第50話 何度でも君に愛を……

 一週間が終わった。

 とうとうきた勉強会当日の土曜日。

 おれは前日変な緊張であんまり眠れなかった……。


 ……はい、嘘です。

 本当は別の理由です。

 昨日かすみが、


『1週間お疲れ様、お疲れのたくみの身体を私がマッサージしてあげる!』


 と、謎のマッサージ師かすみ様として降臨され、身体のこりを解されてました。

 ええ、どうやら下半身がとてもとてーも凝り固まってたらしいです。

 かすみマッサージ師が仰っていました。

 結局昨日は初回ということで、2時間のコースでお題は無料という破格のサービスでコリと不純物を全身を使って吐き出させてもらい……。

 なので、2時には寝れました……とっても気持ちよかったです。

 ただ一つの懸念点も。


 どうして途中はかすみを組み敷くように、形勢逆転できるのに、最後はなぜかされるがままになってしまうのだろうか。やっぱ体力か、体力なのか、それともスキルか。

 これお手本を見ておくべきなのか、具体的には某しみ○んとかで。


 本格的に体力強化とスキル強化の必要性が急務となってきた。(遠い眼)

 相沢さんにもやるっていっちゃったテスト思ったらやろう。


 まぁそんな懸念点は置いておいても、ほんと勉強会が今日の朝からじゃなくてよかった。

 まだ12時からだったから良かったけど、朝からなら間違いなく遅刻してた。


「今日もあっついねぇ、夏だもう」


 ぱたぱたと小型扇風機を片手で仰ぎながら歩くかすみ。

 そんなかすみのコーデはスリット入りのロングスカートに黒のTシャツ、靴はスニーカー、髪も巻いていて、どこかのファッション誌に出てきそうな装い。

 つまりお姉さん感が強く、何が言いたいかって言うと俺の彼女が最高に可愛いってこと。


「そんなこっち見てどしたの?……あ、分かった」


 かすみはにやぁってして、


「この小型扇風機かしてほしいんでしょ~?」

「いや子供か!……いやかすみは今日もかっこ可愛いな、と思って」


 かすみは一瞬固まり、そして慌てて手で顔を仰ぎだした。


「あ、あ~、今日は本当にあついねぇもう嫌になっちゃう」


 ぱたぱたと。

 片手に扇風機を持っているのに、それを忘れて慌ててるところが最高に可愛い。


「あれ、照れてる?耳が少し赤いよ?」

「なっ……むむむぅやるじゃん」


 一瞬ぷくっと頬を膨らます。

 しかしこれまた、可愛くてもうどうしよう。

 にやけが止まらない。


「たくみもいつもより大人っぽくてかっこいいよ?」


 かすみがやり返してきた。

 まぁ好きな人にそう言われて喜ばない男はいないよね。


「うん普通にうれしい、かすみ好みにしてもらったからかな」


 今日は夏っぽく前髪は上げて、耳掛けアップバングというやつにしてもらった。

 それをジェル系のワックスをつけて出来上がり。

 それにプルーライトの眼鏡をかけた。


「私好みにしたけど、正直言えば私は元のたくみが大大大好きだから、どんなたくみも基本好きなんだよねぇ。 今は昔からこれやってみたいとかああしてみたいってのをやってる段階なんだけど、とりあえず今日も最高にかっこいい」


 上手く返せたと思ったら、真顔で俺について語られた。

 大大大好きってなにそれぐわぁぁぁぁぁっ!!


「……ぐふっ」

「どしたのいきなり、刺されたような声出して~……あっ今度こそわかった」


 さっきと同じようにニヤリとかすみの口角が上がる。


「照れてるんだァ、お姉さんの言葉に照れちゃったんだなぁ」

「さすがに大好きな人に大大大好きとか、私好みとか言われたらそりゃにやけますって、最高にうれしいんで、クールに装えるわけがないよ」

「……大大大好きなんてそんなこと……いったねうん、確かに間違いじゃないけどでもうんなんか気恥ずかしいね」

「分かる、気恥ずかしいおれもそうだったうそじゃないけど」

「うん、でもさ」


 ととと、っと少し前を向いて走ってくるりと振り向く。

 その際に巻いた髪がふぁさりと舞って、


「好きな人から好きって言ってもらうの、何回言われても最高に嬉しいよね」


 少し照れながらも、でもそのはじけるような笑顔におれは思わず見とれてしまう。


「……」

「……な、なんかいってよ、なんか一人で宣言したみたいで恥ずかしいじゃん」


 かすみのすねたような口ぶりにやっと意識を戻す。

 危なかった、かすみの周りに俺の中でひまわりの花が舞っていた。

 可愛すぎて、気絶しそうだった危ない危ない。


 前を見ればかすみがさっきよりも赤くなってこちらを見ている。


 どした?


「……ぇてる」

「え、なんて?」

「全部聞こえてる!!」

「何が?」

「心の声、ひまわりとかなんちゃらかんちゃら!」


 ひまわり……。

 あ。


「また?」

「……またです」


 なんか前も同じことをやった気がする。


「でもしょうがない、かすみが可愛すぎるのが悪いと思う!」

「開き直ったね」


 まぁそうともいうけど。


「これからさ、ちょっと照れくさいけど何回でも俺はかすみのことを好きっていうよ、この溢れんばかりの気持ちを、さ。何回言ってもいいっていってくれたし?やっぱ思いは伝えないとすれ違ったりもするからね、想ってるだけじゃ伝わらないから、ちゃんと言葉として伝えるよ」


 過去にそれですれ違ったから。

 それにかすみのあの笑顔をいつまでも見たいし守りたいから。


「うん、それは嬉しいけど、さ」


 かすみが少し言いよどむ。


「あれ?なんかした?」


 結構な決意でいっただったんだけど。


「う、ううんすごくうれしいんだけど」


 かすみの声は気持ち小声で。


「……ここ道の真ん中だから、ちょっと恥ずかしい、かも」

「…………あ」

「でも本当にうれしいのも本当、だから困っちゃうぅぅ」


 かすみは扇風機を相変わらずぱたぱたとしてた。



 そしてそんなこんなで電車に乗った時に一言。


「普段は少し控え目にして、あんなに好き好き言われたら、予定とか全部無視したくなっちゃうから」


 俺がむらっと来たのは言うまでもない。


「だーめ、勉強会しに行くよ?」


 勉強会よりも、今日の夜が待ち遠しくなってきてしまった。

 そんな勉強会に向かうまでの道のり。


 ー-------------------------------------

 ごめん勉強会の話をするといったな、あれは嘘だ。

 普通にかすみいちゃラブ回だったわ。

 まぁ50話だしいいよね。


 書いてて砂糖吐きそうだった(げふっ)


 いつも応援ありがとうございます!

 とうとうこの作品(略称なんかいいのあったら教えて)も50話突破しました。

 ひとえに皆さんの応援のおかげです。

 沢山のコメントとかももらえてとてもモチベになっています!

 これからも応援よろしくお願いします!!











  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る