その7 痛み、ふたたび

 いよいよギプスを取る日!

 待ちに待ってました。

 丸い刃のついた電動のこぎりのようなもので切っていきます。

 刃が足に当たったら……なんて心配はいりません。

 あたらないようにできているので。


 ギプスをはずされた足は、予想通りカピカピになっていました。

 そして若干筋肉も落ちてる……。

 お年を召した方が足を骨折すると寝たきりになりやすい、って理由に納得しました。 

 家へ帰って足を洗いまくりました。

 始めは泡すら立たず……。何度も洗ってようやくすっきりです。


 この時点では、右足は一応地面につけてはいいけど体重はかけないように。

 松葉杖2本で歩くことになっていました。

 その後は1ヶ月に一度検査。骨セメントが定着してるか確認です。

 骨セメントは着実に定着していき、右足への負荷もすこしずつOKになっていきました。

 やがて検査が2ヶ月に1回でOKになった6月ごろ、松葉杖から解放されました。

 これでようやく腫瘍からも解放された……、と思っていたのです。

 

 これはいつの段階だったか忘れましたが、腫瘍の病理検査の結果も戻ってきました。

 結果は恐らく良性。悪性と良性は非常に区別がつきにくいそうです。

 この段階で私の足についた病名は「右踵骨骨腫瘍」でした。


 9月にはいってしばらく。足に痛みが戻ってきました。

 あの嫌な骨がうずくような痛み。

 3月に手術したのに再発? ありえない。

 骨を切る手術だったから、季節が変わって痛みが出るようになったんだろう、そう思っていました。

 いや、思いたかったのかもしれません。

 10月に入って、痛みはますます強くなってきました。

 普通に歩くのが困難な感じ。

 ネットでT字型杖(お年寄りがよく使ってるあれ)を注文して使うことにしました。

 痛い、痛い。でも、病院にいって決定的なことを言われるのが怖い。

 次の診察は11月が予定。それまでには治まるんじゃ……。

 なんて期待も甘く、痛みは続いていました。

 

 先にも書いたとおり、手術をした医大病院は自宅からかなり離れています。

 思い切って初めに腫瘍を見つけてくれた病院にいってみました。

 CTを撮った結果、先生からは大丈夫なんじゃないか、との言葉を。

 しかし、痛みが続くのなら早めに医大病院に行ったほうがいいとも言われました。

 CTの結果をCDに焼いてもらって帰宅。

 

 ――多分大丈夫。次の診察まで待っても大丈夫


 そんな風に思っていたのですが、既にT字型杖でも歩くのがつらくなってきていたのでした。

 

 そして11月。医大病院検診の日。

 焼いてもらったCDの画面を見た先生が声をあげました。

「あれ? これおかしいな」

 その時のぞくっとした恐怖感は今でも忘れません。

 本来影があるはずのないところに影があるとのこと。

 恐らく再発で間違いないということ。

 そして、この短期間で再発するということは良性ではあり得ないということ。

 そんな説明を聞きながら、どこか人ごとのような、自分に起きていることのようではないような、不思議な感覚でいました。

 

 悪性の可能性が非常に高い、ということで後日MRIを撮ることになりました。

 結果がでるまでがとてもつらかったですね。

 初めに腫瘍ができて手術、ってことになったときもそんなに落ち込まなかったけれど、さすがに不安とやりきれなさで胸がいっぱいで、初めて泣きました。


 

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