そう言うと、浩太の腹部に思いっきり膝蹴りをしてきて、そして悪夢のような恐怖のゲームが再び始まった。



次回、第9章、自殺


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