第8話

「棘の衆」8


 ウシトラは校門前に見たことの無い先生が立ってる事に気付いた。


「先生……何かあったんですか?」

「お前は名前は?」

「北東ウシトラです」

「……こっちに来い」

先生は校門を開けてウシトラを中へ入れた。

 校庭に停めてあるバスに違和感を感じたが、先生に急かされながら校舎へ入った。


 職員室へ連れられて入ると高田と武装集団が大勢いたー。


「来たかウシトラ君」

高田は嬉しそうに近付いてきた。

「……僕は……」

「君は築いてないかも知れないが村上康彦先生の魂を引き継ぐ者である」

「まさか」

「政府は腐っている。貧富の差を作り出し貧困層を労働力として限られた富裕層のみを優遇している…先生は全ての人を平等化して平和な世の中にするため正々堂々と政府に反旗を戦いを挑んだのだよ」

「……」

「あの公会堂の時、警備を付けなかったのも正々堂々と正面から政府に訴える為だったのに、政府は暗殺者を差し向けたのだ!それが君の暮らしていたアパートの住人だよ。大山志保が先生を刺した犯人だよ…君は無限のカリスマ性を持っている……先生の次の指導者なのだよ」

「俺が?」

「我々は君に従う!その前に真実を知ってくれ……この校舎の中に鳴海フジ子と大山志保が潜んでいる。君の声かけで出てくるだろう……彼等に聞くといい……君を監視して我々と合流させないための作戦に過ぎないのかと!」

ウシトラは初めてフジ子に会った時を思い出した。志保が「任務は友達になることよ」と言ったのをー。

 職員室から出て廊下を歩き自分の教室へ向かった。

「鳴海さん!志保さん!」

ウシトラは大きな声を出して二人を呼んだ。

「教室で待つよ!俺以外は誰も来ない!」

ウシトラは教室へ入った。


 窓際の自分の席に座った。


 夕陽がオレンジ色に教室を染める頃、フジ子と志保が教室へ入ってきた。

「ウシトラ君…」

フジ子は安心したようにウシトラに近付いた。

「フジ子!」

志保は止めようとしたが止められなかった。

 フジ子は優しく微笑むウシトラに抱き付いた。

 二人は抱き合った。

「フジ子…君の任務は俺を監視する事だったのか?」

「……初めはそうだったけど、今は違うよ」

「そっか…」

ウシトラはナイフを抜いてフジ子の背中を刺した。

 志保は直ぐにウシトラを突き飛ばしてフジ子を抱き抱えた。

「フジ子!大丈夫!?」

「痛いけど急所は外れてる」

二人は立ち上がるウシトラを見上げた。

「二人とも嘘つきだな…」

ウシトラは走って教室を出て行ってしまった。

 志保はフジ子を抱えながら立ち上がり、急いで教室を出た。

 廊下から校庭のバスを見ると武装集団が取り囲んでいた。

「フジ子…歩ける?」

「大丈夫…」

「生き残ってね!」

そう言ってフジ子から離れて窓から飛び降りた。

 志保は宝刀を抜いて校庭のバスへダッシュした。武装集団達は志保に築いて一斉発砲し始めた。

 志保は左右へ走りながら距離を詰めていった。


 夕陽を背にしてHK416を構える武装兵士の前で飛んでヘルメットから叩き斬った。その隣のやつの足首を斬り、次々と致命傷を与えていったが、武装兵士の一人がバスの中へ何かを投げ込んだー。


 次の瞬間…バスはガス爆発した…。


つづく

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る