第6話 人もそれぞれ個性もそれぞれ
腰痛を起こした隊長をソファーへ運び、そのまま隣の隊員の事務室へ移動する。
「ようこそ第二部隊へ!!」
多数の大声と共に大勢の隊員が待ち構えていた。
「やーんちょっと副隊長!カッコいいじゃないの!」
「なに言ってるんだハニー、俺の方がカッコいいだろう?」
…野太い声で大柄マッチョな二人が会話している。
「…えーと、アレはなんだ?!」
「…気にするな、いつもの事だ!」
「いや、ムキムキマッチョがイチャイチャしている様にしか見えないんだが…」
遠い目をしながらマリーが説明をする。
「…一応、両人とも生前は元グリーンベレー部隊なんだが、こっちでカミングアウトして告白成功したそうなんだ」
「…色々だな」
「…だな」
あまり直視しないようにして班構成について会議スペースで話を聞く。
と、その時、
「藤堂じゃないの!うわー、久しぶりね!」
さっきとは違う聞き覚えのある男性の声がした。
「…辻!? なんでここに!?」
見ると同じヤクザの構成員に属していた辻という男が立っていた…が、
「…なんか言葉使いが違くないか?」
「やあねえ、表では隠してたにきまってるじゃないの!」
「…あれ?結婚してたよなあ…カモフラージュか!?」
「言葉使いだけ女っぽいけど恋愛はノーマルよ!言っとくけど妻とは今でも相思相愛なんだから」
「はいはい、積もる話は後にして」
マリーが途中で会話を遮る。
「で、今話していた辻は今、5班班長をしてもらってるんだ。1班は元軍人や対テロリスト対策組織に所属していた連中、藤堂に所属してもらう2班は元ヤクザやマフィアの連中、3班は元自衛隊員、4班は事務要員と動物とかの転生業務を行ってもらう隊員、5班は色んな連中が所属してもらってる。人数はなんだかんだで4班が一番多いな」
ホワイトボードに絵付きで説明していくのだが、
「絵…下手なのか?」
「…他称5歳児並みと言われている。そこはなにも言わないで…」
悲しそうな顔をされたのでこれ以上は言わない事にしておいた。
そこへ、
「副隊長、第四から制服が届きました」
と、スラリとした女性がやって来た。が、普通とは何か違う。
「おう、ご苦労様。ん?どうした?」
ジロジロ見るのは失礼とは思ったが、つい耳を観てしまう。
耳が、普通の人より長いのだ。それはまるでファンタジーでよく聞くエルフのようだった。
「ああ、彼女はエルフだよ」
しれっとマリーが言う。
「…ええーっ?!」
「驚くのはまだ早い。ドワーフとか他の種族もいるぞ。なんせここは」
二次元世界のあの世だからな。
気が遠くなる中そんな言葉を聞かされた気がした。
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