第40話 一方その頃巧は……
さてさてお暇になってしまった成瀬巧でございます。
本来は、かすみと一緒にイチャコラする予定だったので、お暇になってしまった。
そうお暇になってしまったのである。
「なにしよ~」
あとでかすみが来るとは言ってたけど、明日は確か予定があったはず。
だから来るとしても、明後日。
魔の火曜日に来る。
週の真ん中でもなく、有名雑誌の発売日でもない間の火曜日。
それがいまでは待ち遠しい。
もう魔じゃない、癒しだ。
癒しの火曜日。
あぁはやくかすみに会いたい。
会いたい。会いたくて震える。
……まぁ夏だけど、震えないけど。
「これが恋をするってことか……」
そんな風に大都会の真ん中、御茶ノ水で黄昏てみる。
御茶ノ水が大都会の中心かはまた別の問題。
そして黄昏ている俺の周囲にスペースがあるのもきっと気のせいだ。
「うん、痛いな」
客観的に見ても痛い。
こういうのが許されるのは海辺で青空を見上げた時とか、小高い丘で夕焼けを見た時ぐらいのもの。
しかもイケメンに限る。
つまり俺は除外されるわけ。
じゃあ行くか。
ここに来たのは高名な理由がある。
目指してきたのは、野球場とかもある某ドームシッティ。
今日来たのは下見。
初デートについて調べた時に先人たちは言っていた。
『デートに下調べは絶対必要でござる!』
『いや必要ない!一緒に同じ体験を初体験するんだ!』
『女は何回も来たことのある場所でも「わぁ始めてきたぁ」っていうもんだよ』
『俺この間かなり頑張って背伸びしていったホテルで、彼女が「ここのホテルアメニティとか充実してよかったんだよねぇ」っていってた誰と行ってたんだよ』
『きっと親だよ、そうに違いない!ま、まぁ彼女のリサーチも含めて下調べは大事だよね!って話』
とネットの偉人たちが言っていた。
途中不穏な気配も混ざったが、まぁ下調べしておいて損はないだろう。
そんでかすみより惚れてもらいたいへへ!!
来たのはかすみが喜びそうな場所だから。
というか一緒に行きたい場所。
そこで浮かんだのがここ東京○ームシッティ!
かすみは2時間サスペンスも好きだが、普通にトレンディドラマとかも見るので、
ロングなバケーションのロケ地のここはテンション爆上がり間違いなし
とりあえず長蛇の列を並んで、ジェットコースターに乗ってみる。
並びながら、周りは家族やカップルだらけなのを見て少し心が傷ついたが、でも俺にも彼女いるし!
覚えてろよ!
さて、いざ入場。
かすみのお眼鏡に会うかな……あ。
『うわわぁぁぁぁ、俺は苦手だったぁぁぁぁぁっ!』
はぁはぁぜぇぜぇ。
よし分かった。
これは乗り物ではない(確信)
さて、次はロマンチックなプラネタリウムでも……と
『……や、やめて!』
プラネタリウムのあるビルに向かって裏道を歩いていると、そんな声が聞こえる。
見ればギャルっぽい女の子がチャラい感じの男2人に絡まれている。
女の子は逃げ道をふさがれて、逃げられないみたい。
『いいじゃん、いいじゃん一緒にかき氷くおうぜぇ』
『それで次いでフランクフルトも一緒にぐへへへ』
え、きも。
こんな東京ドームなシッティでもあるのかよ。
脳みそどこかに置き忘れてきたんじゃないの?
2人目に関しては、もう下ネタじゃんきも。
「はぁしょうがないなぁ」
俺もこんな出しゃばる真似はしたくないんだけど。
チャラ男たちは調子に乗って聞くに堪えない言葉を下ネタ全開で放っている。
ぴこん。
だから俺はスマホの録画を始めた。
そしてそのまま前へ出ていき、チャラ男たちの顔が映るようにまわりこみ一定の距離で撮影しておく。
「……あ?」
「あんたらなにしてんの~?」
わざと大きな声を出す。
「おまえに関係ないだろ!」
「まあ、でもいいネタになってくれそうだったし、女の子を襲おうとしている男たちがいるなんて、いいネタじゃん!」
あえて大きな声で話す。
周りに聞こえるように。
ちらほらと視線を感じ始める。
「きみだいじょーぶ?」
めっちゃ大きな声で問いかけてみる。
「ほら声出して、だいじょーぶ?」
自分で助けを最後はよびな。
それが信頼感あるから。
「助けてぇぇぇぇっ!!!」
「ちょっ、おい」
「っ?!行くぞ!!」
慌ててチャラ男二人は走って逃げていく。
後に残ったのはギャルの子と2人。
よし。
「じゃあ君もここから離れなよ?じゃ。」
「ちょっ、あ」
俺はダッシュでこの場を離れていく。
これ以上ここにいたらややこしい事態に巻き込まれかねない。
あいつらとは反対方向のプラネタリウムに入る。
「はぁはぁぜえぜえ」
星を見ながら息を整える。
危なかった。
喧嘩になったら負けるからな。
ああいう時は女の子は恐怖で声が出ないだけ。
なら出るようにだけしてあげれば、あの場所なら人が寄ってくる。
いいことしたな、かすみに褒めてもらお。
にしてもこの星綺麗だなぁ。
ん?そういえばなんで俺だけカップルシートで一人で見てんの?
周りを見ればカップルだらけ。
みんな所狭しとクッションに身を寄せ合っている。
対して俺は一人。
(……広く使えて優雅だと考えるしかない)
頬を伝ったのは汗に違いない。
っ!?
そんな楽しい30分を超え、最後に戻ってきたのは空の花。
ここがロケ地になっていた。
夜に近い今がいいだろう。
相も変わらず周りは複数。
対して俺は一人。
でも心にはかすみがいるから、実質俺も二人。
耳に垂れるピアスをなで落ち着かせる。
そしたら、前に並んでいた女性一人が後ろを振り向いた。
「……あ」
「うん?」
「さっきの人」
「……うぇ」
目の前にいたのはさっき絡まれていたギャル。
それだけならよかった。
さっきは顔を見ていないから気づかなかったが、今気づいてしまった。
会いたくないところであってしまった。
「……相沢」
前にいたのは隣の席のギャルだった。
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久々に主人公書いた!
めっちゃ気楽に書けた笑
さてさてここからどうなるのか。
因みに後もう少しで1章終了予定です。
昨日作者のフォロワーも100人目指すと言ったら今日で越えました……。
ありがとうございます!
今後も応援と☆、感想などお待ちしてます!
Ps.明日行けるかも。
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