第55話 林間学校前日のいちゃいちゃと幕開け

 テストを返却されて、次の週。

 土日には林間学校の準備とかをして、かすみは最後のレポートとかをして二人して久々に土日をゆっくりと過ごした。

 その間、親父は時折姿を現したが、すぐに出かけていた。


 毎回、出ていくときに。


「この空間……俺には甘すぎるっ!」


 と、なぜか胃もたれしたような顔をしていた。


 ……なんで?


 いつもより相当いちゃいちゃとかするの控えてるんだけどなぁ。

 流石に親父の前でいつもみたいなのは、恥ずかしいからな。


 それに、母さんの件もあって控えてたし。


 うーん解せぬ。


「……くみ、たくみ?」

「あっ、どした?」

「もうさっきから呼びかけてるのに返事ないからぁ!あー分かった!」

「……うん?何が?」

「あのクラスメイトのギャルの相沢さんのこと考えてたんでしょ~!」


 ……why?

 なぜにその名前が?

 なんにもないんだけど?


「……だ、だってさこないだあったけど、めちゃくちゃかわいかったし、ちょっと馬鹿っぽくてぬけてて、昔は地味目で今はギャルっていうギャップもあるんでしょ?それがクラスメイトにいるとか心配だよぉ!しかも隣の席っていうし!そんなん絶対気になっちゃうでしょ!」

「相沢さんを?いや気にならないよ?普通に良くしてくれる人としか思ってない。俺はかすみしか見てないからね、ずっと」

「……心揺らいだりはするでしょ?」

「しないよ、さっきはなんで親父に甘すぎる、胸焼けするって言われたんだろって思ってたんだ、さっきもいわれたし」

「……あ~それはたしかにねぇ……なんでだろ、そんないちゃついてないのにね?」


 かすみはそうしながらしなだれかかってくる。


「こんなこともしてないしね?」

「うん、親父、ちょっと固いのかもな?」

「……どうなんだろ?それよりごめんね疑うようなこと言っちゃって、めんどくさい女だったよね」


 落ち込んだようにつぶやくかすみ。


 疑うようなこと?あぁさっきの相沢さんとかっていうあれか。


「今、アレの前だからちょっと神経質になってるかもしれない」


 あれ?ってあれか!

 そう言えばそっか女性だとあるよなそう言うの。

 あんま今まで意識して生きてこなかったけどそっかそうだよな。


「めんどくさくなんてないよ!逆にちょっとうれしかった」

「……嬉しかった?……何が?ただめんどくさいだけじゃないの?」


 心底分からなそうに、不安そうにする。


「ほらいっつもかすみっておれを安心させたりしてくれるけど、あんま独占欲とか見せないじゃん?しょうがないなぁって感じでさ。そんなかすみが素直に独占欲を見せてくれたのがうれしくて」

「たくみ……」

「まぁ俺がそもそも心配させるなって話でもあるけどね?」

「ううん巧は悪くないよ、でも林間学校とかあってはなれて、しかも女の子もいるから不安だったのかも」

「無用の心配だよ、俺もてないしさ!」

「……だから心配なんだよねぇ」


 そんな人を鈍感みたいに言わなくても。


「安心してよ」


 自信を持って言える。

 俺はもてない!!


 ……なんか言ってたら悲しくなった。


「分かった、もてないってところは信用できないけど!! たくみは靡くような人じゃないのは知ってるからね」


 かすみの俺への評価が高すぎるっ!!

 まぁ彼女から評価されてて嬉しいけどさ!


「……そういえばあれ前って話だったけど、出来ることあったら言ってね?なんでもするから」

「うん、ありがと」


 優しく微笑むかすみ。


「じゃああれ前だけど、一つ早速やってほしい事あるんだけどぉ……いい?」


 首をかしげ、こてんと手をもじもじさせながら言うかすみ。

 恥ずかし気に眼をうつむかせて、チラチラ見てくるあたり最高に可愛い。

 攻撃力最強かよ!!


「ぐふっ……、何でも言って?」

「なんで吐血したの大丈夫?」

「か、かすみが可愛すぎて……つい」

「……んなっ!ついで吐血しないでほしいんだけど!もうっ!」


 ツンデレなのもまたそれはそれで。


「それでお願いって?」


 なんでもきいてあげる。


「今のたくみのお願いで、よりちゃんとやってもらう必要が出来ました!」

「やること?」

「……うん、明日から林間学校でしょ?」

「うん」


 泊りがけで行くからかすみと離れて寂しい。

 テレビ電話しようかな。


「学校は学校で楽しんできて?でもやっぱりさみしいのはさみしいから……」

「から?」

「今日は私を……抱きつぶして??」


 その言葉を聞いた瞬間、理性が飛んだ。

 その日、俺は狼になった。



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「ささ、林間学校いっくぞー!」


 バスの中ではしゃぎ気味な相沢さん。佐藤君と田中君、それに茉莉さんなどみんなテンションが高い。

 というかクラス全体的に高い。


 ハイテンションなのは勉強合宿をなんとか回避して、林間学校に行けたからかな。

 テスト返却後の相沢さんとは真逆の様子だ。


 勉強合宿の話は結局、生徒に危機感をあおるためにいったらしい。

 ただ全部が全部嘘でもなくて、勉強合宿自体はあるにはある。

 ただテストで赤点をとっても、その後の追試をクリアすれば免れるということらしい。

 テスト後にそれを言われ、相沢さんたち追試組のテスト期間は延長され、無事クリアできたという訳。


 そんな努力の末に勝ち取った林間学校、そりゃハイテンションになるのもわかる。


 俺も彼らの合格には心から喜んだもん。

 彼らが行けなかったら、茉莉さんと二人きり、彼女のことが嫌いではないけども二人はあまりにもきつすぎる。

 無事よかった、よかったんだけどさ。



 ただ今の俺は素直に、テンション高く笑えない状況にある。


「……ういっす」

「……うん」


 なんで俺の席の隣が別の班の真希なんだよ!


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 お久しぶりです!

 昨日本当は出すつもりだったんですけど、気づいたら書かずに9時には寝ちゃいました、すいません笑


 出してない間におすすめレビュー書いていただき感慨深いです!


 いつも応援ありがとうございます!

 沢山のコメントとかももらえてとてもモチベになっています!

 これからも星とか応援よろしくお願いします!

 

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