3
天使達の町で、僕だけが人間だった。
彼等は、何も与えないし、何も奪わない。
見せかけの翼は、とても綺麗。
触れたら、薄い氷のように溶けてしまいそう。
そんな翼じゃ、とても飛べやしない。
落ちてゆく、落ちてゆく天使達。
それでもみんな、微笑みながら。
置いていかれた僕だけが、どうしようもないほど人間だった。
壁と海に囲まれたその町は、みんなとても幸福で、「世界」はその中だけで充分だった。
壁の向こう側には、海の果てには、一体何があるのか。
誰も考えない。みんな考えてる。
逃げ出す者は、一人もいない。
「逃げる?何から逃げるのさ。此処には逃げなきゃならないものなんてひとつもないのに。」
旅立たない人達。
天使達は、飛び立たない。
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