第2話 町医者のブタムラ先生の意見
ブタノスケは商店街のはずれにある「ブタムラ医院」のブタムラ先生をたずねました。
「こんにちはブタムラ先生」
「ブタノスケくん、こんにちは。今日は、どこか体調でも悪いのかい」
「ちがうんです。テレビで新型コブタ・ウイルスが感染拡大していると報道していたので、先生に質問しようかと思ってきたんです」
「なるほど。どういう質問かね?」
「テレビで『感染拡大・感染拡大』と言っている割には、ぼくの周りでは新型コブタ・ウイルスに感染したという話をあまり聞かないのです」
「ハッハッハッ!ブタノスケくんは、なかなか鋭いね。新型コブタ・ウイルスとよばれているものと、毎年冬になると流行るカゼやインフルエンザと比べてみると、実は、たいして変わらないものなんだね」
「えっ、そうなんですか?でもテレビでは、毎日毎日、たくさんのブタが新型コブタ・ウイルスに感染していると言っていますよ」
「テレビは病気が治ったブタの数や今現在の数よりも、むしろ今までの合計の数や新規感染者数ばかり強調して不安をあおっているだろ。本当は、どれだけの数のブタが治っているかをちゃんと考えなくてはいけないんだ。実は今回の新型コブタ・ウイルスの場合は、多くの場合は今までの風邪やインフルエンザの場合と同じようなレベルで治っているし、感染しているブタの数も、亡くなっているブタの数も、そこまで大騒ぎをするほどではないんだ。むしろ過去には、今回の何倍も多くの数のブタが風邪やインフルエンザに感染して死亡したことだってあったんだよ」
「えっ本当ですか?でも先生、トンキョウ大学のヤマブタ教授は、とても危険なウイルスだから感染対策を徹底するようにとテレビで言っていましたよ」
「過去のデータと比べて見れば、実際に風邪やインフルエンザの場合と同じような割合で治っているんだから、同じような対策をとれば良い話なんだよ」
「でもトンキョウ大学のヤマブタ教授はマスクをしないとダメだと言っていますよ」
「ハッハッハッ!ブタノスケくん!ウイルスの大きさと、マスクの繊維のアミ目の広さと、どっちが大きいか知っているかい」
「えっ?ウイルスとマスクの繊維の隙間の大きさですか?」
「まず新型コブタウイルスの大きさと言えば、だいたい130ナノぐらいの幅があるんだ。それに対してマスクの繊維の隙間の幅が、だいたい1マイクロから2マイクロぐらいなんだ」
「先生、ナノなんて言われても、よく分かりません」
「まだブタノスケくんはナノやマイクロという単位を習っていないんだね」
「はい」
「これを見てごらん。ここに直径が10センチぐらいの大きさのボールがある」
「はい、僕のうちにも同じぐらいの大きさのボールがありますよ」
「仮にウイルスの大きさが、このボールの大きさぐらいだったとしよう。ブタノスケくん、これに対してマスクの繊維の隙間の幅は、いったいどのぐらいの大きさになると思うかな?」
「えっと、5センチぐらいですか?」
「ハッハッハッ!ブタノスケくん、ぜんぜん違うよ。だいたい1メートルから2メートルぐらいの幅の大きさだね」
「えっ!」
「マスクなんてものは、ウイルスに比べたら10倍、20倍も幅がある大きな穴が、ぽっかりとあいているようなものなんだ」
「先生、それじゃあ、マスクをしていても意味がないじゃないですか」
「そうだ!ウイルス対策にはマスクは意味がないんだ」
「じゃあ先生、ウイルス対策には、やっぱりワクチンしかないんですね」
「ハッハッハッ!ワクチンなんてものは開発している間に、ウイルスの方が別のモノに変異してしまうから、ぜんぜん効果がないんだ」
「先生!ワクチンが効かないのなら、いったい、どうしらた良いのですか?」
「栄養のあるものをしっかり食べて、適度に運動して、しっかりと睡眠をとることだね」
「えっ?テレビは、いつもよりしっかりと感染対策をするように言っているんですけど」
「だから、いつも通り風邪をひかないように、しっかり食事をして、適度な運動をして、しっかりと睡眠をとる。それさえすればマスクもワクチンもいらないんだよ」
「でもトンキョウ大学のヤマブタ先生は、ワクチンが大事だって言っていますよ」
「ハッハッハッ!ヤマブタ教授は、ワクチンをつくっている会社と仲がいいからなぁ」
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