第59話 謝罪と遭遇

 地獄の山登りが終わった。


 死んだ。

 俺は死んだ。

 というか、班の全員の表情が抜け落ちていた。


「……海がよかった」

「わかりみが深い……」

「分かりみが深すぎて深海に潜れそう」

「ちょっと何言ってるかわからない」

「私も」


 そんな風に、BBQ会場の1か所を見続けながら、相沢さんと茉莉さんと会話する。


 佐藤君と田中君もさっきまで、走って山を登った結果二人して死んでいた。


 だけどBBQをやるとなったらテンション上がって、秒でどっかに飛んでった。

 天真爛漫かよ、さすが陽キャ。

 一方こちら体力ない組。


「あいつらどんだけ体力余ってんのよ」

「男子だから有り余ってるのよ、いろいろと」

「……こちら男子ですが、何もありあまっておりませんが?」


 体力とか底をついて、もはやマイナスまでいってる気がする。


「なら男子じゃないんだよきっと」


 茉莉さんえっぐい事言ってくるじゃん。


「……いえいえ、健全とした男子ですよ?」

「成瀬君も多分、ちゃんとした、男子高校生だよ?……高校生……?」

「なんで相沢さん大事なところで疑問形になってるんだよ」


 れっきとした高校生だぞ?

 彼女と青春を謳歌している高校生ぞ?

 君見てたよね?高校生してるの。


「……だって、ねぇ?」

「そだね~」


 お互いの顔を見合わせてうなずき合う二人。


「考え方が高校生っぽくない、多分どちらかと言えば佐藤と田中とかの方が高校生っぽい」

「だね~、ほら女子ってさ精神年齢が同世代の男子より高いっていうじゃん?」


 小学校とかが顕著ってよくいうよね、大体2-3歳とかだったよね、差は。


「やっぱ全員が全員じゃないけどそう感じることも多いわけよ、でもさ成瀬君はそう感じないのよね、何なら年上にさえ感じるもん、特にエミとかそう感じるでしょ?」

「……ま、まぁそうだけど~、なんか私が暗に幼いって言われてる気がしてなんかしゃく!!

 ……でも言ってることは分かるねぇ、お姉ちゃんとも対等に話してたし……やっぱ大学生でも全然おかしくないとおもうよ」

「確かにいそうかも!」


 やっぱクラスメイトにも大人っぽいって思われてたんだな。


「私服の時とか、全然違うからよりそうだよね」

「あ、そうなんだ、どんな感じなの?」

「なんか、髪もワックスちゃんとつけて、多分アイロンとかも使ってセットしてたよ~」


 かすみがね?

 俺じゃないけどね?


「え~、私もみてみたい!……ん?ちょっと待って?」

「んーなに?」


 相沢さんがこてんと首をかしげる。


「いつ見たの?」

「……お、お姉ちゃんと出かけた時!! 成瀬君が歩いてて、助けてもらったんだ」

「ふーんそなんだー、今度見せてよ!!」

「こ、今度だね」


 あれ学校では基本的にやるつもりないしな。

 てかかすみもやってくれないし。

 かすみいわく、


『このたくみはさいっこーにかっこいいから、もてちゃったら困る!!』


 俺は単純に、髪型に気を使って疲れるからだけどさ。


「私は体力回復したから、BBQの準備してこよっと!あと佐藤と田中に準備させるのも怖いし!あ、エミと成瀬君はもう少し休んでからきなね!」


 そう言って、ひらひらと手を振って

 なぜか最後に相沢さんに向けて片目でウインクしながら。


「……行っちゃった」

「体力回復するのはや……」


 俺はギャルの体力をなめていたのか。

 そっか、よくよく考えたらギャルは渋谷とか竹下通りで日々戦ってるんだもんな。

 そりゃ体力あるわ、インスタ映えを探して、歩き続けてるんだから。


 対して俺。

 確かに高尾山は登った。

 踏破した。

 でもよくよく考えたら……。


「俺山頂の近くまでロープウェイ使ってたわ」


 そりゃ死にかけるよね。

 よし、夏休み走って体力めっちゃつけよ!


 今回の山登りは自分の体力知れたからよかった。

 こんだけ体力なければそりゃ、かすみに押しに押されるわ。


 というか……。


「あ~、相沢さん?」

「ん?」


 背を向け、水を飲みながら風を感じていた相沢さんが振り向く。


「さっきの話、だけどさ」

「……さっきの話……あ、キャンプファイヤーの後の」

「うん、そ。ちょっと申し訳ないんだけど行くの遅れるかも」


 え、と。

 うろたえだす相沢さん。

 あ、伝え方悪かったなこれ。


「あー勘違いさせたらごめん」

「……か、勘違いさせた?遅れる?」


 なんか更に絶望した顔をしてる。


「さっきさ、俺昨日あんま寝てなかったからOKしちゃったんだけど、そういえばさんから相沢さんの前にちょっと時間ほしいって言われてて、さ。ほんっとにごめん!!そんな長くないと思うから!!」


 そんな今更話すことないからな。


 すると相沢さんの絶望した顔が一転。

 眼が点となり、そして息を一回置いて。


「もうややこしいよ~!」


 安堵した。


「や、ややこしい?」

「勉強できな過ぎて嫌われたかと思ったよ!あと体力なくて!」

「いやいやそんな人いないでしょ~」


 どんだけ性格悪いのよ。


「うん分かった!じゃ、佐倉さんと話し終わったらラインとかして?」

「うん、ほんとにごめんね」

「じゃエナジードリンク1本で許す!!でも成瀬君でもミスするんだね~」

「するよ~……にんげんだもの!」

「みつ○!!」


 そんな風にしながら、俺らもBBQに参加した。

 案の定BBQでも紆余曲折あって。


 俺と相沢さんで皿洗いをしているとき。


「なぁ佐倉ダメかな……」


 水洗い場の奥の人少なめのところで、佐倉さんと男子がいた。


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