第21話 会いたかった

「…………やっほ、しっかりと?」


 ドアの横の壁に、身体を預けながらそう宣うかすみは大変様になっていて。


 だけどしかし……

 あまりの出来事に俺の頭がオーバーヒート。


 …………かすみが家のドアの前にいる。

 いる、いる。


 え、いる!?

 なんで!?


「え、な、何してんの!?え、え、どうしてホワイ!?」

「お、いい反応するじゃん…… まぁまあ落ち着いて落ち着いてドゥドゥ」


 深呼吸深呼吸と、袋を持った両手を使って落ち着けと宥められる。


「……ふぅ」

「……えへ?きちゃった」


 首を軽く傾げ、照れたように笑う姿は大変に可愛らしい。

 もう大人っぽさと可愛さが融合したかすみさんはもうそれは最強、いや最カワなんよ。


「……きちゃったんすか」

「きちゃいました」


 俺のあと四日の辛抱とか色々覚悟してたのに。


「……来ちゃまずかった?」


 若干不安気に尋ねてくるそんな様子がいじらしくて、ちょっと意地悪もしたくなるけど……でもやめた。

 かすみが来てくれたのは俺のため。

 そんな人をからかうのは、あまりに性格が悪い。

 それにかすみには笑った顔でいてほしい。


 だから。


「……そんなことある訳ないじゃないですか、来てくれて嬉しいです


 笑顔で家に迎え入れる。

 そして、家に入って抱き合う。


 そんな完璧な流れが俺の頭の中でもう組み上がってた。

 後はもうかすみさんを家の中に入れればそこからは大人の時間。

 さぁ!…………


 ……来ないな?

 予想に反してかすみさんは一向に家の中に入る気配がない。


 ん?と思って、前を見ればちょっとむくれ顔のご様子。


 あれれ〜おかしいぞ〜?

 今感動的な流れになる完璧なシチュエーションじゃなかったか?


 むむむぅ?


「……名前」

「……なまえ?」

「敬語」

「けいご……あ~」


 そこまで言われてやっと納得した。


「すいま、あ~ごめんごめんつい……ね」

「もうっ! 後でしっかりと教育します!!」

「きょ、教育っ?!」


 エッチなやつかエッチな教育なのか?

 もうそれはぜひとも授業を!!


「よろしくお願いします!!」

「……なんか変なこと考えてるでしょ?」

「それはもう!」

「このえろがき!! もういいからとりあえずやり直して!」


 やり直し。

 あ~、可愛いとこある。前もそうだったもんな。


「……かすみが来てくれてまずい事なんてあるわけない、会えてうれしいよかすみ」


 眼を見て、しっかりと思いを伝える。

 俺のあふれ出る気持ちの1/3でもかすみに伝わるように。


「……えへへ」


 俺の告白に照れる姿がまたいじらしい。


「そういえばお父さんいないのに勝手に入れていいの? いないの知ってたから来たんだけど」

「大丈夫大丈夫、親父社畜だから今日帰れないっていってたし、もし帰って来ても入れないようにチェーンしめとくから!」


 ぐっとサムズアップ。

 そんな俺の姿にかすみは若干引き気味の苦笑。


「……私もたくみのお父さんとはほとんど会ったことないけど、うん、二人の関係はあれだね、なんというか、仲いいけど特殊みたいな感じかな?」

「やめて!そんなアブノーマルな関係みたいに言うの!寒気するから!というか近所の人に噂されてもやだし入って?」

「ほいほい」


 そうして玄関を占めて、そして人の眼が無くなって。


「かすみ!」


 思いっきり今度こそ抱き締めようと両手を広げ、その肢体をぎゅっと。


「ストップ!!」


 出来ずに止められた。


「何故!!」

「……このままだと私たち流れで、してそのまま止まれなく、なるでしょ?」

「止まれなく…………それはそう、逆に止まったらかすみのエロさに失礼でしょう!」

「うんまぁちょっと何を言ってるかわからないから、流すけど」

「ながされた……」

「たくみ、普段はちゃんとしてるのに私と話すときは欲望に忠実に、ちょっと馬鹿になるよね」


 なぜかいつもみたいに出来ないんだよな。


「……嫌?」

「ううん! 素のたくみも、がんばってるたくみもどっちも大好きだよ」


 大好き、大好き……大好き!


「かすm……「だからすとーっぷ!」……はい」


「そんなシュンとしないで?……汗かいたから、お風呂入ろ?」


 ……えっろ。


「ふふ、それとも一緒に入る?」

「え?それ以外選択肢なくないですが?」


 脊髄反射で答えたわ。


 お風呂を入れて、その間にかすみの荷物を部屋の中に入れる。

 と言うか思ったより多いな?


「今日は泊まるよね?」

「うん、今日も、泊まる!」

「……今日も?」

「うん!」


 それは何日もいてくれるということを期待していいんすか?

 いいんだね?

 聞いちゃったからね?

 女性に二言はないよ?(圧)


「……ダメ?」

「ふっ、ダメなわけがない。一生チェーンしめます!」

「そ、そんなには長居しないけど、それはまたいずれね?」


 ……あぁルパンダイブしたい。

 我慢我慢。

 今の我慢は未来への投資。

 後の自分がめいっぱい気持ちよくなるため。


 他愛ない会話をしながらも、妄想のかすみのバスタオル姿に内心で悶絶し、葛藤し、興奮し、はや十数分。

 とうとうその時が来た。


『ピロピンポリピン~♪ お風呂が沸きました♪』


聞いた瞬間もう身体が動いてた。


「いこう」

「ふふっ、もうせっかちだなぁ」


 2人してお風呂場になだれ込む。

 シャワーを出したところで、二人同時に見つめ合い


「会いたかった」

「私も」


 自然と、口づけを交わした。



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 さぁ皆さまもう1週間終わりますよ?

 今週は何をされますか?


 そしてごめん1ミリも、なんっも話進まなかった!

 2人のイチャコラ書いてたらふっつうに1話終わった。


 次回お風呂回!


 ご期待を!


 いつも感想ありがとうございます!!

 僕の仕事でやられたメンタルが回復してます!

 誤字脱字とかも助かってます!!

 もし宜しければレビューとかもして貰えたら我嬉しいです!


 ほな!

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