第54話
「なにごとぞ!大事な話の最中である。それを中断させるとはよほどの事であろうな?」
「は、水軍大将の村上殿からの使者でござる。秀頼様から依頼された件にて火急にお知らせしたいとの事で別部屋でお待ちでござる。如何いたしますか?」
「おう、頼んでおったおった。会う会う。今すぐ会う」
実は瀬戸で会談した折、大坂の監視を頼んでおったのじゃ。
あわてて予は会談を中止し、使者のところへ向かう。
その部屋には赤銅色に焼けた如何にも海の男という風の小男がひとりぽつんと座っておった。
「待たせたの、それで如何いたしたのじゃ」
「はは~。こ、これは村上が家臣、鮫島作ノ進にてござる」
「うむ、わかった。予が秀頼じゃ。とくと話してくれい」
「は、さすれば……」
小男は姿勢をただし、話し始めた。
「大坂城が落ちもうした」
「なに!」
「徳川軍が大軍で攻めてきた折、内部より手引きしたものがおりまして、なんともあっけなく……」
「誰じゃ~~~」
「片桐殿らしいとの事、取り急ぎましたのでしかとはわかりもうさん」
「ふむ、あのくそじじい。家康の甘事に乗せられおったな、楽な死に方はさせんぞ、ふふん」
さてどうするか、ああそうじゃ、ともえと淀さまはどうなったのかな。
「それで、ほかは?」
「ああ、そうでござった!秀頼様のお母上、淀様もご寵愛のともえ様もご無事でござる。が……」
「が、なんじゃ?」
「人質になりどこかに幽閉されておるらしいとの事でござる。心中ご察しいたしまする」
「ふむ……まことに心配じゃ……まことに……」
あ~あ、やっちゃったよ。どうする?こりゃ徳川め、目いっぱい手ごまとして使うな。助ける努力する?大変だよ……ここは戦国らしく心で泣いて斬ろう。うん、そうしようごめんね~~~。
「おう、それから、もうひとつ情報がござる」
「うむ?」
「秀頼さまの御愛馬、羅都鬼号が戦利品として秀忠殿に下げ渡され江戸に向かったとか」
「な、なに~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~」
ど、ど、ど~~~~~どうゆうことだ!ラッキがラッキが予のラッキが~~~~~~~~~~~~~~~~~ひどい目にあっとる!!!!
可哀そう。
よし、助ける。
戻る秀頼。
「待たせたの、皆のもの。大坂がやられた。出来るだけはやく大軍を募り、徳川を討つ。とにかく早くじゃ良いな!」
「は、は~~」
一同秀頼に向かって礼。
仁王立ちの秀頼。
凛々しきかな凛々しきかな。
「だんな様、すてき!」
「なっ?」
振り返ればそこには。
「コナミちゃん?」
「一緒に来てしまいました。うふ」
「あそ」
て、ここではちょっと……みんな見てるし、ニヤニヤしてるし。
「と、とりあえず皆のもの準備にかかれい~~」
「ははは、は~~」
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