第7話

「棘の衆」7


 フジ子は腰を屈めて非常階段を降りたー。

 確か校長室に武器が在るはず…。


 志保は息を切らしながら走っているー。頭上には小型のドローンが追跡している。


 ウシトラはフジ子と帰る為に学校へ向かっている。

 昔は昔で前に進まなければいけない。フジ子との日常こそが自分にとっての幸せであるのだ。だから、今日もフジ子と一緒に帰るのである。


 フジ子は外から校長室を覗くと中には赤い腕章を付けて武装した男が三人いて、その足元に捕らえられた校長とその周りに先生達が転がっていた。

 校長は直ぐに窓の外のフジ子に気付いてフジ子が突入しやすいために暴れ出した。


 武装した男達が校長を取り押さえようと動くと同時にフジ子はガラスを割って飛び込んだ。

 一人の男の後ろに回り腰に付けたシグを抜いて後から頭を撃った。そのままもう一人の足を撃ってバク転して距離を取った。

 校長は最後の一人を羽交い締めにしてフジ子に首を切るように指示した。


 血が飛び散って死体が重なる校長室はカオスであった。

「鳴海フジ子さん!よくやった!」

校長はフジ子の頭を撫でながらその場に倒れてしまった。

 男達に取り押さえられた時に腹部にナイフを刺されていたのである。


 フジ子は校長の腹部に布を押し当てて動かないように言った。

 そして、武装した男達の持っていたMP5と校長室にある疋田誠一が持っていたとされる宝刀を装備した。


 志保は校舎の裏に到着して学校の様子を伺っている。この騒ぎは周囲には知られていないようである。

 スーツを着た見たことのない男が二人、校内を歩いているのが見える。

 その男達の後からフジ子が斬りかかったのを確認して、無事だったフジ子に安堵しながらも突入した。


 フジ子は一人を斬りつけたが、もう一人に取り押さえられてしまった。男の握力には勝てずに藻掻いていると突然、男が白目を向いて覆い被さってきた。後から志保が男喉仏を砕いたのである。

「志保姉!」

「フジ子!無事で良かった」

「ほとんど殺されてるよ!どうなってるの!」

「誠真会の武装集団が陰者狩りしてると本部から連絡があったの!本部にスパイが居るみたいで確認するまで各自で行動せよってこと!」

「なにそれ!」

「自力で生き残れってことよ!」

「まだ勉強中なんですけど!実戦はさっき初めてだよ!」

「これだけ出来れば大丈夫!」

「ウシトラ君は?」

「今日は図書館に行くって言ってた」

「誠真会のメンバー2と接触してたみたいなの!彼に会っても信用しちゃダメよ」

「まさか!」

「取り込まれてる可能性があるよ!彼に会えても動揺しちゃダメよ」

志保は母が死んだことは言わなかった。


 志保はフジ子の初めての実戦で同級生や先生達が殺されるなんて精神的にキツい、その上で育ての親も死んだなどと言えなかったのである。


 二人はその場を離れた。


つづく

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