第14話 帰宅

「……ふぅやっと着いた」


自宅に着いたのは8時を回ったころ。

起きたら既に16時を回っていて、一旦落ち着いて、二人で仲睦まじくして。


いやー危なかった。

昨日の夜あんなにいい雰囲気だったのに咄嗟に学校行くの火曜でもいいやと思ったもんね。


自分で自分を何とか律して、帰ってきた。

たぶんあそこで帰らなかったら俺はかすみの家に転がり甘え続け赤ちゃんになっていた。

かすみにはそれほどの包容力がある。

断言できる。

掃除は出来ないけど。


家には明かりがついている。

どうやらうちの父(社畜)は珍しく家にいるらしい。


「……ただいま」


玄関を開けると普段はいない親父が珍しく出てくる。


「……おうおかえり」


その声は少しだけこないだより元気だった。


……いや。

よくよく考えるとあんまり普段と変わらないかもしれない。

いつも疲れ切ってたなそういえば。


「なんでいんの? 今日仕事は?」

「……だから日曜だぞ? 普通の会社は休みだぞ」

「いや親父の会社普通じゃないじゃん。社畜じゃん」

「馬鹿オマエ、社畜はすごいんだぞ、昔は企業戦士と言う風に歌にもなってだな」

「んで? 仕事は?」

「今日は休み、明日はあるけど」


やっぱ明日はあるんだ。

でもまぁ月曜だし普通か。

俺も学校あるし。


「……なんか連絡はあった?」

「……母さん?」

「うん」


一瞬間があったのは、気にしない。

おれでも多分そうなる。


「俺にはない、な……たくみは?」


一応確認してみるが来てるのは、クラスのラインが少しとかすみだけ。


「俺にもないね」

「だよな~やっぱりかぁ」

「出てってすぐに連絡してこないでしょ~」


淡い期待を破るようで申し訳ないが。


「ま、そこは一旦置いといてだ。 飯は食ったのか?」

「夕飯ならまだ」

「そ、俺もまだだからなんかつくってやるよ、リクエストは?」

「もちのビーフストロガノフ」

「おーけー、俺流ビーフストロガノフ作ってやろう!」


うぉマジか、親父ビーフストロガノフなんて知ってるのか?

あれ三日間は煮込まなきゃいけない奴だから今からなら水曜までかかりそうだけど大丈夫か??

時短か?時短クッキングか?

最近かすみとその辺のテレビ見てたから浮かんできてしまった。


親父はそのままキッチンへ。


数分して、米を簡単にチンし、食材を切って、油を敷き炒め始める。

そのまま様々な具材を入れていく音が聞こえるが……。


ん? 油を敷き?

この匂いはニンニク? 

ジュわぁぁぁと言う音共にフライパンを豪快に振る音が聞こえる。


え?煮込みは?

親父煮込みはどうした!?

そのやり方絶対煮込み料理じゃないよな?

そんな荒ぶる調理がものの20分ほどで終わって自信満々に親父が食卓に。


「ほいビーフストロガノフ!」


ビーフストロガノフ、ビーフストロガノフ

俺の中でイメージが崩壊しそう……。

というかこれはどう見ても……


「チャーハンだよ!」

「そりゃそうだよ俺が創れるのこれだけだし」

「ならきかないで!!」


そうだった、親父が作れるのはこれだけだった。


「前食べたときは3人だったのにな……」


親父がしみじみとつぶやく。

そうだった。

前食べたときは俺と母さんとおやz……

うん?


「感慨深くなってるとこ悪いけど3人で食べたことなくね? 親父つくってそのまま会社いつも通りいったくね?親父の料理で家庭団らんの記憶ないぞ?」


「は? いくら何でもそんなわけ……あるか、あるな、あるんだな」


そのときはおれも母さんもあきれて笑った思い出がある。

まぁ苦笑だが。


「てか今日作るの早くない? 前もっと作るのにかかった気がするんだけど」

「……そういえばそうだな、なんか作りやすかったんだよ今回。前は具材とかも調味料とかどこにあるか母さんに聞かないとわからなかったんだけど、今回はすぐわかったんだよ。整理整頓されていたというか」


「整理整頓?」


冷蔵庫がなんで?

整理整頓されている理由がちょっと分からない。

親父は社畜だからまず整理整頓されてわけがないし。


母さんはそもそも大雑把だから掃除とか整理整頓はそこまで得意じゃないし、嫌いだったはず。

それこそ出てく寸前にそんなことをするとは考えづらいんだけど……


掃除は俺が必然的にやることが多かったが、それでも冷蔵庫はほとんどいじらなかった。料理しないから。


ちょっと不可解。


「……珍しいこともあるもんだな、まぁいいや、じゃ行ってらっしゃい」

「あぁいただき……え?聞き間違いか?行ってらっしゃいって聞こえたんだが」

「言ったけど?」

「だから今日までは終日休みなんだよ、それともあれか出てけって間接的に言ってるのか?反抗期か!」

「冗談だよ、いただきます」

「なんかたくみちょっと変わった?」

「……そうか?」

「明るくなった気が……」


内心ドキドキしながらポーカーフェイスを続ける。

やっぱ出ちゃうか、大人の階段上ったことが。

雰囲気で!!


「男子三日あわざればていうが本当なんだな」

「何なら2週間顔合わせないこともあったけどな」

「……それもそうか」


相変わらず親父は社畜だった。


あぁそれにしても週明けの学校ってなんでこんな憂鬱なんだ。


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木曜日こそが至高。

いつも応援ありがとうございます。


さてご報告です。

ストックが切れました。

ここからは自転車操業が始まります。


さて、僕のペダルをこぐ足はいつまで持つのか

皆さんで予想してみてください。


これからもどしどし感想等お願いします!!

時間ある時に返信できたらします。

誤字脱字とか助かってます!!




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