その12 生命保険で( ゚Д゚)ウマー

 部屋の移動が決定しました。

 しかし5日間個室にいた私には、もう前回のような大部屋はもううんざり、という感じ。

 とはいっても個室にはそれなりにお金がかかります。

 そんななか、入ってた生命保険からかなりのお金が入ることが判明。

 肉腫、というとガンなのでガン特約がきいたんです。

 始めに200万円ガーンと(ガンだけに……なんつって)入って、その後普通の入院特約とガン特約で1日1万5千円入ってくることが分かりました。

 (ちなみにこのお金、実はまだ残ってます)

 いやー、このガン特約、今まで入ってなかったんですがこの手術の1年くらい前に追加したんですよね。よくやった、その当時の私!

 これは個室はいるしかないでしょう!

 ガン特約が肉腫に適用されるかどうかは、約款などをよく確認してください。

 恐らく適用されるはずですが、軟骨肉腫などレアな病気の場合、担当者が不勉強だとガンの一種だと理解されない恐れがあります。

 


 個室にはいくつかランクがあって、一番お手ごろな部屋はまだ入院中の方がおられました。

 しかし、数日後退院予定とのこと。

 一日3500円くらいの部屋だったかな?

 なのでそれまでちょっと高めの部屋で待機することになりました。

 元々ひとりが好きなほうだったし、化学療法をすると吐いたりすることもあるだろうから個室のほうがいいのでは、というのもあったんですよね。


 私はあまり収入が高くないほうだったので、生命保険料を払うのは割りときつかったのですが、入っててよかったなー、と思いました。

 宣伝するわけじゃないですけど、まさかのときの備えってのは結構重要です。

 私も自分が病気になるとは思ってもいなかったので、無駄なお金だなぁと思いつつ払っていたのですが、本当に助かりました。

 私の場合、特約つけたのが1年前だったので、払ってたお金以上のものが返ってきたことになりますしね。

 ガンは生活習慣に関わらず罹患することがあります。

 そして治療には非常にお金がかかります。

 自分は大丈夫だろうという油断は禁物。貯金なり生命保険なりでまさかの事態に備えてください。まじで。


 数日後、3500円の部屋に移動。

 前の個室はやけに広くて寒々しかったけれど、こっちは手ごろな広さでいい感じ。

 お気に入りのぬいぐるみを枕元に。

 壁にはカレンダーを。

 そしてもうひとつ大切なものを飾りました。

 それはクラブハウスの施設長さんから預かったもの。

 額縁入りのクラブハウスの名前が刺繍された布が、入り口に看板代わりに飾ってあったのを持ってきてくださったのです。


――元気で帰ってきて、自分の足で返しにきて下さい


 そう言われて手渡されたその額縁は私にとってもうひとつのお守りになりました。

 時折眺めては、絶対また帰るんだ、と誓ったのを覚えています。


 その頃、リハビリの先生を紹介されました。

 部屋に入ってきた先生を見て、思わず噴出しそうに。

 マスクをしてるので目元しか見えないのですが、先に言ったクラブハウスの施設長さんにそっくりだったんです。

 

 リハビリは翌週から始めることになりました。

 まだ義足を作れる状態ではありませんが、車椅子生活をしているとどうしても足の筋力が落ちます。

 そうなると義足ができあがってもリハビリが困難になるので、身体を動かす必要があるのです。

 もうその頃は、足を切断した、という心的外傷は全くない状態でした。

 リハビリ? やったるでー!

 私にはやることがまだある。また義足で立ち上がって、色んなところに行くんだ。

 入院から1週間ほど経った頃のことでした。


 

 


 

 

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