ある少女の詩 - ②
想像して欲しい
冗談半分ではなくて
真剣に
大切な人がいなくなってしまうことを、想像して欲しい
ある日
誰かから聞かされる
大切な人の死
到底、その場で受け入れることなどできない
しかしそれは真実で
悲しむ人たちを見て
棺を眺め
冷たい頬に触れ
やがて
どこかで気づく
大切な人は、本当にいなくなってしまったんだ、と
大切な誰かの死は
あなたをも一度、殺してしまう
体中に流れる、血の温度が急速に下がる感覚
押し寄せる激情と
返す虚無感
豪雨が降り続き
やがて梅雨に変わり、心をしつこく湿らす
光は射さず
灰色の空がどこまでも広がっている
悲しみは終わらない
終わらない悲しみを享受することが
今はもういない
大切な人への唯一の絆だと
頑なに信じ、あなたは、雨雲を眺めつづける
光を求めることは
禁忌だと
人生を失った、大切なあの人への裏切りだと
思い込んで
時間が、あなたから、悲しみを吸い取ってくれるまで
とても大事なことを忘れてしまう
想像して欲しい
家族でもいい
親友でもいい
恋人でもいい
あなたにとって大切な人がいなくなることを、想像して欲しい
その人はきっと
あなたが絶望することを望んだりしない
あなたにとって大切な人は
あなたの心の中に降る雨に打たれながら、泣いている
なぜなら
あなたにとって大切だった人は
あなたを大切にしてくれた人で
あなたが選び、
あなたのことを選んでくれた人なのだから
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