第4話

「ブライズ様、お手紙が届いております」

「ありがとう」

 ブライズはメイドから手紙を受け取った。

「あら、デリック様からですわ」

 ブライズは丁寧に便せんを開けると、デリックからの手紙を取り出した。

<来週の水曜日の夜、お会いできませんか? お迎えに参ります>


 ブライズは胸が高鳴るのを感じた。

 緊張で震える手を押さえて、了承した旨を手紙の返事に書いてメイドに渡した。


 水曜の夜、デリックが迎えに来た。

「こんばんは、ブライズ様。夜分に申し訳ありません」

「いいえ、デリック様。お待ちしておりました」


 二人は手をつないだ。

 デリックは森の脇の丘を目指して歩き出した。

「ブライズ様、足は痛くありませんか?」

「大丈夫です。歩きやすい靴を履いております」


 丘に着くと、デリックは空を見上げて、ブライズに言った。

「今日は流星群が見られる日なんです」

「流星群?」

「流れ星が沢山みられますよ。ほら」

 ブライズがデリックの指さす方を見ると、確かに流れ星が見えた。

「素敵ですわね」

「ええ。これを見せたくてお時間を頂いたのです」


 しばらくふたりは手をつないだまま、流れ星を見ていた。

 すると、急にデリックが話しかけてきた。

「ブライズ様、左手を出していただけますか?」

「こうですか? 急にどうされましたの?」

 デリックは、ブライズの左手を取ると、薬指に花をあしらった可愛らしい指輪をはめた。

「ブライズ様、これからもずっと私と一緒にいて下さいませんか?」


「まあ、こんなことって」

 ブライズは心臓がバクバクと音を立てているのを感じた。

「デリック様となら、喜んでいつでも一緒におりますわ」

「それでは、婚約成立と言うことでよろしいですか?」

「ええ」


 デリックは、星降る丘の上で、ブライズに優しくキスをした。

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地味すぎる私は妹に婚約者を取られましたが、穏やかに過ごせるのでむしろ好都合でした 茜カナコ @akanekanako

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