第13話 けじめ
あれから交ざりあって、混じりあって、とろけ合って、慰め合って。
若さのおかげか、かすみへの愛と言うべきか情欲というかべきか。
とどのつまり、お互いに欲しあい、睦言が終わったのは深夜。
「……ねぇ」
「ん?」
失った水分をベッドの上で、飲んでいるとかすみがこっちを見つめている。
「明日……って言うかもう今日か、日曜日になってるけど、どうするの?」
……どうする、か。
2人でゆっくりとしていたらもう土曜の深夜になってしまった。
月曜になったら学校がまた始まる。
先週は休んだがさすがにそろそろ行っとかなきゃ行けない。
「……まだ戻りたくないなら休んでもいいんじゃない?」
確かに。
本音を言うなら戻りたいわけじゃない。
学校にも、家にも。
「……それもいいかもね」
いつまでも現実から目を背けて、逃げて。
行かないで。
……だけど。
「でもそれじゃだめっても分かってるから……母さんがいなくなったという事実。……幼馴染の裏切りともいうべき行動から。いつまでも目を背けてたら俺はいつまでも前に進めない、また逃げ続けた、かすみに再会する前に戻ってしまう。」
俺はまっすぐかすみさんに眼を合わせる。
ある種の決意を込めて。
「じゃあ行くんだ?」
「うん、だってそうじゃないと俺は大人っぽくなれないからね」
「……大人っぽく……って?」
「ああ、実はね……」
そう前置きして話した。
俺はかすみさんが男性と、(まぁ今では従兄弟と分かった訳だが)出かけているのを見た後にどうしてきたかを。
「……大人っぽくかぁ、確かに当時の君からしたらそうだよね、大学生なんてみんな大人に見えもんね~、実際あの時一緒にいた従兄弟の彼の事ってそんな覚えてないでしょ?」
「顔?」
覚えているのは茶髪で眼鏡かけた感じ?
「そうそう、でも今に照らし合わせれば彼大人っぽいっていうよりは実はかわいい系なんだよ?」
「……か、可愛い系……っ?!」
新たなジャンルが出てきた。
今でこそ名前くらいは知っているけど、当時の俺は可愛い系のかの字も知らんかった。
「実はかすみさんは可愛い系が?」
もしそうならとりあえず猫耳でもつければ?
可愛い系になれるか?
「なんかバカみたいなこと考えてない?」
「猫耳でもつけようかな、と」
「ふむふむ」
かすみは思案顔になって、一言。
「ありだね」
「なしだよ!!」
かすみもバカになってしまった。
「……と、まぁ冗談はさて置いて」
いや絶対違う。
眼がマジだったもの。
「いいから!! じゃあ明日戻るのね?」
「うん。そろそろ社畜の父もメンタル戻ってきたはずだからさ」
「そうね、お父さんも心配だものー-「ー-いや心配とかはしてないけど」
即答に苦笑するかすみ。
「だって社畜だからね。 多分この程度普通だよ」
「これが普通の社会ってなかなかに世紀末よ? 核戦争終わってヒャッハーってしてるレベルだよ?」
「それめっちゃ人相悪いモヒカンとかやん。でもそれくらい歴戦の社畜鍛えられてるはず!」
まぁ冗談はさておいても幾分かは多分回復してるはず。
この4、5日間は俺にとっても親父にとっても必要な時間だった。
自分の心に整理をするための。
おれはかすみに再会して過去のトラウマの一つも意図せず吹き取んだけど。
たとえかすみに再会しなくても心の整理は荒れ続けながらもつけられたかもしれない。
でも俺は一つ救われた。
だから、
「かすみ」
「うん?」
「荒れに荒れていた俺のそばにいてくれてありがとう、そしてきつい言葉をかけてごめん」
「まぁ元凶の一つはうちの妹でもあるけど、たとえそれが無かったとしても私は君のそばにいたよ」
「ありがとう」
「ううん、君が私と同じ立場だったら同じことをしたよきっと。だからあの時電車で見かけた君の様子からはるばる追いかけた私を私は褒めたいね」
ふふんと得意げな顔をするかすみ。
「……いえそれはちょっとストーカー気質と言いますか、、」
「そこで梯子外さないで!!」
「まぁそれはさて置いても、本当にありがとうございました!」
「いえいえ~」
「それじゃこれからも末永く」
「はい、末永くお願いします……ぷっなにこれ。いま年末年始じゃないよ」
「決意表明ですよ」
「じゃあおやすみなさい」
「うんおやすみ」
かすみを腕枕しながらその甘い香りに包まれて眠った。
起きたら日曜の午後が終わりかけてた。
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なぜ休みって終わるのが一瞬なのか。
永遠の疑問です。
沢山のフォローと応援ありがとうございます。
気付いたら1000人突破してて驚き桃の木山椒の気って感じです。
また★と感想などいただけてありがたい限りです!!
これからもどしどし感想等お願いします!!
時間ある時に返信できたらします。
誤字脱字とか助かってます!!
さてさてそろそろ更新が隔日とかになるやもしれぬ。
まだ舞うけども。
舞えるけれども。
みんなそれでも見てくれるとうれしいっす。
ではよろぴくみん!
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