第4章、かかしの心配

オイラは毎日この光景を見るようになってこの少年をなんとか助けてあげたい。

そしてこの少年に嫌な思いをさせている奴らをなんとか懲らしめてやりたい。


いつしかそんな事を考えはじめたのだ。


しかしこの体ではどうすることもできやしないのだ。

ましてやこの少年に声をかけてやることすら出来ないのだ。


この時ばかりは流石に体が動かない事と声が出せないことで、どうしようもない

はがゆさといらだちで気が変になりそうになるのだ。


こんなオイラがこの少年にしてやれる事といえば、遠くからただ見守ってあげることしかできないのだ。


負けるな、頑張れって心の中で応援してあげることしか出来ないのだ。


そしてもうすぐ稲の刈り入れが始まりそれが終わると、オイラの役目も終わることとなり、またカビ臭い蔵の中に押し込められる事になる。


次に外の世界に出る事が出来るのは来年の稲に実が付き始めるころだ。


カビ臭い蔵に押し込められている間オイラはこの少年のことが心配で心配で

たまらないだろう。


次回、第5章、かかしの怒り

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