第53話

て………どうしたもんか?

 やる気がない、いくさはもう飽きた。当分この筑後の地にて遊ぶとしよう。

 その為にわぁ~と、九州の武者達の主(ぬし)とならねばならん。

 うまいことだまくらかして、こき使って、予のためだけの九州王国を作り上げる。



 目標!『働かぬ!楽隠居!権利だけくれ!』



 お、棄丸が帰ってきおった。



「秀頼様、皆様がお待ちでござる」


「うん?良きに計らえ。予は疲れたわ、おなごでも抱いて寝たいぞよ。たしか巫女さんがここには居ったのう。かわいい娘を見つくろってくれい。なんなら今から選びに行っても………」


「なりません!!!駆けつけてくれた領主どの達をほっぽって、何を考えておられる。しかも巫女を召しだそうなんぞ神さんの罰があたりますぞ~~~」


「ちっ………わかった。おなごは諦めるひとりで寝る。予の部屋はたしかこの髙良大社うらの屋敷であったのう。では!よしなに!!」


 そう言って予は歩き出そうとした。


「ま、またれい。わ、わかり申した。巫女さんは拙者が何とかいたいまする。うまく会見を済ませられましたら、御ほうびということでいかがでござるか?」


「いや、どちらかというと会見のほうを怠けたいのであるが………まあよい。ご褒美あらば無いよりのう………いかしかたなし。それで何名と会うのじゃ?」


「は、まず毛利、黒田、早川、福原、太田、中川、竹中、熊谷………………………………………。………………………………………………………………………………………………の方々と1人ずつご会見いただき、慰撫してもらいまする。くれぐれも怒らせぬようお願いいたしまする」


「なんと!多いわ~~~~うーむ」


「なーに、たかが二十数名………多いですな、は、は、は」


「い、いかしかたなし。今日中に終わるのであろうな」


「まさか、明日まではかかるでござろう。あと、その後、黒田、島津、加藤、立花などの主立ったもの達による会合がありまする」


「ええもうやけじゃ~~どんと来い!!!」


「さ、それでこそ我が主秀頼様。ささ、コチラへコチラへ」


 予は引かれて行った………………




  ーーーー間ーーーーーーーーー




 予はへろへろであった。



 に、二十数名の会見はきつかった。それも機嫌を取りまくって、しかも賢そうに立派そうに装わなければならん。頭の中で『頼みにしてるぞ』『天下を取り戻すぞ』などとの言葉が舞い散っており、顔面筋肉は笑顔で固定され元に戻らぬ。座り続けて足萎になった気分じゃ。


 ヨロヨロと歩く。


 なんと!これから首脳?会談じゃ。こんな状態で大丈夫かのう?


「秀頼さまのおなり~~」


「は、は~~」


 座敷に数名の男達が深々とお辞儀をしておる。


 棄丸を背に予も上座に座る。


 何時もの通り、さっさと予はしゃべる。


「うむ、みなの者、ご苦労。ここに来てくれた事うれしいぞよ。まずは礼を言う」


 深々と頭をさげる予と棄丸。


「もったいなきお言葉でございます」


 みなの、這いつくばってる為くぐもった返答がひびく。


 深々と頭をさげ続ける予と棄丸。


 皆に頭を上げるように言うのを忘れとった為、お互いが頭を下げ続けるという間抜けな光景がここに出来上がった。


 「ま、まあ儀礼はこのくらいにして話し合おうぞよ。皆、頭を上げいこれからは無礼講じゃ。まずは黒田どのから頼むぞよ」


 一瞬にして座はもどり、緊張に包まれる。


「では、僭越ながら拙者が音頭をとらせていただく。そもそも元は家康公の横暴にあり。豊臣政権内で第一の地位にありながら兵を私的に集め、豊臣家の元に治まっておった天下に乱をおこし、簒奪しようとしたことにある」


 

 へっ、アンタもそれに乗して漁夫の利を得ようとしたくせに、イヤまだその途中かのう?家康から予に乗り換えて。予の方が危険は多いが、獲物は数十倍じゃからのう。なんなら実権全てやるぞよ、予に楽させてくれればのう、はは…………などと思っておると、突然話は予の方に来た~~


「さて、秀頼様、今後のお考えを」


「う?ああそうじゃな、予としては家康と和睦はできん。じゃが現状、ここで何も持っておらん。お主らの力を借りるのみじゃ。主らの存念を聞きたい」


「されば、直ちに兵を募り、急ぎ上京すべきと存ずる」


「然り、然り」


 島津が発言し、立花、加藤ら数人が賛同す。


「いやここはまず九州内の武将達をまとめ上げ、しかる後に上京軍を送り出すのが宜しかろう。なにせつい先頃まで我ら九州の大名達は両方に分かれ、戦っておった。いつ何時裏切るもの、いやすでに内通済みのものがおるやもしれん。それらをあぶりだし、万全を期してのち押し出すべし」

 

「さよう、さよう」


 小西が発言し、やはり数人が賛同す。


「なにを言うとる!そんなことしたら皆が疑心暗鬼に陥り、まとまるものもまとまらん。反対ばい!!」


「じゃが金が………」



 もう、喧々諤々。


 ~~~~~予の脳内模用~~~~~



 

 甲

 お拾いよ、思うがままに生きるが良い。今までも好き放題してきたではないか?


 乙

 し、し、しかしのう~このままここ筑後に長く止まれば大坂は持つまい。遠からず家康のものとなろう。それでよいのか?淀殿は?ともえはいかがいたす。捕らえられても良いのか?ひょっとしたら殺されるかもしれん。やはりここは早急大軍勢を催し、上京すべきであろう。


 甲

 めんどい!!!なんの為に苦労してここまで旅してきた!!!本心は自由のためであろう。もう苦労はいやじゃ、あとは野となれ~~であろう?


 乙

 う!……うん。その通り!あははは。


 甲乙

 じゃ、その方向でまとめようぞ。


 ~~~終了~~~~~





「あ~皆のもの、予はぁ」


「ははっ」


 と、その時例のごとく邪魔がはいる。


「ご注進、ご注進~~~~」









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