第58話 過去の記憶と陽キャたち
ミスをしたときに大事なことはなにか。
謝罪の神様でもある企業戦士なわが父は常々こう言っていた。
『ミスをしたらまず迅族に対応する。嫌なことだからって、対応後にしよ、とか考えたらだめだ。すぐに対応する。そのうえで、謝りすぎるくらいに謝る、相手が引くほどに、これ肝心だぞ?』
キャバクラに行ってキスマークを付け帰ってきてぶちぎれられた我が父は、正座しながら小学生の俺に人生の教訓をくれた。
因みにその時で母さんに説教されてから、3時間が立っていた。
またそれから、3時間は怒られていた。
いつもは頼もしい背中……いやいつも家族のために疲れた背中がより丸く縮こまっていた。
因みに母さんが怒っていた理由は、俺の教育に良くないということが大半だった、後は寂しくさせてって言ってたのも最後の方には聞こえてきたけど。
それから親父は、デレデレで帰ってくることは無くなり付き合いで行っても早く帰ろうと連絡したりし、休める日はなるべく俺や母さんといるようにしてた。
まぁ一般的な基準でいえばそれでも少ないんだろうけど。
でも親父なりには家族の時間を創ろうと、ずっと頑張ってたんだよきっと。
だから、さ。
何でだよ母さん、なんでおれらを……
そんな暗い気持ちが去来するが。
「おっはー!熟睡だったね~!」
顔を上げれば、茉莉さんや陽キャの佐藤君田中君、それに相沢さんまでいる。
というか班のメンバー全員いる。
「さすがに爆睡しすぎでしょー!そんなに佐倉さんの隣の寝心地がよかったのか?!」
「……それとも昨日ウキウキして眠れなかったとか??」
「もしくは自家発電がはかどったとか??」
田中君の言葉で場が一気に凍った。
「田中……それはないわ」
「田中ぁ……」
「○ね!」
3者3様に罵られる田中君。
すがるように俺を見つめてくるマッチョ田中君。
俺は優しく微笑み、田中君も俺に笑い返してくる。
「田中君……TPO 覚えよっか」
「一番辛辣ぅぅぅ!!」
そんな会話をしながら、バスを降り、山のふもとに着いた時にはもう他のみんなはそろっていた。
どうやら俺らが最後だったらしい。
結構しっかり寝たらしい。
てかどうしよ、いつ相沢さんに言おう
「はーい、よしっ!ちょうどみんな揃ってるなぁ、んじゃこのまま登っていくぞぉ」
「「はーい」」
まぁ山登りとはいっても所詮は、高校でやるレクリエーションみたいなもの。
これ余裕でしょ。
最近運動を始めた俺にとってはこれくらい勉強のようにイージーWIN。
檻を見て登山してるときに相沢さんに、Wブッキングの件を伝えよう、そんなことを安直に考えていた。
「……はぁはぁ」
舐めていた。
山の神を。
こんなにも、こんなにも長野の山がつらかったなんて知らなかった。
高尾山を攻略した俺ならいけると思ってた。
山を登り始めて既に1時間。
未だゴールは見えない。
高尾山ならもうついてるぞ絶対!
「あはは、だいじょーぶ?」
おーい、生きてるか―と、相沢さんがちょっと先から声をかけてくれる。
「だ、だいじょばない……」
しかし俺にはそんな相沢さんに返事する元気もほとんどない。
「勉強は出来ても、体力は全くない……のね、頑張り……たまえよ?……少年」
「いや、……そう言う茉莉さん……も……頑張り……ふぅ」
俺と一緒に死屍累々となっている茉莉さん。
ちなみに佐藤君と田中君は開幕で、「頂上までダッシュだぁぁぁぁ!!」とか言って走ってった。
最初じゃ温かい笑顔で見守っていたが、今では分かる、奴らは化け物だったと。
あと班行動とは何だったのか、マラソンでも「一緒に走ろうね」って言って途中で裏切るやつはいても、最初からのやつはなかなかいないぞ?
「き、きつい……」
「わかる……完全同意……」
「成瀬君も茉莉も、二人して体力なさすぎん??」
俺も茉莉さんも、余りの正論にぐうの音もでない。
「くっ、勉強は出来ないのに……」
「体力はあるんだね……」
「いや勉強できないから逆に?」
「ああ、身体能力に……」
納得納得。
「そこ!勝手に納得しない!誰が運動馬鹿よ!!」
びしぃっと指をさし怒ったかと思うと、
負け惜しみも今はなんも思わないもんね~!」
最高に腹立つ顔で煽りはじめる相沢さん。
べろべろべーと、と変顔してくるところはほんと見た目通りの糞生意気なギャルである。
流石ギャル神。
大して俺らは、というと……
「エミめぇぇぇぇ」
「生意気なぁぁぁ」
最後の力を振り絞って立ち上がる。
「ふはは、まだ立ち上がるか……二人とも」
なんか相沢さんが演技し始めた。
多分だけど魔王っぽくしてる。
「こ、こんなところで倒れるわけにはいかない……」
「私たちには
「ならばここまできて見せよ!!」
そして乗っかっちゃう俺ら二人。
そんなあほみたことなことをしている姿を……
「……何やってんのお前ら?」
最後尾を見に来た担任にばっちり見られたのだった。
ちなみにまだ山の中腹であった。
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お待たせ!!
仕事で死んでてちょっとずつしかかけんかった
もうそろそろ、キャンプファイヤーとか入るで!!
ほなよろしゅう!
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