第2話

あつしの家は、小さい頃、お母さんが出てって行方不明になったと聞いていた。おばさんは淳のお母さんの妹でたまにお世話をしに来ていた。


ゲームも飽きてきて、かくれんぼをした。あつしとはいつもこのパターンだった。そして僕は決まって押し入れに隠れるのだった。決まってすぐ見つけてそれで帰る。そのはずだった。


僕はいつものようにせまい押し入れの暗闇の中で身をかがめてあつしを待っていた。

しばらく待っても来なくて僕は眠りたくなってきて、ウトウトした瞬間だった。体育館座りをしていた左手を下ろした時、何か……ぬるっとしたものに触れた。


“なんだこれ”


僕は気持ちが悪くなった。


“まさかな”


足なんてありえない。勘違いだろ。

もう一度左手で恐る恐る手探りしてみた、

“女の股のような…しかも下半身…むき出しだ!”


“ パンツ履いてない!”


心臓がバクバクしてきた。


驚いた拍子に足が伸びて何かを蹴った。


“ え?まさか”


髪の毛が足に絡まった!


首だ!


「うわっーー!」


僕は心臓が止まりそうだった。押し入れの開け方がわからなくなったぐらいだ。やっと出て、階段を転げるように降りると…そこにお母さんが待っていた。

あつしはお父さんに手伝いを頼まれてて「ごめんね」と言った。


宇宙そら…あなた顔真っ青よ。寒かったの?」お母さんは笑いながら言った。


「これ、持ってってくれ」とあつしのお父さんはジュースを一箱車に積んでくれた。雨が強く降ってきてあたりはもう暗くなっていた。


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