第16話 朝の一幕

「……おはよ」

「ん」

「心配したよ、なんで私に連絡くれないの?」


声をかけてきたのは、真希。

かすみの妹。

ただそれだけ。


真希の心配したと言う声、とは裏腹に少し不貞腐れている。


は?意味わからないんだが?


「逆になんで俺が連絡しなきゃいけないの?」

「……な、なんでって、そんなの心配したからに決まってるじゃない!」


少し声が大きい。

ったく。


「はぁ、ならお前から連絡すれば良くないか?なんで仮にも体調悪い俺が連絡するの?おかしくね?」


「それは幼馴染を心配させたなとか、さ。そういう気持ちで」


「……何言ってんのお前。 なんで体調悪い俺が悪くないお前に気を遣わなきゃいけなんだよ」

「な、なによ! それぐらい当然じゃない! それになんかいつもと違くない!」

「……なぁ結局何が言いたいの? 授業の準備もあるし自分の席に戻ったら?」


ギャーギャー、うるさい。

さっさといなくなってくれ。


「何よもうっ! じゃぁ放課後ねはなしましょ」


俺の返事も聞かず、そういって自分の席に着く。

その周りには例の二人。

きゃははと耳障りな声が聞こえてくる。



てか放課後ってなに?

なんで俺が合わせなきゃいけなの?

意味わからんのだが?



落ち着け俺。

こないだまでならどうしてたか考えろ。


さっきの件も、普通に俺が謝ってたな。

「今度から気を付けるよ」とかいって。



はぁ?なんで前までの俺はあんなわがままに付き合ってたんだ?

正気を疑うぞ?

多分理由としてはあれだ。


スマートに賢く穏便に。


確かに大事なこと。

でもな、自分の意思表示が出来る前提で大事なことだ。

かすみと話してて接して気づいた。


俺がいかに抽象的なものに囚われていたのか。

全部が全部間違ってたんじゃない。


でも間違ってたこともある。


だからああなった。

あいつが増長した。


なら放課後か。

ちょうどいい機会かもな、仮にも昔馴染みだ。

話くらいしてやってもいい。


「……ぇ、ねぇねぇ」

「……うん?」


教科書とかを準備しながら、考えていると横から声をかけられる。

思わず振り向くと、頬に指の感触。


「……これは?」

「あは、やりたくなっちゃってめんごめんご、なんか難しい顔してたからさ! 朝に景気わるりんごだよ!」


景気悪リンゴって何ぞや。

話しかけてきたのは隣の席の相沢エミ。

髪をミルクベージュに染め、制服も適度に気崩す、所謂ゆるふわギャル。


うちの高校は進学校ではあるからこそか、生徒にある程度の自由を認めてくれている。

だから公序良俗に反しない限りはある程度おっけ。

制服も着崩してもよし、ピアスもおっけ、髪も華美にならない程度なら染めてもおっけ。

ただ坊主で眉毛全剃りは厳つすぎてだめらしい。


と言うことでこの相沢エミは崖の上を歩きつづるお方。


「とりあえずおはよ!」

「おはよ」

「朝から覇気ないねぇ!!」


けらけらと嫌味なく笑うギャル相沢。


「月曜朝1で元気なのが逆にすごいよ」

「お褒めの言葉ありがとう!! それで成瀬巧君の体調はいかがですか~?」

「気分上々↑だよ」

「なんで曲名で答える、うける。まぁ大丈夫と言う事ね?」

「ご心配をおかけいたしました」


もはや、は過去になくみなぎっておりますが。

元気を絞られたと言えば、大丈夫ではないのか。

いやでもあの時間は至福の時。

それでいえば俺の心身は充実しているなやっぱ。


「……なんかこの休みでなんか変わったね」

「変わった?」

「うん、なんていうか前はそつなくこなすけど誰も内に入れない感じ?というか微妙に距離を置いているというかちょっと見下してる感じというか……」

「……相沢さんやいきなりディスらないで泣いちゃう」

「そうそう冗談言っても受け流すだけだったのに今は乗ってくれる!雰囲気が柔らかくなった!!」


な、なんだこのギャル。

俺が一歩上のステージに立ったのを見抜いている……だと!()

流石ゆるふわギャル。

誰からもヘイトを変わないように人間関係で立ち回り続ける、ギャル社会を生き抜いていることはある。

洞察力がすごい!そして怖い!


「あ、ありがとう。 自分では何が変わったかは分かんないけど」


嘘です。

変わったのは彼女で来たことかな!!


「……そんな変わった巧君にご相談です!!」


名前呼び!!

距離間の詰め方がプレデターだ!!


「何買わされるの? ツボ?」

「何で買わされるの前提なの! そんなことしないよ、買うとしたら自分で買うし」


おぉいい子ですね、今日までほとんど知らなかった子だけど。


「それでお願いって?」

「……恥ずかしながらここ最近忙しくてですね、、、率直に言えば宿題みせて!!」


宿題。

あーね確かに勉強ある程度出来るからね。

聞くのは分かる。

でもね相沢さんや一つ忘れてないかい?


「俺先週木曜から休んでるから、宿題の存在知らないんだよね、つまりやっていない!」

「……でもやっていないと怒られちゃうよ?」

「休んでたから情状酌量の余地あり!相沢は無し!」

「Nooooooooooooooo!」


そんな朝を迎え、授業をてきとーにながし放課後。

HRが終わるとすぐに真希は教室を出ていく。


3人組によると真希は屋上に行ったらしい。


「はぁめんど。……でもこれはけじめ」


階段をのぼりながらこれまでのことが走馬灯のようによみがえってくる。

色々あった。

率直に言えば迷走した5年だった。

でもいい事も多くあった。


そして先週。

母さんのことがあった翌日、教室の前で聞いてしまった会話。

多分あの日も屋上に呼び出すつもりだったのだろう。

でもあの日までの俺と今の俺は90度くらい考えが違う。


戦闘準備も出来ている。


さぁ幼馴染と言う関係ももう終わりだ。

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3連休初日!!

朝に帰ってきました、心配の声ありがとうございます。

涙ちょちょぎれそうでした。

今日はちゃんと家で書きました笑


フォロワー1500人超えました。

超えてました。


マジかい……。


これからもどしどし感想等お願いします!!

時間ある時に返信できたらします。

誤字脱字とか助かってます!!



Ps.トイレで書いたといっても軽く書いて見直して3分×2くらいです。

めちゃくちゃ長くは籠ってないのでご安心頂ければ。



さぁ時間だ。

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