第2話

 移り変わるLEDの光。鮮やかに明滅する照明達。客や客引きの声が重なり合ってハウっているよう。

「この女の子見たことないですか?」

 写真を片手に飲み屋の客引きに尋ねてみる。

「さぁ、覚えてないな。あんた、うちで働く気無い?」

「遠慮しておきます」

 早く帰れよ、という事なのだと受け止めつつ、次へと移動した。



第二話  Real plotter 1




 蝉が鳴いている。

 煩いと言えば煩いが、夏だな、と思う。


 冷房がきつく効いた自室。ソファーにうつ伏せになって打ち込み。左手でガラステーブルの上においた乳酸飲料のコップを掴む。溢しそうになって姿勢を改めた。

「しかし、便利すぎるなぁ、これ」

 同人誌のバンドルで手に入れた思考支援ソフト。小説のプロットを生産するのに使う。結構使い心地は好い。強いて難点を挙げるとスマートフォンのアプリな事だろうか。アイデアを練るのにはともかく、執筆には少々窮屈だった。

 小説制作思考支援ソフト。


 Real plotter.


 則子の忠告を思い出す。


 戦利品の品評会中のこと。

「ああ、リアルプロッターね。結構使ってる人いるよ」

「マイナーなのかと思った、フリーソフトだし。」

「思考支援ソフト使ってると、格落としされるから。密かに使うものらしいよ」

「則子は?」

「……使ってる」

「じゃ、大丈夫かな」

「噂が有って」

「何?」

「使用者が必ず没落するらしい」

「没落?」

「失踪して、同人界から居なくなってしまうらしい」

「何で?」

「そう言う、噂」






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