第6章、少年「今井 浩太」

僕の名前は、浩太、今井 浩太、今年で桜ヶ丘高校2年生になった。


2年生になったといってもほとんど学校にいっていない。

不登校ってやつだ。


別に学校に行きたくないから行かないわけではない。


学校で会う不良達からいじめられて、そいつらが怖いから行かないのだ。


きっかけはちょっとしたことからだ。


同じクラスにとても気の弱い子がいて、いつもいじめられていて、余りにも

可哀そうだったからそれを止めに入ったら今度は僕が標的になってしまったという

ところだ。


学校内では、休憩時間になるとプロレス技の練習台にされたり、行き帰りには僕を見つけるなり荷物持ちをさせられ、断ろうものなら蹴りやパンチが飛んできた。


常に彼らに見つからない様に逃げ回っていたんだ。


こんなこと、親にも言えずこの状況から逃げるためには最終的に学校に行かない、

という手段をとらざるを得なかったんだ。


そりゃ僕だって馬鹿じゃないよ。

何度も先生の所に相談にいったさ。


でもリーダー各の奴の家は古くからの旧家で地元の名士でもあり、おまけにこの学校に多額の寄付をしている議員さんで、母親の方がものすごいモンスターペアレントでまるで絵に描いたような過保護ぶりだ。


その為か担任の先生も自分の保身の為か、なかなかまともに話しを取り上げて

くれようともしなかったんだ。


やっとのことで、クラスの皆から聞き取り調査をしてもらったのだけど、今度は

クラスのみんなが不良たちの嫌がらせを恐れて誰もいじめの事実を話そうとは

しなかったよ。


それどころか、僕と不良達はいつも仲良くじゃれ合っていると言う事にされて

しまったのだ。


そして僕が先生に相談した事がばれて、僕へのいじめが更にひどくなったと言う

訳さ。


「浩太、朝よ、起きなさい。

今日も学校にいかないの」


これが僕の母親で名前が佐和子

『今井 佐和子』


朝だけは必ず僕のことを起こしてくれる。


「お母さん、ほおって起きなさい。

そのうち行くようになるさ」


これが、僕の父親で洋介。

『今井 洋介』


基本的には、放任主義だ。


「お父さん、またそんなこと言って。

これ以上学校休んだら授業についていけないし、なにより単位も足りなくてもう一年という事になるのよ。

浩太、浩太、聞いてる、お母さんもお父さんももう出かけるから、今日こそは学校にいくのよ。

じゃあね、行ってきます」


うちは共稼ぎで二人とも朝は早い。


僕はいつもと変わらない朝が来たと思っていたが、今日だけはいつもと違う朝が待っていた様だ。


ピンポーン


浩太は眠い目をこすりながら、


「あれ、今頃誰だろう」


ピンポーン


「しつこいな」


次回、第7章、不良たちの企み


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る