第47話 お姉さんとの約束
「そういえば昨日真希来なかった?」
「……え?」
ベッドでかすみのたわわに包まれゆっくりしていた俺は、胸から一旦目を離し、思わず上を向く。
「……え、マジ?」
「うんまじまじ、昨日かな?明日ぐらいしかテストとか林間学校とかで、話す時間ないだろうからって言ってたんだけどなぁ……それはそうと君の場所はここでしょ?」
「むっぎゅっ」
かすみは自身の胸の谷間に俺の顔を埋める。
「うん、ぴったり、納まりいいね!」
こうすると自然と、俺の顔は息が苦しくなるわけで。
「んむっむみぅぅ!!」
「んー?どしたー?」
かすみの胸が豊満すぎて、息が、息がぁぁぁっ。
……あ。これ息苦しさはあるけど、不思議と甘くて、でもやったあとだからか、かすみの匂いもして。
端的に言ってめちゃくちゃ心地いい、このまままどろみの中で溶けていきそう。
「あ、もしかしなくて息できないね!ごめんごめん!」
かすみは慌てて胸から俺を救い出す。
こんなこと本当にあるんだ……
「……っぷはぁ」
肺が空気を求めていたっぽい。
でも少し残念さもあって。
心境としては、水泳の時に全力を出して、水中から陸上に上がったときの気分。
それつまり……
「ふみゅっ」
「あんっ」
また胸に戻りたくなるよね?
「あ~もう好きなんだねぇこ・こ・が」
かすみが、しょうがないなぁと、今度は優しく包み込んでくれる。
「やばい癖になりそう」
「んーじゃあ……たくみ上向いて?」
向きをかえ、頭を持たれてぽすんと膝におかれる。
「これは?」
ふむ、胸とは違うよさがある。
しかもこれの良いトコロは上を向けば、そこにあるのは顔。
ではなく、立派な山脈が。
「天国はここにあったのか……」
「何言ってんの~?」
呆れたように笑われる。
「下乳がすごい」
絶妙に形が保たれていて眺めが壮観。
一生見ていられるねこれ。
「む~、これで顔を見つめられると思ったのにぃ」
「自分の大きさを見誤ったね」
「むぅぅっ」
かすみが頬を膨らましていそうなのが、手に取るようにわかる。
まぁ顔は山脈によってわずかにしか見えないけど。
「……ううんっ?!そ、そう真希。真希が来たと思うんだけど……」
「あ、そうだった」
でも来たの……か?
うーん。
「学校で何かいわれなかった?」
「いや今日は特に何も~」
はなしてもないし。
「でも学校には来てたけどね~」
「ん~話しかける機会が無かったのかなぁ」
「……でもよかったかも」
「……よかった?」
俺の言葉に少し怪訝そうにするかすみ。
そうだよな、これだけじゃ何が言いたいかわかんないよな。
「実はさ、同じクラスの相沢さんと相沢さんのお姉さんのエルさん?と会ったあとさ……」
「うんエルがほめてたよ、うちの妹をかっこいい今時男子に助けてもらったって」
「あ、それはなんていうか照れるね……ありがとうございます」
「私としても、誇らしかったから『私の彼氏ですから!』って自慢しといたけどさ。でもなんていうか嬉しさ半分、嫉妬心半分、見たさ半分という」
「なにそれ半分じゃないじゃん」
「それだけ複雑なの~、乙女心はね、ごめん話の腰折っちゃって」
エルさんたちにはよく思われてたみたいで良かった。
表面上では友好的に見えても相手からは、良く思われてないとかも聞くからね。
「あ、うんそのあとさ、ちょっと近くの神社にお参り、して帰ろうとしたんだけど、さ」
「……うん?」
「その時に偶然出くわしたんだよね……母さんに」
「お義母さん?!え、え、えっと、うん。ちょっと待って」
かすみは裸のままちょっと考えを整理させるために頭をぐりぐりとしているっぽい。
まぁ全部は膝の上のまんまだからわかんないけど。
「うん、いいよごめん話を遮って」
「あ、うん。それで母さんはなんていうかその話は出来て無くて、たまたまお茶の水駅近くでタクシーに乗る所をみて、さ……」
「それだけじゃないんでしょ? たくみが言いずらそうにして、顔を青ざめさせるようなことがあったんでしょ? だから日曜日の夜寝れなくて、昨日気絶するように寝たって感じなんでしょ?」
「……やっぱわかっちゃうか。……タクシーに乗る時、隣で男の人がいて、さ。あぁやっぱり手紙に書いてあるのは本当だったんだなって。母さんは母さんでもう新しく人生を始めてるかもしれないのに、俺と父さんはいまだ立ち直れなくてさ、真希に会ったら、あの日のことをまた鮮明に思い出して。だから今日あっても何言ったらいいか多分分からなくなってたと思うから」
だから会わないのが真希の為だったかもと、冗談めかす。
「……無理して笑わなくていいんだよ?」
かすみは、俺の頭をゆっくりなでてくれる。
そして優しい声で。
「たくみは全部一人で背負おうとするんだから、そんなことあったならすぐ言ってくれたらよかったのに。だから元気無かったんだねあの日」
「……でもあの日は真希の問題を抱えてたから、俺は俺で自分の問題に、いや厳密には真希のも俺も関連してるんだけど、さ」
「なーにいってのおばか!」
かすみはていっと、軽く頭にチョップしてきた。
え?
「『え?なんで?』みたいな顔しない!そりゃそうよ、一人で悩むんだから!いい?私たちは楽しいときはその楽しさを何倍にもして、いやなことがあったり、悲しいことがあったらそれを半分にするの。それが付き合うってことだよ? 今はたくみが多く嫌なことを半分にしてもらってフェアじゃないって感じるかもしれないけど、そんなことないからね、真希のこともあるし。それにもしフェアじゃなかったとしても、そんなの気にしないから。無条件に愛せるから付き合ってるんだよ。だから!辛いことがあったらすぐ言いなさい!それが『彼女』なんだから。……分かった?」
かすみが優しく諭してくれる。
そのあたたかさに心が温かくなる。
でも俺は何も言葉が出てこなくて。
「……うん」
「よし、じゃぁお姉さんな彼女との約束ね?このピアスにかけて」
髪をかき上げ、かすみが耳のピアスを撫でる。
「分かったこのピアスにかけて」
昔ながらに指切りを。
「……うんよろしい!心は少しかるくなった?」
「うんありがと」
「お礼はいらないけどねん」
「……ありがと、じゃあ正直にいうと……もう一回リベンジいいですか?」
リベンジ……?と首を傾げ。
すぐに合点がいき、さっきとは違い、ニヤリと小悪魔の笑みを浮かべる。
「まったくこれだから!……いいよ、って言いたいけど残念お時間です」
「……お時間?」
時計見て、と言われ壁にかかった時計を見れば8時。
8時。
8時?!
話してたら結構時間が経っていたらしい。
「……準備しなきゃ?」
なんか時間に追われること前もあった気がするなぁ。
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前回こんなことがあったのはいつでしょう?
お時間あれば、思い出してみてもらえれば笑
今日で完全に休みが終わる作者です。
萎え萎えです。
でも今週あと二日なのでみなさん一緒に頑張りましょう!
いつも応援して頂きありがとうございます。
応援数が1万を超えて、僕の作品にこんな応援してもらったことないので、感無量です!
星もありがとうございます、めっちゃモチベになってます!!
後、感想とか、誤字脱字とか助かってます!
今サポーター様向けにもなんかSSでも書こうかなと思ってます。
要望あったら教えてね!!(逼迫)
ではでは!
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