その4 はじめてのしゅじゅつ

 手術前日は背骨のレントゲンを撮りました。

 腰椎麻酔なので。

 

 夕食後からは何も食べちゃダメ。

 夜12時以降からは水分もダメ。

 私は他の疾患も持っていて、寝る前の服薬が必要なので飲んでいいか確認しました。

 飲んでOKとのことで一安心。睡眠薬とかなので、飲まないと眠れないのです。

 

 手術当日は10時ごろから点滴を開始しました。

 特にすることもなかったので、テレビ見てたっけか。

 そう。2009年WBC日本VSキューバ戦の日だったのです。

 禁煙パイポくわえながら、超リラックスしていたら同室の人に笑われました。

 これから手術のひとに見えないって。

 いやー、だって、私は手術受ける側なので頑張るのは先生ですから、私は完全にまな板の上の鯉なわけで、私が緊張したところで事態はなんも変わらないしねぇ……。

 それより手術までに試合は終わるのか?

 ――そんな感じ。

 試合がすごくいいところで呼ばれました。

 ちょっと待って!この回終わってから!

 ――なーんて、言いませんでしたよ。


 生まれて初めて見る無影灯。さすがにちょっと緊張してきました。

 手術台に横になり、腰椎麻酔開始。

 これがすごく痛かった。

 手術、もういいです!帰ります! 

 って言いたいくらい痛かったです。

 ものすごく痛かった、という覚えはあるのですが、人間の記憶というのは不思議なもので痛みの記憶ってあんまり残らないんですよね。

 いまでもどんな風に痛かったか覚えていません。

 なのでこれを見ている方で、腰椎麻酔の予定がある人(いるのか?)はそんなに不安にならなくてもOKです。

 そもそも本来はそんなに痛いものでもないらしいですし。


 保冷剤で冷たさを感じるかで麻酔がかかっているかを確認しました。

 最初は普通に冷たかったですが、そのうち触れられていることすら分からない状態になって手術スタートです。

 自分の骨を削られる音は聞きたくなかったので、iPod持って音楽聞いていました。

 2時間くらいで手術終了。

 足はがっつりギプスで固められて、尿カテーテル入れられました……。


 そして部屋へ帰還。

 家族がいる間は気にならなかったのですが、帰ってからはやっぱり部屋がうるさい……。

 なんか他の部屋の人まで来て騒いでるし……。

 今日だけでも部屋変えてもらおうか。

 いや待て、もう少ししたら消灯だ。

 この2つの考えが頭の中ぐるんぐるんしている間に消灯になりました。

 静かになった病室で、抗生剤などを点滴しながらご飯待ちです。

 24時間なにも食ってないのでもう、腹ペコだ!

 夜9時ごろ、腸が動いているのを聴診器で確認してようやくご飯です。

 私の大好きなエビフライではないか!すばらしい。

 

 深夜になって痛みがでてきました。

 座薬を入れてもらってうとうとしていたらいつの間にか眠っていました。

 

 術後3日間は点滴です。

 ギプスは傷のところがぱこっと外れるようになっていて、時々消毒。

 後は抜糸の日を待つだけです。

 待つだけなんですけどね……ほんとうるさくてね……。

 前回書いた、看護師さんが部屋が大丈夫か確認しに来て下さったのがこの頃のことでした。

 そして私は耳栓をしてヘッドホンをつけて音楽を聴いているふりをしながら本を読む、という作戦を開発したのであります!

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る