第60話 知りたい男


久々の更新です。お待たせ致しました。また少しですが公開します。(´∀`)


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「エイシャ様、お茶が入りました」


「有難うカイン」


私は庭の手入れを終え、そっとテーブルに着きお茶を飲む。


「やっぱりカインの淹れてくれるお茶が一番美味しいわ」


「それは良かった」


 今日のカインは執事の格好をしている。そういう気分なのかしら?


「カイン、今度王都へ出かけましょう?服も新調したいわ」


「畏まりました」


 しばらくカインの執事ごっこに付き合っていると、扉をノックする音が聞こえてきた。



―コンコン― 


「どなたかしら?」


 私がそう声を掛けるとカインが扉を開けた。カインは何かを話した後、部屋に男を案内した。部屋に入ってきたのは初老の男。身なりの良い服を着ている。後ろには従者が震えながらも箱を持って付いてきた。


「貴女が噂の魔女殿かな?」


「あら、嬉しいわ。噂になるほどの有名人だなんて」


 初老の男は私の手を取りそっと手に口づけをして挨拶をする。きっとこれは今の人間社会の挨拶なのね。


「まぁ、座ってちょうだい」


 私は座るように促したあと、カインはお茶の準備をしてくれている。男はカインや私を注意深く観察している。


「で、ご用件は何かしら?」


「儂は若い頃から誰よりも好奇心が旺盛でな色々な物を見てきたのだ。その好奇心から起こした事業にも成功してこうして趣味として珍しいものや誰も見たことが無いものを探しておる。


で、行きついたのが地底の穴。この本に書かれてある地底の情報。地底を見てみたいのだ」


「地底ねぇ。魔物の巣窟で楽しくはないわよぉ?命の保証はしないけれど連れていくのは可能よ。報酬は何が頂けるのかしら?」


 私はそう言うと、男は従者に持ってこいと鞄を開けさせる。すると厳重に保存された1つの袋。私は手に取り、袋を開け、更に包みも剥がしていくと1枚の葉が出てきた。


「あら、これは神樹の葉じゃない。珍しいわ、よく手に入ったわね」


「やはり魔女殿にはすぐに分かったのだな。儂が若いころ冒険をしていた時に手にいれたのだ。対価はこれでどうだろうか」


「いいわよ。カイン、地底に彼を連れて行ってあげて頂戴。ついでに素材もいくつか狩ってきて欲しいわ」


「わかりました」


 カインは執事服から黒鎧に服を変化させる。その様子を男は驚くように見ていたわ。


「従者までは守れないから貴方はここでお留守番していて頂戴」


「は、はいっ!」


「では、いってらっしゃいな」


 私は杖を取り出し、床をトンッと叩くと初老の男とカインの足元は黒い空間が広がり二人はスゥッと空間に引き込まれていった。私は特にする事もないので水晶で二人の様子を覗いてみる。


一緒に行けば暇つぶしにでもなったかしら。


 カインは襲ってくる魔物を難なく退治していく。その様子を初老の男はどこから取り出したのかノートにメモしているようだ。数時間が経過しただろうか。カインは老人を連れて転移して戻ってきた。


「カイン、お疲れ様。地底探検どうだったかしら?」


「魔女殿、素晴らしい。地底の魔物を近くで見る事が出来たなんて。本当に素晴らしかった。また機会があればお願いしたい」


 初老の男はとても興奮した状態だったが喜んでいる様子。


「良かったわ、喜んでいただけて。また珍しい物を持ってきて下さいな」


 そうして初老の男は従者と共に帰っていった。



 後日ガロンが持ってきた本はどうやら今、人間達の間で流行っている冒険譚の本だった。


「エイシャ様、この本、魔物の地底の魔物が出ておるようですぞ」


「あら、そうなの?あの時の人かしら?」


「この物語の主人公はカインですかな?地底の魔物を討伐し、財宝と美女と得るらしいですぞ」


「あらあら、カインが出ているの?それは読んでみないとねぇ?カイン」


「興味が無いです」


「あら。じゃぁ私が読んで感想を教えてあげるわ」


そうして私はカインの淹れるお茶を飲みながら本を読む事となった。

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