第53話 見せつけられる勉強会(ギャルSIDE)

 自己紹介もほどほどに、早速主題の勉強会を。

 席は私の隣にお姉ちゃん、前に成瀬君、そして私の斜向かいには、成瀬君の彼女でお姉ちゃんの友達のかすみさん。

 何度見ても見惚れるほどきれい。


 髪をきちんとお洒落に整えられて、私服もパリッとして、大人っぽく、それこそ大学生のように見える成瀬君は学校での物静かな感じとは違って、不思議とかすみさんとお似合いのカップルのようにも感じる。

 まぁ実際にカップルなわけなんだが。


 そんな二人は既に、自身の課題か何かに取り組んでいる。

 お姉ちゃんとかすみさんはPCを開いてひたすら何かを打ち込んでいる。

 多分、レポートか何かをしているんだろう。

 最近お姉ちゃん、配信者の方の仕事で忙しくて、大学の課題がギリギリになりがちって言ってたし。


 みんな各々のことをして、筆記音とタイピング音、それに参考書をめくる音だけが室内に響く。

 私もゆっくりとはあるが、分からないところは教科書等を見ながら問題を解いていく。

 朝結構勉強したおかげか、基礎的な問題は公式とか使って解けるようになってきた。

 応用的な問題になると、途端に手が止まっちゃうけど。


 うーん、どうやって解けばいいんだろ

 さっぱりわからないや。


「……相沢さんどこか分からないところある?」

「……え?あ、えーっとここがちょっと」

「ん、ちょっと見せて~」


 わ、成瀬君がこちら側に来ていた。

 横から覗き込むように、私の問題集を見てる。

 ってあ、私の途中式とか色々ごちゃごちゃに書いてあって恥ずかしいかも……。


 顔近い!!

 なんかそれに香水かな、石鹸のような匂いもする。

 髪からも甘いシャンプーのようなものが仄かに香るし。


「あ、なるほどね、ここ躓きやすいトコロなんだよ……」


 そうやってフォローを入れてくれながら、分かりやすく説明してくれる。

 逐一私の様子を気にしながら。


「どう?分かった?」

「めっちゃ分かりやすかった!ありがと!」


 ドキドキしてることを悟られないように明るく笑顔で。


「ありがと、それとごめんね~成瀬君の勉強の邪魔しちゃって」

「全然全然。逆に人に教えると勉強は覚えやすいっていうから気にしないで、またなんかあったら気軽に声かけてよ」


 そう言って自分の席に戻っていく。

 でも気軽に声かけて、って言っても彼女さんいる前で話しかけるのも……


「あ、私に気を使ってるのかな?……そりゃそうか彼女いたら聞きづらいもんね~、ん-とまぁ勉強会だし普通に学校みたいで大丈夫だよ?」


 困ったように笑うかすみさん。

 というか気遣いまで出来るなんてなんてできた人なんだろう。


「そそ、かすみんの彼氏だからって気にしないの、というか、あんたには気にしてる余裕もない!」

「……お姉ちゃんうるさい!」


 みんなの前で恥ずかしいじゃん!事実だけどさ。

 ほらかすみさんも成瀬君も苦笑いしてるし。


 もうッ本当にもうっ!!


「エルにも、エミちゃんくらい気を使えれるようになれればねぇ……」

「私は気を使えないんじゃなくて、気を使わないのよ!」

「そんな自陣満々に言わなくても……極端にじゃなくもう少し中間くらいで、って思わないエミちゃん?」

「全くその通りですね!」


 全く持って同意見です!!


「うわ、味方いない!巧君はこっちの味方だよね?」


 お姉ちゃんが成瀬君に同意を求めるが……


「いや親しき中にも礼儀ありってやつですかね……」

「ここに私の味方はいないのか!!」


 絶望した顔でうなだれるお姉ちゃん。

 ふふいい気味だ。


 だから追い打ちを……


「お姉ちゃんに味方はいません!」

「あ、そんなこと言っていいんだァ、明日の勉強量ふやそーっとテスト前だし?」

「お姉ちゃんの味方は私以外いないって!」


「お手本のような手のひらくるりだね」


 成瀬君とかすみさんが見合って苦笑している。

 何とも様になっていて、微笑ましいはずなのに……


「まぁ手のひら返してきても勉強量変わらないけどね!」

「この鬼!悪魔!ひんにゅ……ひえっ」


 空気が凍った。

 お姉ちゃんの氷の微笑。


「……なんて?」

「……なんにも?」

「だよね、勉強量倍で」

「なっ、そんな殺生な!!」

「3倍?」

「……あ、何でも、ないです」

「はい、勉強しなさい」


 そのまま静かに勉強。


「……かすみここの英訳って、こういう解釈でいいの?」

「あ~、直訳ならそうだけど、ニュアンス的には……こっちのほうが正しいかな?」


 ふと目を上げれば、かすみさんが成瀬君に、英語か何かを教えてあげていた。

 成瀬君でも分からないことあるんだなぁ。

 というかやっぱり、私に教える時とは違って、距離感が近い。

 肩が触れるほどの距離で、目と目で一瞬だけ見つめ合って、照れたように目を逸らす。


 なにそれなにそれなにそれー!


 ……う、うん、気にしない勉強に集中!

 集中!はっ!集中!


 私は目の前の現実から目を背けるように勉強して、分からないところは聞いて、概ねはかどった勉強会だった。


 18時過ぎ。


「今日はありがとね~」


 成瀬君とかすみさんが帰る時間。

 2人して、そろって玄関に。


「ううん、こちらこそレポートはかどったよ」

「お邪魔しました!」


 成瀬君はぺこりと頭を下げる。


「今日は勉強見てくれてありがとうございました!」


 なんだかんだで結局英語とかはかすみさんにも見てもらってた。

 めちゃくちゃ分かりやすかった!

 なんでそう考えたかもちゃんと聞いてくれて……教師とか向いてるんじゃないかなって思った。

 かすみさんてその美しさの割に、すっごく親しみやすいんだなぁ。


「ううんこちらこそ勉強になったよ」


 ほらもうすごい。


「かすみんは今日家に帰るの?」


 お姉ちゃん何その質問は。

 当たり前でしょ、それぞれの家に……


「うん、荷物だけ取りにーそのあとはいつも通りたくみの家に」

「あーそっか、おけおけ~、じゃあ仕事はいつも通りでいい?」

「大丈夫だよ~、オンラインで会議とかには出るね~」

「ほいほーい」

「じゃ、またね、えみちゃんもまた」


 ……え?……え?


「あっ、ありがとうございました!」

「じゃまた学校でね~」


 成瀬君とかすみさんがマンションを出ていく。


「よっし、じゃあ勉強頑張ってついでにご飯でも私たちもたべいこっか」

「……え?」


 勉強会の終わりに、一番意味わからない問題が振ってきた。


「どゆこと?」


月曜日、朝登校したら成瀬君がやつれてた気がした。

勉強しすぎたのかな?


 ー-----------------

 休日が終わる。

 また平日が始まりますね(´;ω;`)

 頑張りましょう!!


 いつも応援ありがとうございます!

 沢山のコメントとかももらえてとてもモチベになっています!

 これからも星とか応援よろしくお願いします!

 これからも応援よろしくお願いします!!

 モチベになりまくります!!

 

 ではでは。



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