思考支援ソフトを用いた小説T20210714wed.レアルプロット

一憧けい

第1話 もしもし、洋夏だけど

 夏の日の焼け付く熱さの晴天の日。会場へと伸びる長蛇の列に則子と連なっていた。溶けたアスファルトが青いシュガートーストの様。蟻が居ても、此れは食えんな、とか思いつつ、携帯を取り出した。

「暑い」

「あ、もしもし、洋夏だけど。今どこ?」

「何?」

 談笑しながら電話の向こうに要求を畳み込む。

 相手が沈黙したところで、念を押して電話を切った。

「ふぅ」

「男?」

「まぁ。下僕、かな」

「洋夏?」

「戦線離脱」


 ドアを開けたら、カウベルが鳴った。

「こんなところに喫茶店あったっけ」

「細かいこと気にしない」


 表通りの行列から離れた、人影もない町の片隅にその店はあった。

 アルミサッシにレースのカーテン、木製のテーブル。青磁の珈琲カップに本物らしい銀のスプーン。

 店主は初老の女性だった。


「そろそろかな」

 左腕の時計は午後三時をさしていた。



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