第6話 赤ん坊の救出、狼男

私はアパートの管理人などをしている

しかも結婚1年目

もうじき2年目になるかな


今日の夜は狩だしがある

狼男が赤ん坊ばかりを狙い

失踪届けがぞくはつしている


「ちっくしょう。もうちょっとだったのに」

かずみ君が舌打ちを打つ

かずみ君はかなり早い見逃すとは相手の速さは尋常じゃないだろう

「かずみ君。まだ終ってない」

「美鈴さんがまわりこんだ。またこっちに向かってくるはず」

「OK、今度こそ公園に追い込んでやる」

かずみくん夫妻もでている

アパートでもっとも足の速い猫又家族である

しかしこの夜相手を公園に追い込むことはできたが

逃げられた!

攻撃陣が公園に間に合わなかった

封鎖結界を試みて相手を閉じ込めたが

中から破られてあっさりと逃げられた


アパートにぞろぞろと帰る

今日は失敗

なら明日は決めなくては

日がたつごとに向こうが有利になる

ともかく輝(てる)の様子をみて

…てるがいない

「雄一郎!雄一郎!てるがいない」

「馬鹿いえはいはいもまだろくにできないんだ」

「そこら辺にいるだろう」

「物じゃないんだから見落とすわけないでしょう!」

「念のためにベビーベットにまで入れていったのに

ひとりででれるわけがない」

「だなー。落ち着けこれをみろよ」

「住所と古い雑居ビル

バブルがはじけて買い手がつかないの写真が封筒に入ってた」

「馬鹿にしてくれるぜ夜になる前に決着つけてやる」


次の朝住所を手がかりに美鈴さんの手伝いをへて

(彼女の鼻はすごい極端にいいのだ)

写真と同じビルを探し当てる

後は私たち夫婦の問題だ。礼を言って帰って貰う

あがっていくうちに異様に生臭いにおいがする

生臭いじゃないな、肉が腐乱した時のにおいだ


「この階だな」

私も気を引締める

部屋をひとつひとつ確かめていくうちに

一つの部屋で不思議な光景をみた

赤ん坊の手足があっちこっちにほうりだされ

奥には頭らしきものが積み重なれている

調度調理台かとおぼしきところにそれはいた

まっしろな繭のような光がおぼろげに輝いている

てる!

走っていこうとするのを雄一郎が止める

結界がはれるならほっといた方が安全だと

私が触った瞬間てるの結界は溶けてしまうだろう

狼退治の方が大事だと


待つこと2時間

赤ん坊の泣き声とともに

それは来た

一人の赤ん坊のわき腹を食い散らかし

片方の赤ん坊を足をぶら下げてつれていた

泣いてるところをみると一人は無事だ


「来たな」

「しりあい?」

「ああちょっとな。大人しく人間として余生をおくればいいものを

よりによって赤子殺しとはいい趣味じゃないか?」

「美味いんだよねこれが」

そういい生きてるほうを机に放り出す

死んでるほうの血をすする


「本当ならお前らの餓鬼も食ってやるつもりだったのに

ありゃなんだびくともしない

「防御結界よ母は治癒師というより結界師だった

隔世遺伝でしょう」

そういいながら私は部屋中に防御結界を張った

ひとつはハードル状のものをジクザクに

もうひとつは全体を覆うように

私を殺さない限りこの部屋からはでれないが…

私も一人分の防御幕で覆いかぶる

てる同様100%結界やぶくことはふかのうだろう

封鎖結界とは訳が違う

わざわざ防御結界に入ってもらった形になる


後は雄一郎の出番である

交互にしかれた結界にジクザクに動きながら

逃げようとするライフルが炸裂するか早すぎる!

が入り口も100%結界私の意志がない限りでれない

そういや美鈴さんは出て行ってたな

後でどういうことか聞いてみよう


仕方なしに横にずれる。てるの前でまでくる

てるにナイフを突き破るように持ち上げながら

「防御結界解除用のナイフだぜどんな結界でも切れるとさ」

「殺されたくなければライフルをおろしな」

おろせという雄一郎はライフル銃をおろしたと同時に

狼男はナイフを突き立てる !

がナイフは熱で熱されたごとくふにゃふにゃと曲がって固まり

刺さることはなかった

そしてその瞬間を雄一郎は見逃さない

眉間に向かって小型の銃を持ち出して放つ

相手は撃たれたものが何かを確認するのに数秒いったろう

「銀の玉…」ドサッ

そう銀の玉それこそが狼男の弱点だ


古来より言われての通り銀には神聖な力がある

特にそれが弱点とうたわれてきた狼男はその宿命から逃れられなかった


「どういうこと?結界を破けるナイフって…」

結界を手にまといふにゃふにゃになったナイフで切り落とす」

つーと結界は切れ手にまとった結界は消えた…

狼男が言っていたことは嘘じゃないらしい

私を切っていれば結界は切れたのだろうが

もしくは壁になっていた結界をきりさけばにげられただろう

だが彼は赤子を使い私たちを処分しようと思ったのか

怒らせれば結界をにぶらせるともおもったのか

殺してから逃げるつもりだったのか

てるに刃をむけた

それが間違いだったのだろう

同じ100%結界でも人によって強度も付加能力も違う

てるの結界は来る刃物をとおさせまいとするほど強いものだったのか

何にしろナイフより結界の方が勝ったということだろう


てる…そっと幕にふれると同時に火がついたような泣き声がビル中に響き渡った

怖かったのだろう心細かっただろう

でもてるは自分で自分の身を守ったのだ

かんがえてみると末恐ろしい

そして私の父母がとてつもなく強かったのだと思い知る


今でこそ結界を自由に操るが19になるまで力のちの字も出なかった

私とは大違い

輝はこの後、父から銃の使い方を教わり自分で鞭を作り出すすべを

覚えて結界師としても優秀になっていく残念ながら治癒能力は低く

もっぱら攻撃にまわるようになるがそれはまたの話


私は警察に生きた子供だけをとどけ

公園で拾ったことにした

血がついていてただごとじゃなさそうだったが

心当たりは無いと言っておいた


いづれ雑居ビルからも死体がみつかるだろうが

犯人は灰となって消えている

迷宮入りだろう

指紋やらとられるとややこしい話がこっちにくるかもだが…

その時は記憶操作をするしかないな


ちなみに美鈴さんだけじゃなく

結界からは意志力で出入りできるそうだ

閉じ込めるには術者の意志力が必要らしい

まだまだしらないことも多い美穂でした

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