第15話名前はこのおとーさんが
魔竜との結婚は一旦神力が戻って、大人の姿になってから改めて考える事に落ち着いた。
わらわはいつでもいいのじゃぞと言っているが、その幼女姿では手なんてだせるはずがない。
俺は仮にも勇者だった男だっつーの。
「魔竜さん、魔竜さん。いつまでも魔竜さんと呼ぶには違和感しかないから、名前を教えてくれないか?」
俺は幼女姿の魔竜と向かい合って地面に座っていた。
まずはお互いの信頼関係だ。まずは名前を呼び合う事から始めてみよう。
何より、今の現場をはたから見たら、何かのごっこ遊びですか?変態さんと言われてしまいそうだ。
「勇者よ。あいにくだが、肉体と共に記憶がかけて思い出せんのじゃ。まあ古くさい名だった気がするがの。だから、勇者が新しく名を授けてくれ」
あなた記憶喪失なの?
いきなり超火力の時間差魔法発動してくるね。
それって俺たち……主に俺のせいだよね。
さらっと大事な事を言うなぁこの幼女様は。
何百年も呼ばれないと、どうでもよくなって忘れ安くなるのか?
おっと、いかんいかん、名前か…………。
いい名をおとーさんがつけてやらんとなっ。
幼女、白髪、白………。
「シロ・ウサギは?」
「バカにしとるじゃろ?」
却下か。
…………。
「ラビットん・ホワイト」
「お前、仮にもわらわは魔竜じゃぞ。勇者、おぬしセンスが壊滅的、いやセンスが死滅しておるぞ」
センスが死滅だとっ。
バカなっ。
これでも、王都騎士VS王都ギルドの大喜利大会で二回戦進出した俺のセンスが。
おとーさん泣いちゃうよ。壊滅的で止めてよ。
しかし、ラビットんもダメか……。
動物系は竜だし諦めてあげよう。
キャンディーナ・ペロペロ。いやダメだな。
んー。女の子の名だと……植物が多いか。
もじった方がいいのか?
白い……花?
チューリップバター……ダメそうか。
…………。
「ゼフィー、ゼフィランサスからとってゼフィーとかどうよ?」
「ゼフィーか、うむ、良い名じゃ。わらわのような高級な香りがするのじゃ。これから、わらわはゼフィーと名乗ろう」
これが、おとーさんのセンス、あっセンスよっ。
「あと俺、もぅ勇者じゃないからアルスって呼んでくれ」
「わかったのじゃ」
「じゃあ。改めてよろしくゼフィー」
「よろしくなのじゃ、アルス」
グゥー。ぐぅーーーー。
…………。
俺だけじゃない。ゼフィーからも聞こえた。
「ゼフィー。腹へったな」
「そ、そうじゃなっ」
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