第41話 一方その頃巧は空の上

「……相沢」


前にいたのは隣の席のギャル。


「……あ、さっき助けてくれた人」


その一声で気づいた。

相沢が俺だと、成瀬巧だと気付いていないことに。

よし、なら軌道修正は可能だ。

このままうまくフェードアウトだ。


「お姉ちゃんお姉ちゃん、さっき私が金髪プリン変態くそきも勘違い野郎二人から助けてくれた人だよ」


前にいる女性に声をかける。

って前にいる人もなかなか威圧感すごいぞ?

あとさっきの人たちの言い方がすごい、まぁその通りだけど。


相沢も髪をミルクベージュに染め、制服も適度に気崩す、所謂ゆるふわギャルだが姉も姉ですごい。

ハイライトにメッシュのボブで相沢よりも派手。

流石は姉。


「ん-?」


振り向くと、バニラのような甘い香水の香りが漂ってくる。

そして顔もなかなかに整ったお顔立ち。

とどのつまりとても美人でスレンダー。

かすみとは違った美しさ。


まぁ一番はかすみ以外にないんだけど。



一瞬だけ目を細め、こちらを見つめてくるお姉さん。


「あなたが先ほどうちの妹を助けていただいた方ですか?」


スレンダーな美人だから見た目だけだと気の強そうな感じがする。

しかしその声はとても落ち着いていて、見た目の派手さとは相まって不思議な感じがする。



「……助けたって程でもないです、この子が勝手に助かっただけです、僕は特に何もしてません」


おっ、と眼を一瞬丸くして、お姉さんはついでくくくっと笑う。

口調を崩して親し気に……


「……なるほど、そうだねぇ、それで言うと君は軽く力を貸してくれたわけだ?」

「……ほんの少しですよ」

「え?ちゃんと助けてもらったけど?」


どうやら俺の言ったことをお姉さんはちゃんとわかったらしい。

それっぽい返しをしてきているし。

大して相沢……まぁどっちも相沢だけど、相沢妹の方はピンと来てない感じ。

相沢姉の方が詳しいみたい。


「ノンノンノンだよエミ、そういえばあれはまだ見せてなかったっけ」

「ん?どれ~」


この2人でいると、相沢が子どもで、お姉さんが親って感じがするんだけどこれは雰囲気のせいかな?


「おっと、そんな話はいいんだ、ちゃんとお礼を言ってなかったね!」

「この子の姉の相沢エルです。この度はうちの妹を助けていただきありがとうございます」


頭を下げて、しっかりお礼を言われる。


「そんな頭下げなくていいですって、本当に大したことしてないですから。大丈夫って声かけただけですから」

「うちの妹は、見た目だけは強そうなんだけどね~、外面ギャルだけど、内面は生娘だからね~」

「お姉ちゃんそれ以上はいけない!」

「家事は出来るから家庭的なんだけどね、今日も今度遠足かなんかで友達と行く前にジェットコースターの練習したいっていうからさ」

「だから言いすぎ!止めたじゃん!」

「いやフリかと」



へぇ、相沢さん頑張ってるんだなぁ。

そりゃいろんな人と友達になれるわけだ、納得。


「んで、君はうちの妹とはどんな関係なのかね??」

「……えっ?」

「さっきうちの妹の事相沢って呼んだよね?」


流せたと思ってたけど、ながせてなかったかんかい。


「……あっ、そういえば!」


君は気づいてなかったんかーい。


「姉さん予想だと、この子あんたと同じくらいよ?」

「えっ、さすがに大学生でしょ?」

「ううん、私よりは年下。大人びてはいるけどね~」

「そんな人いたかな~」


ううむとうなり始める相沢。

ま、まずい確実に俺の首元に近づいてきた。

出来ればばれたくない、なんとなく面倒そうな予感がする。


「ジェットコースターの練習なのに、なんでこの空の花に?」

「露骨に話逸らすねぇ、ここに来たのはエミが高いところとジェットコースターのスピード感の2つが苦手みたいだから、まずは高さから克服かなって」

「なかなかこれ怖いと思いますが大丈夫ですか?」

「人生何事もチャレンジかなって」


あ、この人絶対Sだ。

分かってしまった、そしていつも困らされてるのが相沢さんだ。

そう言う相関図だこれ。


「うーん誰だろ、聞いたことある気もするんだよなぁ、しかも最近」


ま、まずい。

冷汗垂れそう。


「いい線行ってるよ、この子が焦ってるし。名前を言わないのも多分言ったらばれるからネタで流そうとしたんだよ」


しかも正確に分析されてるぅぅ。


「同じような会話をしたっけ、そういえば廊下とかで」


んぐっ?!

そ、そういえばラオウみたいな話を。

でもあれくらい普通に。


「クラスでネタ分かる人基本いないしなぁ話す中に、話した中で分かったのは……」


んぎゃまずい!!

そこで救いの声。


『お次のかたどうぞ~』


そこで前にいた相沢姉妹が呼ばれる。

ふぅよかった、これでこのまま別々に乗って逃げれば何とか。

スタッフさん、ナイスタイミング。

あなたは俺の救いの天使だ。


『じゃあお次は、あ、ちょうど3名様ですねどうぞー』

「ん?」


誘導に流され、相沢姉妹と、俺が一緒のフラワーに。

え、なんで。


後ろを見ればスタッフさんが満面の笑みでこちらに行ってらっしゃいと手を振っている。

こ、これが社会か。

やったな、はめたなきさまぁぁぁぁっ!


あんたは天使じゃなかった、天使の顔をした悪魔だったのかぁぁッ!

図ったなぁぁぁ


そして空の花に乗った瞬間。


「……あ」


そんな声が聞こえた気がした。

エルさんがわらった気がした。


「君もしかしてm…………きゃぁぁぁぁぁっ!」


俺の名を言おうとしたあ瞬間一瞬の浮遊感。

空の花が一気に上昇していく。

相沢さんの悲鳴が増していく。


ギュっと怖さのあまりか、相沢さんは抱き着いていた……お姉ちゃんに。

それを優しくなだめるエルさん。


うん、てぇてぇ。

俺の名前もばれず良かった。

スタッフさん、やっぱあんたは天使だった。


てかこれ同じことかすみでも行けるのでは?

これ役得かもしれん。使える使えるぞこれはぁぁぁ!!


俺は閃めいて、空の花を楽しんだ。

そして意気揚々と帰ろうとしたところで、


ぎゅっと後ろから腕をつかまれる。


「……あなた、ううん君、成瀬君、だよね?」

「ち、チガイ……ます」


かすみとの妄想をしてたら逃げおくれたぁぁぁぁっ!


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お盆休みきたぁぁぁッ!!やっと休みだぁぁぁっ!

そして今日更新きついと思ってたけど行けたぁぁぁッ!

ほめて!!

今11時57分だからマジで無理だった(-_-;)


あといつも応援して頂きありがとうございます。

いつも星とかありがとうございます!!

モチベになりまくってます!!

後、感想とかも目を通してます、返せてないだけなので返せるときにかえしますので……

誤字脱字とか助かってます!


ではでは、明日の祝日楽しんできましょー!!

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