その3 三人寄れば。

 3月中旬、手術の3日前に入院することになりました。

 入院期間は2週間の予定。

 午前中に手続きを済ませて、血液検査。

 医療関係者への感染予防のために、C型肝炎とHIVの検査をしました。

 両方クリア。☆-(ノ゚Д゚)八(゚Д゚ )ノイエーイ

 

 そして当然のごとくタイ料理屋へ。

 娑婆の飯はこれでしばらくお別れ。


 戻ってきて、手術の説明を受けました。

 踵の骨に穴を開けて腫瘍を取り出し、骨セメントをいれるとのこと。

 なに、この漂う虫歯の治療に似た感じ。

 その他、麻酔や手術に伴う危険について説明。

 骨腫瘍というのはあまりよくある病気ではないそうです。

 そのため、学会で日本中の診察記録を共有しているみたい。

 私の診察記録を学会に提出していいか、確認されました。

 断る理由は全く無いので同意して、書類にサイン。

 私の診療結果が役に立つといいのだけれど。


 前の病院で借りていた松葉杖は返すことになりました。

 新しくレンタルしようと思ったのですが、レンタルするより買ったほうが安いとのことで、買うことに。 

 3種類あった中から一番軽いのを選択。お値段1万円ちょい。

 かなり長い間使うことになるので、

値段より軽さ優先!

 ――これ豆知識ね。


 そして入院する部屋へ。4人部屋でした。

 にこやかに出迎えてくださる同室の患者さん。

 私より1周りほど上の方ばかりでした。

 ボックスティッシュを配ってご挨拶です。

「遠野です~、よろしくお願いします。」

「こんにちは~、この部屋、いい人ばかりだから楽しいわよ」

「よかったです~、えへへ」

 入院は初めてなのでかなり緊張してましたが、ちょっと安心。


 しかし全然よろしくなかったことに気付くのに時間はかかりませんでした。

 とにかくうるさい。

 和気藹々と言えば言葉はいいけど、うるさすぎる。

 私以外の3人のおばちゃんが、キャッキャッウフフ、と一日姦しいんです。

 その部屋のボス的存在のAさんのところには、毎日娘さんが朝食後から夕食前くらいまで付き添っていて、その娘さんも声がでかい……。

 こんなものなのか、うるさいのか分からず、

「うるせーなー……」

 と思いながら毎日を過ごしていたのですが、ある日看護師さんが

「この部屋、大丈夫ですか? うるさくないですか?」

 と聞きにきてくださったので、常識の範囲を超えてうるさかったんだと思います。

「いや、ちょっとうるさくてしんどいんですよ……」

 と答える私。

 ちょっと賑やか過ぎると気になって声をかけてくださったとのこと。

 しかし、うるさくしている現場を押えないことには注意できないので、うるさい、と思ったらナースコール押してくれ、といわれました。

 結局、押してヘルプ求めることはなかったですけれどもね。

 (看護師さんが声をかけてくださったのは手術の後数日後なので、この辺時系列違ってます)

「合宿みたいで楽しいわー」

 ってBさんが言ってたので、みんな同年代で浮かれてたんだと思います。

 整形外科病棟だから、気分は元気ですしね。

 ひたすら音楽を聴きながら本を読んでスルーする日々。

「遠野さんっておとなしいわねー」

 とか言われましたけれど、むしろ私はよく喋るほうですよ、普段は!

 その場にあった振る舞いってもんがあるんですよ!

 やかましさに辟易しつつ、入院3日目の手術の日を待っていました。

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