応用編1:複合体癖の種類


 私事ではありますが、明らかに自分は九種体癖の人間です。しかし体癖全体を見ていくと、どこか四種体癖もかなり当てはまるものがあり、さらに体質的な面は九種と同じくらい四種的な面が大きいようにも思えます。さらに言えば程度は小さいとはいえ二種・六種的特徴も見えます。

 このように、人間は誰しもがただ一つの体癖であるということではなくて、いくつかの体癖の複合体なのです。勿論ある一つの体癖だけの人もいるかもしれませんが、そんな生粋の人はごく少数でしょう。体癖はであると思えば間違いないでしょう。だから赤と青が混ざって紫になるように、九種と四種がうまい具合に混ざれば、それは九種とも四種とも言い難い、九種四種という複合体癖であるのです。

 あ、ちなみに複合体癖を語るにあたって一つ常識があります。それは一人の人間に「一種二種」とか「三種四種」とか、同じ体型の体癖が共存することはありえないということです。これは各体型体癖がそれぞれ相反する性質を持つためです。

 さ、前置きはこれくらいにして、本稿では様々な体癖を混ぜてキャラを作っていく技法をいくつか提唱します。




 「何種何種法」

 これはもっともわかりやすい概念で、つまりただその人の持っている体癖を並べただけです。ただここにも一つ順序の規則があって、それは何かというと、ずばり「高潮時に現れる体癖」を前に書くのです。高潮時と低潮時というのはそれぞれ「気分が好調、不調」という程度に捉えてください。では、例えば一種三種の特徴を下に挙げましょう。


・一種三種:体型は、首が長くて背が高い。それでいて全体を見渡すと丸っこい感じがして、首はまっすぐだが腰が少し曲がっている。

 好調な時は何でも分析して考えて、計画を練ることで何もかもやり遂げる元気があるが、低調になると途端にそうした思考ができなくなり、感情で動く。また食欲がまし、何かを食べずにはいられなくなる。


 .....と、ごく簡単に申せばそうなります。知的で理路整然としているのに、ある時は感情的になる人。周りにいませんか? あるいはその逆はまたちょっと違っていて、三種一種は普段元気で社交的・食欲旺盛な感情の人ですが、低潮すると途端に物静かになって理屈っぽくなります。一種ならまだめんどくさいだけで終わるかもしれませんが、三種二種となると余計なことを考えすぎてしまって精神を病むことになるかもしれません。

 まあそういうことは置いといて、とにかくこの何種何種法のコツは、まず二つの体癖を決めて、それぞれを高潮時と低潮時どちらかに当てはめるということです。普段は物静かなのに滅入ると何もかも壊したがるという人は四種七種とかですし、逆に普段行動的なのに低潮するとくよくよするのは五種二種といった具合です。




 「何型何種法」

 これは体型から決める場合に有効です。何型というのはつまり上下とか左右とか、五種類の体癖体型のことで、ここでは外見で見て最も顕著な体型を意味します。だからいかにも捻れている場合は捻れ型二種とか三種とか言うことになります。またその中のどちらが主な体癖なのかということですが、これは「何型」部分が外見でそれらしい体型をしているのに中身は「何種」ということなので、「何種」の方に軸があることになります。軸とか芯が何種の部分であって、それを何型の体癖が包み込んでいるというものです。

 では、ここでは開型七種を例にとってみましょう。

 

・開型七種:体型は、全体的に抑揚がなく、角ばった体質だが、特に下半身にボリュームがある。またお尻が重い。

 七種が軸なので、常に闘争心を燃やしている。当然弱い者には強く当たるが、この場合七種ではあまり歯向かうことのない強い者にも、十種の少々自己犠牲的な傾向が混じることで挑戦しようとする。そして当然自分の懐に向かい入れる人も、自分より弱いものになる。


 何型何種法の場合、前の何種何種法とは違って高潮・低潮という概念での説明があまりない印象です。まあここにさらに付け加えると面倒なので、野口氏はあまりそういう点を混ぜて離さなかったのかもしれませんが。

 ということで、何型何種法は体の体調とか周期を考えなくていいという点で楽ではありますが、しかし一方で体癖が融合して新たな特質を生み出す可能性もあるので、その点では各体癖が整然と区別することもできる何種何種法よりは難しいかもしれません。




 「体癖三種法」

 まずちょっとした意見をば。私は実感として、各人大体「三種類の体癖」を持っていると思っています。またその場合、全てが奇数とか偶数というのはありえません。まあなぜと言われると弱いのですが――、それも感覚と実体験でそう思っています。ですからどんな人も奇数・偶数・奇数とか、偶数・奇数・偶数という型になります。それで大別すれば、前者は総合してポジティブ・外向的な人で、後者がネガティブ・内向的な人となります。

 この考えをもちながら上の二種類の複合体癖についての文章を書いているうちに、一つの案が浮上したのです。それは何種何種法と何型何種法を合わせるというもので、つまりは外見に重きを置いた何型と、外見内面双方に重きを置いた何種何種を合わせた、「何型何種何種」という組み合わせがあるのではないかと。そういうことで、私はこの組み合わせを体癖三種法と呼ぶことにしました。

 体癖三種法は上の通り何型何種何種という組み合わせで、例えば私を例にとれば閉型六種四種とかになると思います。これを例にしてみましょう。


・閉型六種四種:体型は全体的にほっそりしており、骨盤が締まっている。横から見るとお尻が上にあがった形。そして上半身を見ていくと肩は角ばって巻き肩。胸板は薄い。肌は白く、首が前に出たような姿勢。

 普段は夢見がちで、またとっさの判断がしずらい。一方で行動は事あるごとに機敏。集中力もあるので、非常に濃密な夢想に現を抜かすことがある。他人に対しては毅然とした態度で接する。しかし低潮時は九種的な勢いがなくなり、人に対して柔和な対応をする。その為高潮時には突っ慳貪な対応をしてはねのけるような頼み事も、この時ばかりは引き受ける。そして感情を内に溜め込んでしまう。それが極限に達すると六種的なヒステリーに相転移し、自傷行為など大胆なことをしでかす。


 体癖三種法の場合、高潮時は何型何種何種の「何型何種」が出てきて、低潮時は後ろの複合体癖たる「何種何種」が出てくると考えています。これに関しては完全に独自理論ですから、また皆さんの中でもいろいろ工夫をしてみてください。まあ、これ以上に正しくて真理を突くような体癖三種法の分析が出たとしても、それが非常に複雑だったりしたら創作には役立たないでしょう。これくらい単純な方が扱いやすいと思います。




 「まとめ」

 何種何種法は高潮・低潮の概念をもって、二つの体癖をあまり融合させずに済むため、最も単純で扱いやすい。

 何型何種法は高潮・低潮の概念を排除してはいるものの、二つの体癖が融合して新たな複合体癖を形作る可能性もあり、扱うにはかなり体癖に詳しくならないといけない。

 体癖三種法は上記二つの技法を合わせたもので、より複雑で活用も面倒にはなるが、さらに深い人間性を創作することができる。


 このような特徴がそれぞれあります。私のおすすめとしては、小説のモブキャラなどはもう体癖を一つだけ設定しておくだけで動かして、脇役キャラなどは何種何種法か何型何種法で少し深みのあるキャラを作っておき、さらに主人公クラスは体癖三種法でより深みのある人間性を形成するというものです。

 最初に言ったように、この作品でお話しした十種類の体癖というのはそれぞれが原色――言い換えればキャラの十原色なのです。ですから一シーンだけの場合は一つの体癖だけで事足りるでしょうが、長期的な目で追っていく場合、どうしてもその人物に対して体癖が一つだけとなると薄っぺらく感じてしまいます。だからこそ、主人公などは複合体癖でもって、よりキャラを深めておく必要があるのです。







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