その6 バイト(送迎つき)

入院中はずっと車椅子だったのですが、これからは松葉杖です。

 これがかなり大変でした。

 ギプスを巻いているのでバスにも乗りにくいし、ちょっとした段差も怖いし、スロープも角度によってはとっても怖い。

 雨の日は傘をさせないので雨合羽。脱ぎ着が面倒でテンション下がりまくり。

 そして、痒い!!!


 そんな中、バイトに復帰したのですが、なんと所長が車で送迎してくださることに。

 バイトなのに所長に送迎してもらうってどんなえらいねん、って話ですよ……。

 当時は利用していた駅の下り改札方面にはエスカレーターもエレベーターもなく、階段で降りるしかなかったので、本当にありがたかったです。

 入院中の仕事の心配も無く、退院後も通勤の心配がないなんて、恵まれすぎて却って申し訳ない、そんな感じでした。

 その分、仕事めいいっぱい頑張るというかたちでお返ししました。

 

 そんな恵まれた日々でしたが、腹が立つこともありました。

 郵便局の前を歩いていたときのことです。

 そこは地域でも中心的な存在の郵便局で、お客さんも沢山来ます。

 自転車でくるひとも多く、郵便局横には自転車置き場が設置されています。

 しかし、そこにちゃんと止める人は少なく、郵便局前の歩道に駐輪する人がほとんどでした。

 そのため、その部分だけ歩道が半分の幅になってしまってるんですね。


 私が、そこをせっせと歩いていたら、後ろから自転車の気配。

 どうやら郵便局前に止めようとしたおばちゃんです。

 すーっと近づいてくるのですが、こっちは松葉杖なのでそんなに急いで避けることはできません。

 松葉杖って横移動不自由なんです。

 一旦止まって道を開けるべく進行角度を変えようとしたところ、おばちゃんに言われました。

「大変なのは分かるけど、止まったら危ないでー」


 ――って。


 怪我人様だから優先しろとはいわない。

 しかし!

 ここは歩道だ!歩行者優先だろう!

 お・ま・え・が・と・ま・れ!

 しかも正しい駐輪場はここではない!


 激しくむかつきつつ

「……はい」

 って答えておきました。めんどくさかったので。

 あのおばちゃんがどういう理論で自分のほうが正しいと思ったのか、未だに理解できないです。

 

 ギプスが取れるまで1ヶ月ちょいでしたでしょうか。

 なんやかんやとあった期間でした。

 転んだりすることもよくあったなぁ。

 手にも豆ができたりしたころ、ようやくギプスが取れる日がやってきました。

 もう足は痒くて限界よ!

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