第9話 昼下がりの一幕

「ぉ…て、起きて?」


「………………んっ?」


「起きなきゃいけない時間だよ?」


…………


「…………かすみ、さん?」


あれ?なんかこの会話ちょっと前もやった気はする。


……あ~、これがいわゆるデジャヴってやつか。


そう言えばデジャブってのは15歳~25歳あたりの年齢の時に頻発するらしい。

そんで逆に年齢が上がるとだんだん起こりにくくなるそう。


つまりデジャヴを見るってことは若い証拠。


だから昨日散々、なんなら朝にもナニをしたとしても、起きたらナニがスタンディングオベーションしてしまうのはしょうがないというもの。


だって若いんだし。


明りの眩しさに眼をやられ、薄眼でちらりと見てみると、腰に布団はかかっている。

よかった、とりあえずナニは隠れてる。

ばれない、ばれないはず。


「……ぅぅん」


軽く伸びをして横を見ればかすみさんのきれいなご尊顔。


「……おはよ」


かすみさんがおれと同じシーツを身体にまとい、その立派な肢体を隠している。



「これがいわゆる朝チュンってやつかぁ」


何とか煩悩を抑えようと、他人事のように考えてみる。


「おはようございます」


「おはようというかこんにちは、だけどネ」


寝坊しちゃったね、と明るく笑う。


「たくみくんこそ学校は大丈夫?」



「ええ大丈夫です。なんてたっておれ優等生ですから。昨日のうちに勉強しすぎて体調崩したから今週休みますって言ったらお大事にと言われました」


「……あ〜、悪い子だ~」


「……初めてだからいいんです!」


「もうっ……悪い大学生みたい」


ただかすみさんも責めるような言い方訳じゃなくて、冗談で言っているのは分かる。


「ねぇ」


「はい?」


「なんで私に彼氏がいると思ったの?」


髪をかきあげた姿でかすみさんは聞いてくる。


ただ顔はさっきまでと違って真剣で。


だから俺も真剣にーー


「それはだってーーー」


ーーーPrrrrri


ちょうどよく水を差す電話の音。

……何だよ真剣な話をしているときに!

ベッドの近くに置いてあった電話を取る


【……はい】


【あと20分でチェックアウトのお時間です】


電話を出れば聞こえてくるのは機械的なメッセージ。

カラオケみたいにスタッフの声でないのは、なるべく二人だけの時間を大切にしてもらうためか。

ラブホを使う人は色んな人いるし。


……てか20分。

20分……か。


……チェックアウトまであと20分!?


時計を見れば時刻は既に11時40分。


「かすみさ……かすみ?」


かすみさんと呼ぼうとしたら可愛らしく睨まれたので、そのまま呼び捨てにする。

じゃなくて!!


「……ん?なーに?」


ちょこんと首をかしげる。

はは、かすみよ。だがそんな余裕でいられるのも今だけだ。

衝撃の事実を聞いて一緒に慌てふためくがよい。


「チェックアウトまであと20分だって急がないと!!」


「そっかじゃあいそがないとね~」


「っていう割にはおっとりしてるね!」


「だってもういつでも出れるもん」


顔をよく見れば、うっすらと化粧してあるのがみてとれる。


これはこれで可愛い。


「しかも〜?」


パッ


と布団を剥ぎ取ると、そこにあったのはかすみさんの裸体。


……ではなく、しっかりと服を着た姿。


どうやら肩だけギリギリまで出して裸っぽく見せてたらしい。

シャワーとかはもう浴びたらしい。


「つまり?」


「急いでシャワー浴びてきて?」


急ぐのは俺だけってことですね!!


俺は慌ててシャワーを浴びに駆け込んだ。

スケスケの浴室なことを忘れて。





「恥ずかしい……もうお婿にいけない」


あの後なんとかチェックアウトの時間には間に合ったが、かすみさ……かすみにはあらぬ姿を見られてしまった。


夜はそれどころじゃなく別のものに夢中だったからあんま気にならなかったけど、なんでシャワーって透けてんだろう!


……うむ扇情的にするためか!

なら女性の時だけ透ける仕様にしてくれ!!

時代は進化してだろう!!その技術


誰が男の裸を見て興奮するんだよ!!


「なかなかに眼福でしたなぁふへへェ」


「なんですかそのキャラ。 おっさんか何かなんですか」


「JDに向かっておっさんは酷くない!? 綺麗なお姉さんでしょ!!」


「もうその自信がすごいですねぇ」


「……ちなみに言うとたくみくんにだけエッチなお姉さんだったりもします」


「んぅぅッ!?」


なんだその発言はエッチ過ぎないか!!


そして自分で言っといて恥ずかしがるの止めてもらっていいですか!?


「すみません今のもう一回いいですか? 名前もちゃんとしてもらって」


「……ここを鬼のように詰めてくるねたくみk……たくみは」


しょうがないなぁもう……と前置きしてかすみはしなだれかかってきて耳元で、


「ふふふ、たくみにだーけエッチなお姉さんだよ?」


二回目の破壊力はさっきにも増してすごかった。


「顔が真っ赤だぞ?」


そう言うかすみも顔が真っ赤な訳で。


帰りのバスの中で二人して悶絶した、そんな幸せな平日の昼下がり。


ー-------------------------------------


甘ぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!

げふっ


さて。


沢山のフォローと応援ありがとうございます。

また★と感想などいただけてありがたい限りです!!。

これも皆さんの応援のおかげです。

ありがとうございます。

今後もよろしくお願いします!!


ではではまた明日の同じ時間に。


Ps.ストックが切れかけてます。

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