第18話 あなたのことが……(真希side)

 私の話をしよう。

 私は両親と姉の4人家族。

 家族仲は特段悪くなく、むしろ良いとさえ思っている。

 かすみ姉さんも優しくて、いつも一緒に遊んでいた。


 そしてもう一人。

 家の隣には、幼馴染の成瀬巧という男の子もいた。


 私と同年代できっかけは忘れたが、気づいたら一緒に3いつも遊んでいた。


 いつだっただろう。

 遊びに行くのに、私が遅れていく日があった。

 そこで聞いた。

 聞いてしまった。


 巧がかすみ姉さんと約束しているのを。


「大きくなったらお姉ちゃんと結婚する」

「じゃあ大きくなったら結婚しようね」


 そんな約束を二人がしているのを。

 子供ながらにどこかもやりとしたのを覚えている。


「……何の話をしているのー?」


 何食わぬ顔で話を聞かなかった私に対して巧は無邪気な笑顔で、


「お姉ちゃんと結婚してほしいって伝えたらOKしてもらったのー」


 と微笑んできた!

 そしてお姉ちゃんも満更でもなさそうで……。


「……それはよかったね!!」


 それを聞いた時、もやもやが大きくなった。


 それから年を経るにつれ、かすみ姉さんはキレイになり、巧も男の子らしくなっていった。

 小学生でも私たちの関係は変わらず、変わったのは中学生の時。


 いや、言い方が違うかな、変えた、だね。

 関係性を変えたのは中学生のころ。

 思春期になるころ。


 全員がそれぞれによそよそしくなって、遊びにいく頻度も減っていた。

 それでも他の同年代に比べては多かったけど。

 でも巧もかすみ姉さんも冷やかされても、何を言われても3人で一緒にいた。

 勉強とかを見てもらったり、ゲームしたり。

 まぁ、勉強は巧もお姉ちゃんも専ら出来たから教わってのは私だけど。


 でも私にはわかっていた。

 2人がどこかで通じ合っているというのを。

 例えば、勉強を教えながらどこか目線が交差していたり。


 だから巧が私に相談してきたのはびっくりした。

 曰く、かすみ姉さんが男の人と歩いていたとの、事。


 男?

 あの巧大好きなかすみ姉さんが?

 そんなことありえるの?

 心変わり?


 そう言えば、何かしら予定あるって言ってた気がする。

 そんな恋愛事って感じではなかったはず。

 気合入った服でもなかったし、誰だったか、身内だったはず。


「そ、そんな心配するようn……」


 ここで私の中の悪魔がささやいた。



 ――今じゃない?



 今までかすみ姉さんと巧がうまい具合にいっていた。

 なんの障害もなく、このままいけば想いを通じ合わせるのは時間の問題。


 果たしてそれでいいの?

 私の気持ちは?


 良くない。

 今一押しすれば100%可能性がないものが90%くらいにはなるかもしれない。


 それに、こんなの巧がかすみ姉さんに確認すれば解決する話。

 言ってしまえば二人間で解決できる問題。

 私の話もそれさえすれば笑い話で済む。そんな分の悪い賭け。


 だから。

 これは本当に分の悪い賭け。


「…………あぁ巧、見ちゃったんだ、そうだよあれはかすみ姉さんの恋人。半年ぐらい前? から付き合いはじめたらしいよ?」


 これでもしばれてもあれ?いなかったっけ?みたいな感じでいえばいい。

 でもそれを聞いた時の巧の顔は忘れられない。


「……あぁそっかぁ」


 そう言った顔は悲壮感にまみれていた。


 そして私はその分の悪い賭けに勝った。

 そこから色々変わった。

 私たちの関係も、巧の生き方も。


 まず3人で遊ぶことは無くなった。

 そしてかすみ姉さんと巧が会話をすることはほぼ無くなった。

 本当に朝の挨拶とかそれくらい。

 日常会話程度。


 かすみ姉さんは最初戸惑っていたけど、「思春期だしそういうもんか」とか理由をつけてまた受験とかで話していなかった。


 それでもう高校に上がれば距離感が出来上がっていた。

 一抹の罪悪感も抱いたけど、でも二人もいけないと思う。

 ちゃんと会話しないからだもん。


 大して私は以前の距離感より距離間は徐々に詰まっている。

 前まではある種、妹的な立ち位置だったが、かすみ姉さんのことが過去になり始め、私も身体とか心とかも高校生になり女の子の身体になった。

 それで少しは意識し始めたと思う。


 ただかすみ姉さんの件があってから感情を表に出したりすることがそもそもなくなったから何とも言えないけど。

 でも巧も意識してると思う、というかしてないはずがない。だって巧がかすみ姉さんを好きだったんだもん、似ている妹の私を好きにならない訳がない!


 そうやって少し拗らせなら、高校も一緒のとこに何とか行ってクラスも一緒で、でもそれ以上関係性は進まなかった。

 文化祭とかも回ったし、青春っぽいこともしているのに。

 どこかかすみ姉さんの影がある気がして、そして一抹の罪悪感から踏み切れなかった。


 そんな折。

 ゲームをしてて噓告白をする流れになった。

 そう言うのは好きくなかったけど、いい区切りだと思った。

 多分沙里も亜衣も進展しない私たちを思っていったんだろう。


「どうせ嘘なんだからいいいでしょ!付き合って一週間で振ってやるのー」


「罰ゲームなんだし!」


「まあそうよね、付き合って振った時に嘘告白っていえば笑って巧なら許してくれるわよね」


「そうそう彼なら分かってくれるよ、彼大人びたところあるし!」


「良ければそのまま付き合っちゃえば〜」


 なんて言葉で私の気持ちも軽くしてくれた。

 その日からたまたま巧は休んじゃって学校に来なくて告白は出来なかったけど。

 今日まで今か今かと待ち遠しかった。

 それで朝には強く当たってしまったけど。


 放課後来てもらって嘘の話もされたけど、でも私のこの気持ちは嘘じゃない!!

 今こそ今までの行いを完成させる。

 かすみ姉さんへの思いなんて、私を好きにして惚れさせて忘れさせてあげる!


 ――だから。


「――あなたのことが好きです、付き合ってください」


 私は選択した。


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 初めての真希sideでした。


 3連休おわり!!(´;ω;`)

 

 毎週休み終わりに言ってますが

 休み終わりに近づくの早すぎでは?


 これからもどしどし感想等お願いします!!

 時間ある時に返信できたらします。

 誤字脱字とか助かってます!!

 もし宜しければレビューとかもして貰えたら我嬉しいです!


 それでは皆様も今日からの4日間がんばりまっしょい!!


 

 更新が今後、隔日とかになりそうです、多分なります。もはや1章終わったら書き貯めに入るか悩み中です。

 前々からお伝えしている通り自転車操業でして、ストックがぁぁ(´;ω;`)

 皆さまツイッターで進捗具合お伝えしますんでよろしゅう。

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