第75話 進路と発情
教室に入ると、既にほとんどのクラスメイトが着席していた。
昨夜は二人、親父にばれないように声も殺して、スロウな営みをしていたらちゃんと寝るのが遅くなった。
やっぱりあれだね、いきたいのにいけないっていうのと、親父が近くで寝ているのにばれたらいけないっていう背徳感があって、なんかちょっと癖になるね。
あの開放したときの気持ちよさはまたいつもと違って良かった。
まぁ問題はいつもより回数が少なくなって、かすみも俺も不完全燃焼気味なことかな。
まぁそれと同時に眠さもあるわけなんだけど。
「おっはよぉぉぉぉぉっ!」
朝からハイテンション爆速ギャル相沢さん。
俺とは真逆のテンションですごすぎる。
「おはぁ」
こちらは朝弱いらしく、テンションが落ち着かない、茉莉さん。
「今日も1日がんばってやってこぉぉぉ、あとちょっとで冬休みだし!」
「あとちょっとって1週間くらいあるけどそれ毎日いうつもり?」
「もちのろん!カウントダウンするにきまってるよ!」
カウントダウンってそれ卒業式とかでやるやつじゃないか?
「それ休みのたびにやってるよねぇ」
「だって長期休みなんて楽しみじゃん!」
「まぁそれはそうだね」
だよねだよね、と楽しそうに笑う相沢さん。
冬休みのイベントを指折り数えていく。
ガキ使に、紅白に、おせちに、初詣……
でもなかなか終わらない。
「と、止まらないね?」
「やりたいこといっぱいだもん!」
「ちゃんと宿題もやりなよぉ」
白ギャルの茉莉さんにたしなめられる始末。
「いいもーん私短大だし?」
そう言った瞬間、ギャルの眼が光った。
「短大でもやらなきゃいけないにきまってるでしょ?受験もある学力試験もあるかもしれないし、就職の時にはSPIも解かなきゃいけないんだから、今からやっときな?あとあと楽だからさぁ」
「……は、はい」
渋々と頷き横をみる相沢さん。
でも横を向いたその顔は絶対やる気はない。
いかに、あそびつくしてやろうかという思案顔をしている。
「といっても、エミはやらないだろうから、私と遊びに行く前に、宿題の見せあいっこ、しようねぇ」
氷の微笑。
もう俺茉莉さんが、お母さんに見えてきた。
「というか相沢さん短大志望なんだ?」
「うん、お母さんが看護師してて、それに憧れて私も医療系とか漠然といいなぁって。給料も悪くないっていうしね?それか動画クリエイターでみんなを楽しませるもいいよねぇ、お姉ちゃんも楽しそうにしてるし、あ、でも服を着飾ってあげるアパレルショップとかもありかも!」
「そっかそっか、とりあえず全部なれるように勉強必須だよ?」
勉強お母さんがまたきた。
「そこに戻るのかぁぁっ……」
がくっと肩を落とす相沢さん。
だがすぐに顔を上げ、
「分かった私やる!勉強する!」
決意を込め、まじめな顔になてった。
そしてどこからか取り出した、昔の眼鏡をかけ。
「今から勉強するから、話しかけないでね?」
勉強モードになって、教科書を読み始めた。
小声で、「やるぞォォぉ」とも言っている。
「この状態がいつまで持つか、楽しみだね」
「新年まで持ったらすごいと私は思ってる」
「どうなんだろう」
でも相沢さんはやりたいことあってすごいな。
なんというか、とても眩しく見える。
やりたいことに向かって、突き進いく。
なんかかっこいいなぁ。
かすみも海外小説とか翻訳したいから今の進路に進んだって言ってたし。
みんな何かしらやりたいことがあるのかぁ。
いいね。
「成瀬君は特にやりたいこととかないのぉ?」
「……うん夢という夢はない……ね」
「そっか、私と一緒だ~」
「一緒?」
「うん、私も別に将来やりたいこととかないんだよね。普通に暮らして、幸せに、怠惰に過ごして、きれいに、死にたい。たーだそれだけなんだよなぁ。 買い物とか、ファッションとか、服見るとか、友達と夢の国行くとか、それだけ」
茉莉さんはそのために、と続けて。
「だから勉強するんだぁ、将来楽するために、大学行って、勉強してホワイトな職場に行って。でもそういう生き方もありだと思うんだよね、緩ーく生きるのも一つのライフスタイル? みたいな?」
たははーと朗らかに笑う。
「成瀬君はどんな感じなの?」
茉莉さんには、かすみと話した内容をそのまま伝える。
嫌味にならないように、帝大とかは言わず、ぼかして。
「私とおんなじかな?今のところは……。でも成瀬君はあれだよね。何か夢がきまったら大学とかもスパって辞めそう」
「いやーさすがに……」
ない、とは言い切れないのが怖い。
「図星だねぇあはは」
またまた茉莉ママが降臨してる。
「茉莉おかあさま?」
「めっちゃ上品なこだね、よしよし、存分に悩みたまえ少年!」
そうしていつも通り授業が始まった。
緩く、生きてく、そういう考え方もあるんだな。
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一方同じ教室の片隅で。
「どうしたん真希、一人でニヤニヤして?」
「い、いやなんでもないわよ?」
どこかの妹が頬を赤らめていた。
その内心はというと……
た、巧のママプレイ……ギャップがあっていいわね?
ね、姉さんともやっているのかな?
「は、はぁはぁ……」
どこかの妹が盗み聞ぎした会話で少し発情していた。
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モンスターラブ見ました。
死にそうです。
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