第7章、不良たちの企み
「浩太の家、この辺なんだけどな」
「あった、あったぞ」
「誰から行くかジャンケンで決めようぜ」
「ジャンケン、ポポンのポン」
「よしゃ、俺からいくぜ」
ピンポーン
浩太は眠い目をこすりながら、
ピンポーン
(あれ、今頃誰だろう)
ピンポーン
(しつこいな)
不良少年の一人がドアの向こうから親しげに呼びかけた。
「浩太君、学校へ行こうよ」
あれ、誰だろう?
学校の同級生らしいけど、誰だろう。
浩太は心当たりのある人をいろいろ思い浮かべたが思いつかない。
「浩太君、学校へ行こうよ」
浩太は二度目の呼び声でピンときた。
この声は奴らだ、奴らが家まで来たんだ。
何しに家まで来たんだ?
「学校へいこうよ」
他の不良が口を挟んだ。
「駄目じゃねえか、出てこねえぞ。
今度は俺の番。
浩太いるんだろ。
今まで俺達が悪かった。
一緒に学校へ行こうぜ」
浩太は思った。
(こいつら、なにを今更いっているんだ。
散々今まで、いじめてきたくせに。
さっさと帰れよ)
今度はまた他の不良が口を挟んだ。
「おめえも駄目じゃねえか、いっその事おどしたらどうだ。
おーい、浩太、居るんだろ。
居るの分かっているんだぞ。
出てこねえとぶっとばすぞ」
リーダー格の不良が何か面白いことを思いついたと言わんばかりに、
「おめえ、ばっかじゃねえの。
そんなんで出て来る訳ねえだろう。
それに出てこねえとぶっとばせねえだろう。
それより俺にいい考えがある。
ここは一旦引き揚げようぜ」
不良達は、ようやく引き返していった。
浩太は不良達が帰っていく様子をドア越に感じるとやっと緊張の糸が切れた。
(ふう、やっと奴ら諦めて帰ったか。
安心したら、お腹がへったな。
なにか食べる物ないかな。
今日にかぎって何もないな。
いつもは、なにか食べる物用意してくれているのにな。
おっ、パンだ、パンがあるぞ。
牛乳もある。
超ラッキー!)
浩太は安心して食べ物にありついた。
食べ終わったら、お腹がいっぱいになったせいか睡魔がきてコックリ、コックリと居眠りを始めた。
しばらくしてまたチャイムがなった。
ピンポーン
「こんにちは、宅配便です。
お届け物お持ちしました。
生ものなので、早めにお渡ししたいのですけど、どなたかいらっしゃいませんか」
(宅配便、なまもの?)
浩太は宅配便なら仕方ないかと思いドアチェーンもかけずに鍵を開けすこし重めのドアノブを回した。
ガチャ
次回、第8章、不良たちのゲーム
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