第8話 食う寝る所住む所
「さて、お腹は空かないか?」
マリーに言われて空腹に気付いた。
「天国に行った人達は食べるという概念が消えている者もいるんだが、なんせうちらは体が資本だからなあ。食べないと身が持たないんだ」
そばにいた大柄な男にも声をかける。
「ブルックー、昼飯食べに行こう!」
「はい、副隊長」
ブルックと言われた男は即座に席を立つ。ブルックリンという名前で1班班長だと紹介された。
マリーは席を立つと「こっちだ」と案内する。
ブルックと並ぶと身長差があるのでまるで大人と子供のようだ。
ブルックがこそっとこちらに言う。
「副隊長に小柄とか言わない方がいいぞ、キレると怖いからな」
「……」
考えてる事がまるでお見通しのようだ。まあ約160センチはありそうなのでまだ小柄ではないと思うのだが。
真ん中の受付の先に食堂があり、結構な広さのようだ。厨房側にトレイがあり、各々好きな料理を手に取り机に向かう。
和、洋、中。結構な品揃えだ。中には見た事が無い物もあったがどれも美味しそうだ。
「いっただっきまーす!」
山盛りパスタを前に嬉しそうにマリーが言う。食べるのが好きなのだろう。その隣にブルックが座る。トンカツとご飯と味噌汁。定番定食のようだ。
俺は無難にラーメンを選んだ。澄んだスープの醤油ラーメン、東京風か?
一口すする。ん、旨い!
「旨いだろう?」
ニヤニヤしながら自慢気にマリーが言ってくる。
「ここの食堂、元家政婦組合で働いていた鬼女のおばちゃん達がパートで働いているんだが、前職の料理経験を生かしたり」
自分のスマホ画面を見せながら
「様々なマンガのレシピを観て再現したのを霊チューブという無料配信動画に出したりして腕を上げたらしいぞ」
「…動画配信もあるのか? 何でもありだな」
「ただし、居酒屋はあるが、キャバクラとホストクラブと風俗系は禁止されてるぞ」
「何で?」
素朴な質問をしたつもりだったが、マリーは
「…この世でそういう関係で地獄を見た連中にあの世でももう一度同じ思いを味合わせたいか?」
真顔で逆に聞いてきた。俺は「いいや」と首を降った。この世でそういう目にあった奴らを見てきただけに同意は出来なかった。
「ご馳走さまでした!」
綺麗に平らげた皿を前にマリーが手を合わせて言う。
「さて住む所だが」
住居か。矢継ぎ早に色々決まるので少々疲れてきた。
「知り合いの不動産屋に条件出して決めた方が早いか?」
家具家電付きが良いか?
と聞かれ、
「それで頼む」
と軽く頼んだ。
仕事の後で案内してくれる手筈を整えてもらった。住み良い所だといいが。
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