その8 検査結果

 MRIの検査結果の日。

 出た結果は、やはりなにかがある、ということでした。

 先生の診たてでは、おそらく悪性で間違いないだろうとのこと。

 腫瘍の場合、悪性か良性かで手術の方法が大幅に変わります。

 そのため、翌日切開生検を行うことになりました。

 切開生検とは、患部から組織を取り出す、ちょっとした手術のようなもの。

 入院する場合もあるようですが、私は日帰りでしたね。


 切開生検はとにかく痛かった~~。

 部分麻酔をするんですけど、それがとにかく痛いんです。

「い~だだだだああああああ!!!」

「ごめんね~、痛いね~、皮膚が薄いところだからね~」

「いだいよう(´;ω;`)」

 まじで泣くかと思った。

 当日は絶食絶飲。

 終わった頃にはヘトヘトになってました。

 切開生検の予定がある人は、結構身体に負担があるので誰かに付き添いしてもらうか入院させてもらうかしたほうがいいです。


 終わってしばらくは痛くなかったのですが、会計をする頃麻酔が切れてきたあああああ!

 会計と薬の受け取りは父がしてくれて、叔父が付き添ってくれてました。

「痛いよう(´;ω;`)くすり、くすりがほしいよう」

「待て、もうすぐだから」

「待てないよう(´;ω;`)」

 そんなこんなでようやく薬を受け取り。

 トイレに駆け込みました。なぜなら座薬だから。

 ちょっと汚い話になりますが、切開生検の前には出すものは出しとく。これポイント。

 あっという間に薬が効いて、痛みもすっきり消えました。ビバ!現代医学!

 生検のお値段は7000円ほど。MRIは9000円で、あんなに痛い思いするようなことしたのにMRIより安いってのにびっくり。数人がかりでやったおおごとだったのに。

 まあ、保険の関係なんでしょうね。


「大変やったから、美味しいもんおごったるわー」

 ――と、叔父。

 わーいー! なんだろう? って思ったら鰻!丼じゃなくて重ね。

 メニュー見た瞬間、

「たっか!!!!」

 と声を上げて、後頭部どつかれたのは秘密だ。それはもう大変美味しかったです。

 

 翌日、ガーゼ交換のために通院。

 数日後、検査結果が。

 予測どおり、重い結果だったのでした。

 

 先生が席を外しているうちに、父とこっそりデスクのパソコンを覗き込みました。

 目に付いたのが「難症例」の文字。


 ――ああ、やっぱりそうなんだ


 これからされるであろう説明に覚悟しました。

 先生が戻ってこられれて組織検査の説明開始。

 なにやら前回採ったときの組織とは全然違っているそう。

 そして、あきらかに悪性腫瘍とのことでした。

 病名としては「軟骨肉腫」ということになります。

 軟骨肉腫にも種類がいろいろありますが、基本的には化学療法は効きません。

 しかし、一部の軟骨肉腫においては化学療法が効果がある場合があります。

 そのため、組織を外部のもっと詳しく調べられる機関に出すことになりました。

 またもや検査結果引き伸ばし。

 これからどうなるのか、さっぱり分からない。

「結果先延ばしばっかりで、もういやです」

 って言っちゃったんですけど、調べなきゃいけないものは仕方がないですね。


 で、手術について。

 覚悟はしていたのですが、膝下から切断が望ましい、とのことでした。

 付き添っていた父が

「それしか方法はないんですか」

 と、聞いていました。その声が震えていたことを今でも覚えています。

 私自身はあまりにあまりなことで、冷静を通り越して呆然としてましたね。

 

 なぜ切断が必要だったのか、について少し説明を。

 悪性腫瘍の場合、腫瘍だけでなく、腫瘍を取り囲む健康な組織も念のため取り除きます。

 私の場合踵なので、踵がまるごとなくなってしまうことになるのです。

 骨を取り出して腫瘍を殺すための処理をして戻す、という方法もありますが、その場合

 骨自身も死んでしまうことになるので踵の処理には不適切。

 正常に歩くことを考えた場合、切断がベストだったのです。


 もうひとつの心配は肺転移。

 この段階で肺に転移していた場合、5年生存率が大幅に下がります。

 そのためCTを後日撮ることになりました。

 

 頭まっしろなまま、帰宅。

 色々な意味で疲れ果てて、ベッドにもぐりこんだのでした。

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