第17話 選択肢

 屋上への階段を上り、スマホを胸ポケットに入れ、扉を開ける。


 屋上は風がそよ風程度に吹き、まだ6月と言うこともあり日中は真夏のような暑さもあるが、夕方になればある程度落ち着く。

 そんなちょうどいい気温。

 だがここからこの場所は誰も来たいと思わない雰囲気地獄の絶対零度になるだろう。


「お待たせ」

「やっと来たね、待たせすぎじゃない?」

「いや普通HR終わってすぐに出ていく方がめずらしいよ」


 なんかあるのかな、ってクラスの人にめっちゃ見られてたし。

 何なら相沢さんなんて俺に「告白とかかな?」ってワクワクしてたぞ。

 しかもその予想が当たってるから怖すぎる、ギャルの勘つよつよか?


 そのすぐあとに俺が出て行ったら怪しいどころの騒ぎではない。

 もうこの後何かしらありますよとでも言ってるようなもんじゃん。

 まぁ昔からの知り合いだからおかしくもないけど。


「っ!! そんなの気にしないで、私の話を聞きに……っ?! いいやそれはもう。許してあげる」


 は? 許してあげるって。

 何を?


「そんなことは今日は些細なことだから」

「さいですか」


 あっ、なんか自分で納得したらしい。

 俺は1ミリも納得できてないけど。

 この話だけしてもしょうがないし不承不承流す。


 屋上には夕日が差し込み、所々に影が差し込む。

 なかなかにきれいな情景だ。


 昼と夜の境界線。

 赤と青が入り交じり、ある刹那だけオレンジになる。


 ただそんな情景も一緒に見て、夕日に映える横顔を見たいのは、綺麗だと言いたいのはお前じゃない。

 かすみだ。


 目の前の真希はもじもじとして、それこそまるで初めての告白に照れて、その思いの丈をどう伝えるか悩み、口に出すか、出さまいか葛藤する乙女のごとき姿を見せている。


 傍から見れば青春をしている男女のように見えるだろう。

 内情を知らなければ。


 実際は人間の醜悪さが招いた舞台。

 俺は哀れにもそのうえで踊らされている哀れな人間。

 本来はそう。

 踊らされ裏切られるはずだった。

 だが幸運にも事前に俺は知った、皮肉にも母親に同じことをされたおかげで早く学区に行き知った。


 運命とは何て皮肉なんだろう、なんて残酷なのか。


「……」


 ある意味絶好のロケーションと言える。

 告白の舞台としては。


 だがそうだ、俺らは幼馴染だったな。

 なら俺もお前にチャンスをやるべきなのかもな、ある意味。


 そんなことを考えている間に、真希は下を向き、拳を握り小声で「……よし」とつぶやき前を見る。


 おぉ、見るものが見れば恋する乙女。

 真意を知らなければ、への初恋を忘れ、一歩を踏み出していたかもしれない。

 

 それくらいに今は画になる。


 でも現実は違ったんだ。


「……今日ここに来てもらったのはあることを言いたくて来てもらったんだよね」

「ある事?」

「うん、本当は木曜日の放課後に話そうと思ってたんだけど、巧ちょうど運悪く休んじゃったからさ……今日になったんだけど」


 うん、ちょうどじゃないけどね。

 オマエの休んだんだけどね。

 俺の皆勤賞の夢潰えたけどな!!


「それにしても巧が休むなんて珍しいよね、雨の日も風の日もそれこそ熱が39度あっても学校に行こうとしてたのに、まぁその時は巧のお母さんと私とお姉ちゃんで止めたけど……ってごめんお姉ちゃんの件を巧はまだ……、ってそれはわたしがなんとかすればいいか。 言いたいのは珍しかったねってこと、体調大丈夫なの?」


 だいじょばない。

 アブなくぴきる所だった。

 うそです、こめかみがピキピキしてます。


 ここまで地雷踏むやつおる?


「……体調は大丈夫だよ」

「そっか良かった」


 よくないけどな?

 だがどうやら俺の気持ちは伝わっていないらしい。

 流石大人っぽくなりたいと身に付けたクールフェイス。

 かすみ以外には有効!


「そ、それでね、今日は伝えたいことがあって……実は私巧のことが――」

「――俺が先に言わしてもらっていい?」

「え?…………うん!」


 一瞬戸惑った様子だが、すぐに承諾する。

 でも多分お前の思ってるようなことじゃないぞ?


「……あらかじめ言っておくけどさ、俺、昔から嘘が嫌いなんだよね。昔お前のお姉さんに嘘つかれたって聞いてからさ」

「……なんで今? それに嘘って、姉さんと結婚の約束とかの話でしょ?それならそれを本気にしている方がやばいって。 普通幼いころの約束でみんな忘れてるよ」

「……幼いころの約束、か、確かにな。でもそれがきっかけで嘘が嫌いになったんだ」

「……うん」

「こないだうちの家族でごたごたがあってな。 それでもっと嘘が嫌いになったんだよ」


 真希はまだこの話にピンと来ないような顔をしている。

 何が言いたいんだと。


 だから俺が言いたいことはただ一つ。


「俺は今後俺に嘘をつくような人間と関わる事は止めたんだ」

「……え?」

「言いたかったのはただそれだけ」

「……うん」

「この話を聞いてそれでも何か伝えたいことがあるか?」


 真希、最後の選択肢だ。


 告白さよならするか何も言わず去るか。

 三度目というのはないぞ?


「私は……」


 ー-------------------------------ー----

 次回:真希がどちらの選択肢を取るのか。


 3連休2日目おわり!!

 心配の声頂きちゃんと寝ました!

 16時間寝ました!!


 いやーマジで爆睡しました、、、

 そしたら二日目終わってました……。

 休み終わりに近づくの早すぎでは?


 これからもどしどし感想等お願いします!!

 時間ある時に返信できたらします。

 誤字脱字とか助かってます!!

もし宜しければレビューとかもして貰えたら我嬉しいです!


 それでは皆様も最後の1日を惜しみながら楽しみましょう。


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