第38話 真希からの謝罪(かすみside)


「かすみ姉さん彼氏できたんだ?」

「……え?」


ほとんど断定したように聞いてきた。

あれ?言ったっけ?


「うんなんかかすみ姉さんの様子が、いや雰囲気かな? なんかうまく言葉に出来ないけど変わったていうのかな……」

「……雰囲気?」


うーん変わったかな?

あんまりわかんないけど~・


「お肌もつやつやしてるし、それに一番は……お部屋がきれい!」

「……それは彼氏とか関係なくない?」

「え、だって姉さん掃除出来ないじゃん?だから家政婦雇うか、誰かにやってもらうしかないよね?」

「私が一人暮らしで掃除を学んで出来るようになった可能性も?」

「ないよね!」


そんな問答無用で言わなくてもいいと思うけどな!!

最近たくみにも教えてもらってるし、少しは成長してると思うんだけど……。

まぁたまにたくみが教えてくれているその大きな後ろ姿を見て、ちょっともんもんと意識が削がれるときもあるけど、でもトータルで見ると改善してる気もするからダイジョブ!!

部屋もここ1週間は綺麗だから、成長してるとみていいんじゃないかな!


昨日ちょっと夜の運動で汚れて、たくみが掃除してくれたけど……でもうん色々加味しても可能性しかない!


「いや、私にもちょっとは可能性が……」

「はいはい、そういうことにしておこっと。出来るようにしておかないと、彼氏にも嫌われちゃうしね」

「そんな小さなことで嫌いになったりしないわよ、と言うか知ってるし」

「あ、知ってるんだ。と言うかやっぱ彼氏いるんだね」


そうなんだ、と一人ぼそりと呟く真希。

すこしだけほっと息をついている。

なんで?


「種明かしをすると掃除とか雰囲気とか色々いったけどさ、見ちゃったんだよね」

「……見ちゃった?」


え?何を?


「今日駅でさ、姉さん人にばれないようにしながら、さ。そのなんていうか、えーっと……」


嫌な予感がしてきた、とーっても嫌な予感がしてきた。


「真希、なんとなくわかったかも、それ以上はいけな――」

「――電車に乗っていく彼氏とキスしてたよね、もうこっちがひやひやしちゃったよ、ばれないかどうか」

「いやぁぁぁぁぁっ」


妹にたくみとキスしてるの見られるとか恥ずかしすぎるっ!!


「姉さんめっちゃ可愛かったな~、彼氏が電車に乗って去っていくところを物憂げに見つめるの、あれでポスター作れると思った!」


ニヤニヤとしている真希。

もうほんっとにヤダ。

身内に見られるなんて~

こんなこと初めて……?

そういえばお母さんの時にもあったっけ。

でもキスとか見られてないし!


「……もぅ」

「だから彼氏だと思ったんだよね、見たのはホームの反対側だったから顔はわからなかったけど、めっちゃ大人の色気溢れる人だったね!!」


そっか。

私もたくみもギリギリまで離れたくなくて、一緒にいたのが仇になったのかぁ。

そりゃ真希もくるよね~。

まぁ後悔はしてないけども。


「そっかぁ、確かにみられるのも納得だよ」

「うん、私も電車降りたら姉の情事を見るとは思わなかったよ」

「情事って言い方!!生々しすぎ……」

「あはは、ごめんごめん。 でもそれ見ちゃって今日姉さんに会うのに緊張してたんだけど」

「緊張?なんで?ってそう言えば謝りたいことあるって言ってたね」


たくみと離れるのが嫌すぎてそっちに意識が向いてたけどそうだった。

至急って感じだったから、たくみとの時間を割いて時間とったんだった。


「うんそうなんだ、今日時間とってもらったのはかすみ姉さんに謝りたくて来たの。電話でも謝れるけど、こういうのは直接謝りたくて……」


さっきとは一転して、座り方をただし、こちらの眼を見て。


「かすみ姉さん、巧との仲を引き裂いてしまって、本当にごめんなさい」

「……え?」

「ごめん、そうだよね、これじゃ何が言いたいかわからないよね、説明するね」


真希の手が若干震えている。

話すのには勇気がいるんだろう。

ある意味自分の罪を告白するようなものだから。


そう言って真希は、これまでのことを話してきた。

たくみとのことを。

告白の結果を。

母への相談を。

そして過去の罪の告白を。


その全てを伝えてきた。

聞けた内容はたくみにきいたのと同じ。

そこに真希自身を擁護する箇所は無かった。


「あの時、二人の結婚の話を聞いて幼いなりにもやもやしたの、その気持ちは大きくなって。今思えばあれは嫉妬だったんだね、その嫉妬心が発露したのが巧にかすみ姉さんと従兄弟の件を聞かれた時」


たくみが勘違いしたときね、そこから3人の関係は変わった。


「私巧の事が好きだったんだ、でも自分でしたことだけど、それが後を引いてずっと一歩を踏み出せなかった。巧がかすみ姉さんのことを想ってたのは知ってたから、それで結局巧との関係も壊れちゃった」


真希の顔は一瞬苦痛に歪んだが、でもすぐに前を向いた。


「でも思うんだよこれは必然だったんだって。関係をちゃんと作りたいならやっぱりきちんとしなきゃいけなかったって」


真希の告白は続く。


「だからまずは姉さんに言わないといけないって思ったんだ謝るならまず最初に言わなきゃいけないと思ってたから、だから――」


そう一拍置いて、深々と真希は頭をもう一度下げた。


「本当にごめんなさい」


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さてこの後かすみさんはどうするのか。

次回にご期待!


今週は3日だけで自分は仕事終わりなので、少しだけ気が楽です。

でも月曜日なので気分はやっぱり最悪です。

サンデーブルーな作者です。


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また星も1500人超えて、ついでに作者のフォロワーも90人超えてました!!

作者まじで感謝感激雨嵐って感じです。


これからも気合入れて頑張りますので、フォローと☆など

応援よろしくお願いします!!


ではでは今週も頑張りましょう!



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