第72話 進路と爆弾発言


 炬燵の中で、冬なのに熱中症になるくらいにとろけあって。


 「お風呂……はいろっか?」


 精根尽き果てた俺にかすみが優しく微笑む。

 当のかすみはなぜか、お肌つやつやで元気いっぱいだけど。

 

 「でもお風呂溜まるまで、ちょっとお休みしよっか?」


 そんな言葉と共に俺の意識はまどろみへと落ちる。



 ……テロテロリン♪



 どれくらいたっただろう、お風呂の溜まる音と共に目を覚ます。

 どうやら、眠っていたらしい。


 「んっ……」


 「あ、起きた? ちょうどよかった、じゃあお風呂いこっか!」


 眠い中、手を引っ張られ、あれよあれよという間に浴室へ。



 「じゃあ洗ってあげるね?」



 髪を洗ってもらい、コンデショナーもつけられ、全身を洗われる。

  

 ふわふわとした気持ちの中、唐突に。

 


 「あーんっ♪」



 気づけば下半身を洗われ、

 その強烈な快感に、目が覚める。


 「あぐっ?!」


 「やっと眼、はめふぁね?」


 かすみが咥えながら、もごもご喋る。

 その一つ一つの刺激が既にやばい。


 「んくっ?!」


 「んぐっ?!ごくっ、ごく…………いっふぁい出た?」


 口元に白い液体がとろりと垂れる。



 「さっきも出したのに……いっぱいでたね?やっぱ筋トレの成果かなぁ? ほら早くお風呂入って、冷えちゃうから」


 

 なんか無限にかすみが俺を甘やかしてくる。

 かすみも髪と身体を洗い、お湯の中へ。

 

 

 炬燵とは逆に今度は俺がかすみに抱かれる側に。

 

 

 「はい、おっぱいど? きもちい?」

 

 「控えめに言って極楽」


 「ならおっけ〜、それで~?」


 「……それで……とは?」


 「うん?なにか聞きたいことあったんでしょ?相談したそうな顔してたし……あれ?違った?」


 

 かすみの勘は相変わらずすごい。


 

 「……あれ?ならさっきも?」


 そうすると、かすみがうぐ……と言葉に詰まる。


 「ま、まぁ?気づいてたんだけど?……その……なんというか……悩んでいる巧見たら、可愛くなって…………つい襲ちゃった?」

 


 全く。


 

 「ならしょうがないか」


 

 全然納得した。


 

 「……それでどうしたの?」


 「うーん、ほら俺も高2の終わりじゃん?」


 「はやいね~月日が経つのは……」


 「なんかおばさ……あ」


 言い切る前にとてつもない圧を感じた。


 「うん?なに?」


 「ぜ、全然?なんもいおうとしてないよ?」


 「おばさ……とか言わなかった?」


 「なんのこと?」


 笑顔なのに、目が笑っていない。

 ここはしらをつきとおすに限る。

 

 「もうっ、女性に年齢は禁止だよ!!」


 「……な、なんのことかわからないけどすみません」


 「むぅ、引っかからないかぁ」


 あぶなぁ、罠か。

 あやうくひっかかるところだった。

 

 「引っかかってたら年上の魅力を教えなきゃいけなかったんだけど」


 それはなんて魅力的なお仕置き?!

 ひっかるか悩むぞそれ。


 くっそ、どうして引っかからなかったんださっきの俺。

 

 「ま、それはそれとして。 悩みって何かな? 年上の功というものを見せてあげましょう!」


 

 どんと胸をはるかすみ。年のこと気にしてたのに、年の功て。おっちょこちょいでかわゆす。


 

 「ま、まぁ相談したかったのは進路なんだよね」


 「あ~、もうそういう時期かぁ」


 わかる、悩むよねぇと頷くかすみ。

 かわいい。


 「かすみはなんで今の大学に?」


 今かすみは語学系の大学に行っているって聞いた。


 「あ~私はそんな大した理由じゃないよ? ただ、日本のサスペンスとかミステリーじゃ物足りなくなって、海外のミステリーも読み漁って。それでもやっぱりさ、日本語訳じゃ直訳感があっていまいち没入できなくて。だったらと思って自分で原作の雰囲気を感じてみたくて読み始めたんだけど、それがまた日本語訳とは違う面白さがあったんだよねぇ」


 そう話すかすみの眼はとても楽しそうだった。

 

 「だから自分でこの雰囲気をもっと表現したいし、伝えたい。そう思ったんだ、だから翻訳のお仕事とかありかなぁって。今もエルの動画では、編集と一緒に英語の字幕もつけたりして、夢の練習もできてる感じなんだ」


 翻訳できなくても英語とかの語学使えればつぶしもききやすいしね、とかすみは笑う。


 「めっちゃ夢あってすごい。俺なんて何もイメージつかなかった」


 「私の場合はたまたまだよ、大半の人が夢なんてないと思うよ?生きるために働く、そういう考えも私はありだと思うしね」


 「生きるために、かぁ」


 いまいちピンとこない。

 まだ社会に出るってことが想像できない。


 「まぁまぁ夢とかやりたいことは見つかる時は見つかるもんだから、さ。一緒にがんばろ? 相談には乗るから」


 「ありがと」


 「ううん、当たり前のことだよ?ひとまず進路希望はださなきゃでしょ?」


 「そだね、じゃあひとまず書いておこうか、つぶしが聞きやすそうな大学を」


 「一旦それでいいんじゃないかな?」

 

 そのままたわいない話をし、お風呂場を出て、ぱっと思いついた志望校を書く。

 

 「ここならつぶしききやすいよね?」


 進路調査票をかすみに手渡すと、一瞬驚き、呆れたように笑う。


 「つぶし聞くからって国立の日本1の帝大を書くのね……しかも理三、本当すごいよね巧」


 「いやぁ時間をかければ勉強なんて誰でもできるとおもうよ」


 「だからって、時間の全てかけられるから巧はすごいんだよ、何かのために一直線にひたむきにがんばれるのが」


 ひたむきに、かぁ。

 なら俺ががんばれたのは……。

 

 「かすみの為、だからね」

 

 そういうとあっと顔を開け、仄かに照れるかすみ。


 「……そうだったね……ありがと」


 ほのかに赤みを帯びたかすみの眼をみて自然と二人の唇が重なるその直前。


 

 がちゃり。


 

 玄関があいた音がした。


 「ただいまぁ」

 

 そして、そのままリビングに向かってくる。

 この大きな足音。



 親父だな。



 「お風呂入る前に、掃除しておいてよかったね?」


 「危なかったぁ」


 換気して、消臭剤をこれでもかとふきかけておいてよかった。

 2人でわらっていると親父がリビングに。


 今日は珍しく、黒のパリッとしたスーツを着ていた。

 

 「おう巧、ちょうどいいとこに。かすみちゃんも」

 

 「いつもお世話になってます」


 「いくらでもいていいよ、自分の家だと思って」


 そう言ってスーツを脱ぎに部屋に行こうとリビングをでようとして、親父が「あ」と言って立ち止まる。


 「あ、巧言い忘れてたんだが……」



 なんだその枕詞、めっちゃ嫌な予感する。




 「俺仕事辞めたわ」



 「………………ほぇ?」

 


 

 俺の嫌な予感大爆発☆

 


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー読んでいただきありがとうございます!!

後で見直したけど思ったよりえろかった笑

楽しんでいただけたら嬉しいです!


明日も更新できるとおもいます!

まだストックはあるので笑


Twitterの方がこまめに更新するかもなのでフォローしてもらえれば……


ちなみにみなさんご質問です。

新作検討してるんですけど、どっちが好みですか?

①義理の美人姉妹と元カノのラブコメ

②お隣の女子大生ラブコメ


どちらが読みたいですか?

コメントで教えて貰えると助かります✋

よろしくお願いします!、

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