第5話
そして迎えたVTuberデビュー当日。
すごく緊張する。失敗したらどうしよう。
昨日よりも不安が大きくなってきてしまい、少しだけ後悔がおそってきた。
それに、いきなり配信して、お客さんはきてくれるのだろうか。
配信をはじめてお客さん0とかだったら…地味にショック受けちゃうかも。
「うう、小野田さんからはあんまりSNSで検索とかしないほうがいいってアドバイスもらっていたんだけど…」
気になってしまうと他のことが手につかない。
私はSNSで自分が担当するVTuberの名前ー『桃奈咲良』で検索をかけることにした。
「あれ、意外とヒットする…」
検索結果0件、みたいなのを想像してたから驚きが大きかった。
いくつかの投稿をみていくと、
小野田さんの会社のアカウントが、桃奈咲良の宣伝をしてくれているものもあった。
「そうだよね、お手伝いしてくれるって言ってたもんね。」
会社の投稿の返信欄を確認すると、
「ずっと楽しみにしてました!」
「桃奈咲良ちゃんかわいい!」
「どんな声なんだろう?」
と、桃奈咲良に期待をしてくれている人たちがたくさんいた。
例えば会社の上司だとか、友達だとか
私に対して期待をしてくれる、ってことは普通に生活していてもあることではあるんだけど、
「なんか、こうやって期待してもらうのって、少し嬉しいかも」
よーし、とりあえず配信前の最終確認だ!
◎◎◎◎
配信まで残り5分となり、私はカメラの前で待機していた。
あとはもうー、配信するだけ。
刻一刻と配信開始の時間が近づいてくる…
平常心。平常心…。
「はじめまして!桃奈咲良です!」
ーついに私は、VTuberとしての一歩を踏み出した。
◎◎◎◎
「うわあ!コメントいっぱい…!ありがとうございます!」
配信がはじまり、自分が想像していた以上にコメントが流れてきた時は、すこしだけうるっとしてしまった。
--桃奈咲良ちゃん!まってた!
--声かわいい!!
今まで生きてきて、こんな経験したことはあっただろうか?
褒められているのは私ではなく、『桃奈咲良』それでも、とても嬉しかった。
配信の段取りについては、事前に小野田さんから指示があった。
まずは桃奈咲良のプロフィール紹介。
その後、はじめての配信ということもあり、いくつか質問に答えていく、という流れになっていた。
「それでは、これから質問タイムにします!全部は答えられないんですけど…。できるだけ答えていこうと思います!」
--ニックネームは?
--好きな食べ物は?
--今後やってみたい配信は?
「ニックネームは、もも!
好きな食べ物はオムライスで、カラオケ配信とかやろうと思ってるよ!」
流れてくるコメントを確認し、どんどん答えていく。
『石山唯』ではなく、『桃奈咲良』として。
それにしても、いろんな質問があるな…。
ある程度はキャラクター設定をもらっているからわかるんだけど、変な質問とかきたらどうすればいいんだろう。。
--今日のパンツの色は?
--何カップ?
たまたま目についた下ネタの質問。
せっかく桃奈咲良に興味を持ってくれて、質問してきてくれてるんだ。
…ちゃんと答えるべき…だよね?
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