第8話
アラームの音と同時に目が覚め、スマホを確認し、時刻は6時を迎えようとしていた。
布団からゆっくり起き上がり、カーテンを開け、太陽の光を浴びリビングに向かった。リビングのソファーに座り、テレビをつけ、ニュースを見た。
6時半に、ご飯を食べ着替えを始めた。 それから色々とあり、学校に行く時間になった。
俺は、昨日撮った写真を見るためにポケットからスマホを取り出した。明らかにおかしい服装をしていたのでストーカーとみていいだろう。
そんなことを思いながら、歩いていると後ろから小鳥遊が走って来るのが見えた。
「おはよ!秋さん!」
元気よく挨拶をしてきた小鳥遊は昨日に比べて顔色がとても良くいつもの姿に戻っていた。
「おはよう」
俺は元気よく挨拶を返し、その後、数秒置いてから小鳥遊が話し始めた。
「昨日はありがとね!お陰様で体調が良くなったよ!」
「何もしてないけど、それは良かったな」
「うん!今日もボディーガードよろしくね!」
「あぁ、もちろんだ」
「もちろん、友達としてもよろしくね!秋さん!」
「お、おう」
俺は返事を返すと、小鳥遊は満面な笑みを浮かべた。昨日のストーカーのことが気になるが今は聞かない方が良さそうだ。昨日、知り合ってから数日しか経っていないから友達と言えるのか、大丈夫なのかと考えたが分からなかった。でも、小鳥遊が友達と言ってくれたなら、もう友達だ。ボディーガードとして友達としてもっと仲良くなるのも悪くないだろう。
そんなことを思いながら、小鳥遊と喋りながら歩いていると、またしても後ろから誰かが来た。
「秋ー!」
この声は聞き覚えのある胡桃だった。遠いところからよく聞こえるぐらいの声だったが近づくに連れてその声は次第に小さくなり最終的に聞こえなくなるまで小さくなっていた。
後ろを振り返るとそこには胡桃がいた。何故か唖然とした表情でこちらを見ていた。
小鳥遊が不思議そうに聞いてきた。
「秋さん?この人、だれ?」
「俺の幼なじみの胡桃だよ」
俺は丁寧に紹介すると、小鳥遊が頷き胡桃の方を見ると何故か固まっていた。
「胡桃?大丈夫か?」
「あ、うん!大丈夫だよ……!」
「そうか。なら良かった」
「じゃあ、私行くから!」
そう言うと、走り去っていった。
「お、おい!」
なんなんだ、一体。
胡桃と別れたあと、小鳥遊と一緒に学校に向かった。
学校の生徒に小鳥遊と仲がいいと悟られないように学校の玄関で別れ、小鳥遊は先に教室に向かった。
俺はゆっくりと靴を履き替え、教室に向かおうとすると、同じく靴を履き替えていた冬季がいた。
「おはよ!冬季」
「お、おはよう……」
「どうした?なんか変だぞ?」
「そ、そうかな。まぁ、大丈夫だよ」
そう言って、ササッと靴を履き替え階段を登っていった。
俺も冬季に続いて教室に向かった。
教室に着くと、小鳥遊はいつものグループにいて喋っていた。
小鳥遊の方をチラ見すると、目が合い手を振られ、それに反応した陽キャ集団はザワザワしたが、それを小鳥遊が落ち着かせていた。
俺は自分の席に座り、チャイムがなるのを待っていた。
隣の席の胡桃は何故かこっちを見ていた。声をかけようとした時、胡桃が話しかけてきた。
「ねぇ!今日の昼ごはん小鳥遊さんも誘って食べよーよ!」
「え?」
いきなりの申し出にびっくりした。
「私、小鳥遊さんと仲良くなりたいんだよね〜。美人さんだし」
「……聞いてみるか」
「やったー!」
早速、小鳥遊にこのことを伝えるためにスマホにメールをした。
すると、胡桃との会話を聞いていたのか分からないがいいタイミングできた。
「私がどうしたの?!」
小鳥遊が興味津々に聞いてきた。
「胡桃が仲良くなりたいから昼一緒に食べようって」
そう言うと、目を細め何かを企んでるような顔をしていた。
「ふーん。分かった。秋さんももちろん来るよね?」
「あぁ……」
本当は行きたくないがここは仕方なく引き受けた。その後、小鳥遊はいつものグループに戻っていった。
小鳥遊と話しているときの胡桃だが、何故か緊張して固まっていたらしく話も聞いていなかった。
ようやく、チャイムがなり1時間目が始まった。
───数時間後
「やっとだー!」
丸坊主の野球少年がそう言ってご飯を食べていたのを眺めていると胡桃から話をかけられた。
「秋!屋上行くよ!」
「分かった。先に行っててくれ。小鳥遊を呼んでくる」
俺は席を立ち小鳥遊を呼ぶために探した。だが、いくら探し回ってもどこにもいなかった。
埒が明かないので、俺は電話をした。しかし、電話にも出なかった。何かあったのかと思い俺は学校中を探し回った。1階、2階、3階、4階探したがいなかった。
あとは、グラウンドか校舎裏だ。
先にグラウンドに、向かったがいなかった。
最後に残ったのが俺の中での最悪な場所の校舎裏だ。よく、あそこで喧嘩をしている人がいると有名だ。
先生も手がつけれなく今は放置状態だ。
俺は走って校舎裏に向かった。
近づくにつれて、誰かの声が聞こえてきた。
「はなしてっ!」
そうハッキリと聞こえた。
この声の主は小鳥遊だ。
口より先に体が動き、俺は小鳥遊の前へ出た。服にシワが出来ていたヨレヨレだった。手首は赤く強く握られていたことが分かる。
目には涙を浮かべ、今にも泣きだしそうな表情だ。
「小鳥遊?大丈夫か?」
「遅いよ……」
「来るのが当たり前みたいに思うなよ!」
小鳥遊は笑っていた。
「悪いな…あとは任せて、先に屋上に行ってて。胡桃にはごめんって伝えといてくれ」
「秋さんはどうする気なの……?」
「俺は大丈夫!ほら、行け」
「うん!」
小鳥遊を先に逃がした。
すると、男は小鳥遊を追うために走ったが俺が前に立ちはだかった。
「お前には関係ないだろ?」
「関係ない?俺は小鳥遊のボディガードだ」
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