第2章 心をもらった一本足のかかし
いろんな事を考える事が出来る様になって、いろんな物が見える様になって、そしていろんな音や声が聞こえるようになったオイラは毎日毎日がとても楽しくて退屈とは無縁の日々を手にいれたのだ。
オイラの一日の始まりは、朝早く食べるものを探しにやってくるカラスやスズメなどを追い払うことから始まる。
今のカラスやスズメはかかしが動かないことを知っている。
その為、全く恐れることなくたわわに実った米を次から次へとついばんでいく。
しかしオイラは普通のかかしとは違う。
心を持った、特殊な力を持った、スーパーかかしだ。
彼らがいつもの様に餌をあさりに立ち寄り、朝露できらきら光るとても美味しそうな米を次から次へとついばみ始めた時、オイラは鋭い眼光できりりと睨むと、彼らは
なにかの視線を背中に感じたようでこちらを一斉に振り向く。
オイラは更に強い眼光で睨みつけると、彼らはびっくりして慌ててみんな逃げていく。
そのびっくりして慌てて逃げていく様子がこれまたこっけいでとても面白い。
おかしくて、おかしくて、この感覚が癖になりそうでたまらないのだ。
いや、もうすでに癖になってしまっているのだ。
一日のうち一番楽しみな瞬間だ。
きっと、温かい、優しい風が吹いたあの日から彼らにとってオイラは最強の強敵と
なったにちがいない。
このカラスやスズメとの攻防は日が昇り太陽が沈むまで毎日続く。
それともう一つ楽しみにしている事がある。
とても元気な子供たちがワイワイと騒ぎながら通りすぎていくのだが、色とりどりのカラフルな服をきてふざけあいながら楽しそうに通り過ぎていく。
その様子を遠くから眺めていると、こっちまでとても愉快で楽しい気持になっていく。
この愉快で楽しい光景を一日に二度、朝と夕方楽しむ事が出来る。
この元気で仲良く楽しそうに通り過ぎていく子供たちとは別に、なんだかとても嫌な感じと違和感を覚える少年の集団がある。
この少年の集団の存在がオイラを不愉快にさせ、居ても立っても居られない位嫌な
気持ちにさせていくのである。
次回、第3章、かかしが感じた不愉快
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます