第16話あなたーご飯のじかんよー

 腹が減ったけど食べ物がありません。


 たいちょーっ。

 どうした?そんなに急いで。

 聞いてくれぇ。やべえやつのせいで、ここら一帯の魔物が皆逃げちまってらぁー。


 うん。知ってるポヨ。

 ゼフィーだし。


…………。


「わらわは森の魔力だけでも構わんぞ?」

「さようですか」


 どうやって魔力をおいしく食べるの?

 味付けはぜす、生でそのままおいしく頂きますってか?


「俺は人間なんでな。食べ物がないと生きていけないんだよ。そう言う訳で、ゼフィーはここに居てくれ。俺は魔物を狩ってくる」


「わらわをこんな所置いていくのか?こんなか弱そうな幼女を置いてきぼりにするのか?」


 はい。置かせて頂きます。


「ゼフィー、じゃあどうしろと?」

「わらわも付いていくのじゃ」

「いやいや、付いてきたら魔物も逃げるだろ」

「魔力ぐらい隠密魔法で消すのじゃ」


 さようですか。

 ならもぅちょっとだけ早く言ってよ。

 魔物もだいぶ遠くに行ってるだろうし。


「なら、早く行こう。夜になると面倒だ」


 ゼフィーはなぜか動こうとしていない。

「どうしたゼフィー?行くぞ」

「どうした? じゃないのじゃ。何をしておる。わらわをおぶるのじゃ。おぬし、幼女主義なのだろう?」


 ???

 幼女主義とは?

 幼女主義とは何だ?



 ピロンと心地の良い音色と共に音声が聞こえる。


「スキルを取得しました」

 幼女主義者(初級)

 スキル効果

 幼女が一番


 なるほど。これが本当のぶっ壊れスキル。

 じゃねぇーよ。

 幼女が一番も意味わかんねぇし、いつ使うんだよ。


 何のタイプのスキルなんだよ。

 ある意味戦闘スキルってか。

 バカヤロー。

 もぅ二度と出てくるな。絶対鳴るなよ。




 幼女主義者の俺は、しぶしぶ、ゼフィーをおぶって走り回って、魔物を探していた。


「ゼフィー魔物はいるか?早くしないと本当に日が落ちてしまう」


「ん?アルスよ、向こうに魔物ではないが人がおるのじゃ。こっちに行くのじゃ」


 ゼフィーが指差す方向に人影は見えない。

 だいぶ先か?


 それにしても、こんな森の中に人なんて…………。


「ゼフィー、俺は嫌な予感しかしねぇぞ」


「行けばわかるのじゃ。それに、食べ物を持っているなら奪うだけじゃ」


 ギルドさーん。

 犯罪者予備軍、発見でーすっ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る