第3話 広がる感染拡大の報道
それからブタノスケは、なんとなく腑に落ちない気持ちのまま小屋に戻ると、マスクを付けたトン太郎兄さんと、トン次郎兄さんが、食い入るようにテレビのニュースを見ていました。
ブタノスケが帰ってきたことに気がついたトン次郎兄さんは、怒った顔をして言いました。
「ブタノスケ!いまは緊急事態なんだ。不要不急の外出なんかしてはいけないんだぞ!」
「えっ!ごめんなさい」
「いったい、どこに行っていたんだ」
「えっとね」
すると、その時、テレビから甲高い警戒音と同時に、ニュース速報の表示が画面に現れました。ニュース速報には新規感染ブタ数126匹と、合計感染ブタ数1万6701匹が表示されていました。
「また感染者が増えたみたいだ」と青い顔をしてトン太郎兄さんが言いました。
するとテレビにトンキョウ大学のヤマブタ教授が登場してきました。
「今日は、みなさんに、とても良いお知らせです。ついに新型コブタ・ウイルスのワクチンが完成いたしました。みなさんの命と健康をまもるため、そして、みなさんの周囲にいる大切な家族や仲間をもまるために、ぜひともワクチンを注射してください」
「ヤッター」とトン太郎兄さんと、トン次郎兄さんは両手をあげて喜びました。
「ぼくは、あんまり注射したくないな」とブタノスケがつぶやきました。
「ブタノスケ!なんでワクチンを注射したくないなんて 言うんだ」とトン次郎兄さんが怒った顔をして言いました。
「だって、ブタムラ医院のブタムラ先生が、ワクチンなんか効果ないと言っていたよ」
するとトン太郎兄さんがブタノスケの方を向いて言いました。
「あのね、ブタムラ医院のブタムラさんは、ただの町医者じゃないか!どう考えたって、トンキョウ大学の医学博士のヤマブタ教授の言っている方が正しいに決まっているよ。だってトンキョウ大学は島じゅうの秀才が集まっている一番の大学なんだ。その大学の医学部の教授が間違ったことを言うわけがないよ」
次けてトン次郎兄さんが話しだしました。
「これだけ新型コブタ・ウイルスの感染が拡大しているんだ。このウイルスは無症状でも感染する怖いウイルスなんだぞ!みんながワクチンをやらないと感染拡大が止まらないじゃないか!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます